【ロンドン=小滝麻理子】欧州中央銀行(ECB)は26日、ユーロ圏の主要銀行130行の資産査定(ストレステスト)の結果、ギリシャの銀行など25行が「不合格」となったと発表した。資本不足の総額は約250億ユーロ(約3兆4000億円)に達した。債務問題を背景とする南欧銀行の厳しい経営状況が改めて浮き彫りになった。
25行のうち12行はすでに約150億ユーロの増資を行い、資本不足を解消したという。
25行の内訳ではイタリアが9行、ギリシャが3行、キプロスが3行で、南欧の金融再生の遅れが鮮明になった。保有する国債の価格下落や、融資の焦げ付きなどが重荷になっている。ドイツやフランスの主要銀行は「健全」とみなされた。
査定の対象地域となったのは来年に通貨統合に加わるリトアニアを含めたユーロ圏19カ国。ここで営業する主要130行の保有する有価証券や、貸し出し内容などを厳しく精査した。
そのうえで景気が失速したり、金融市場が混乱したりした場合でも経営が続けられるかを2013年末の資産を基に点検した。5.5%の中核的自己資本比率を維持できると見込まれる銀行は「健全」とみなし、それ未満であれば「資本不足」と認定した。
資本不足の銀行は11月10日までにECBに増資などの業務改善計画を提出しなければならない。
欧州で主要行を対象にした資産査定は、2010年に欧州債務危機が深まってから2回実施している。だが過去の査定では合格したベルギー・フランス系大手銀行の経営が行き詰まった。そこで今回は11月からECBがユーロ圏内の銀行監督を担うのを前に、ECB主導で初めて実施した。
足元ではユーロ圏の景気不安が急速に高まっている。失業率は高止まりし、緊縮財政への不満からギリシャでは政治不安も再び高まっている。景気のもたつきによる不良債権の増加や市場の不信が銀行経営の足かせになる可能性がある。
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