ビューティークリエーション研究センター 講演
2014年10月3日(金) 9:30-11:30
資生堂五反田ビル 4階会議室
錯視を創る
立命館大学 文学部 心理学専攻(心理学域) 北岡 明佳 email HP
2014/9/29より
「ピンクのガンガゼ」
ガクガクして見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (February 5)
『ヴィーナスの誕生』 サンドロ・ボッティチェリ作 1483年頃
Richard Hamilton: Just what is it that makes today's homes so different, so appealing? (1956)
"Fractal Illusion" and "Fractal Zap"
Copyright Jeff Berkeley 1993 (Fractal Illusion), 1994 (Fractal Zap)
((c) 2000 Lifesmith Classic Fractals, Palmdale, CA, USA; 16-045 Published by AQUAIUS; Printed in the UK. www.aquariusimages.com; 福井県こども歴史文化館による情報)
"These are two of my fractal posters still sold at stores like Spencer's Gifts... "
シマシマガクガク錯視
Kitaoka, A. (2014). Visual illusion in ARTPOP and pop art. Japanese Journal of Psychonomic Science, 32(2), 232-234. PDF, PDF (scanned copy)
「ガンガゼ」
ガクガクして見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (March 11)
シマシマドリフト錯視・シマシマガクガク錯視
オオウチ錯視・蘆田最適化版の短辺のところを灰色にすると
↓
円形領域はやはり動いて見える。あるいは錯視量増大。
円形領域が動いて見える。
円形領域が動いて見える。
文献
Kitaoka, A. (2014). Visual illusion in ARTPOP and pop art. Japanese Journal of Psychonomic Science, 32(2), 232-234. PDF
「タイガース」
横縞分が上下に揺れて見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 2)
「落ちつかないハート」
ハートが動いて見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 2)
「もっと落ちつかないハート」
ハートが動いて見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 2)
「もっとも落ちつかないハート」
ハートが動いて見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 2)
「動くモナリザ顔」
顔が動いて見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 9)
静止画が動いて見える錯視 フレーザー・ウィルコックス錯視群
「蛇の回転 2011」
円盤が回転して見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (January 23)
EPSON PM-4000PXの写真用紙印刷に調整したバージョン
黒→濃い灰色→白→薄い灰色→黒 の方向に動いて見える。
Direction: black → dark-gray → white → light-gray → black
「蛇の回転」の作り方
この錯視のわかりやすい説明のある本
北岡明佳著 人はなぜ錯視にだまされるのか? トリック・アイズ メカニズム カンゼン刊
(定価:1,600円(税別) ISBN 978-4-86255-020-0) アマゾンのページ
錯視のメカニズムの解説多し!
北岡明佳著 錯視入門 朝倉書店 (2010年7月) new!
北岡明佳(監修) ニュートン別冊 脳はなぜだまされるのか? 錯視
完全図解 (2007年10月刊行)
「赤と紫の円盤の回転」
明るいディスプレーでは円盤は時計回りに回転して見える。印刷物を暗いところで見ると反時計回りに回転して見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (February 6)
文献
Kitaoka, A. (2014). Color-dependent motion illusions in stationary images and their phenomenal dimorphism. Perception, 43(9), 914-925. http://www.perceptionweb.com/abstract.cgi?id=p7706
「てんとう虫の回転」
てんとう虫のリングが回転して見える。
Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 7)
「夜のてんとう虫の回転」
てんとう虫のリングが回転して見える。
Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 7)
「からしれんこんの回転」
れんこんが回転して見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (December 11)
「からしれんこんの回転」(最適化型フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプIIa)の作り方
「踊るハート達」
ハートが動いて見える。めがねをかけている人は、めがねを動かすとよく見えるかもしれない。離れたところから見ると、明るくなった時のハートは白のランダムドットより手前に見え、暗くなった時のハートは奥に見える人が過半数と予想される。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (December 20)
モノクロでOK
「踊るハート達」 (MS-Word ファイル)
北岡明佳 (2006) 色が強くなる錯視 A・F・Tジャーナル, 31 (Summer), pp. 01.
低輝度→脳内処理時間が長い
cf. プルフリッヒ効果
低輝度コントラスト→脳内処理時間が長い <our finding!>
1. High-luminance parts show shorter latency than low-luminance part.
2. High-contrast parts show shorter latency than low-contrast part. <our finding!>
Kitaoka, A. and Ashida, H. (2007) A variant of the anomalous motion illusion based upon contrast and visual latency. Perception, 36, 1019-1035. PDF
cf.
踊るハート(fluttering-heart illusion)
(Helmholtz, 1867; Nguyen-Tri and Faubert 2003; von Grünau 1975a, 1975b, 1976; von Kries 1896)
中山(2008)によると、踊るハートは赤が重要。青不要。ピンクはダメ。
中山明子 (2008) 「踊るハート」錯視(1844)と「踊るハート達」錯視(2006)の比較検証 2008年度立命館大学文学部(人文学科心理学専攻)卒業論文
「緑背景に赤の踊るハート」
印刷して暗いところで動かすとハートがよく動いて見える(明るくても見えるが)。パソコン画面でもメガネをかけている人はメガネを上下させれば見ることができる。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (January 21)
この色の組み合わせが錯視量最大に見えるなあ・・・
「青背景に赤の踊るハート」
「踊るハート工作セット」
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (July 31)
トゲトゲドリフト錯視
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (August 23)
なぜ動いて見えるかの説明
Kitaoka, A. (2010) The Fraser illusion family and the corresponding motion illusions. 33rd European Conference on Visual Perception (ECVP 2010), EPFL, Lausanne, Switzerland, 2010/8/22-26, 8/26 poster publication. Poster (Kitaoka, A. (2010) The Fraser illusion family and the corresponding motion illusions. Perception, 39, Supplement, #61, p. 178)
<色の錯視クイズ>
左のハートと物理的に同じ色は(1)(2)(3)のうちどれでしょう。
問1
問2
問3
問4
2012/8/17
ムンカー錯視を用いた作品「赤の渦巻き」↓
赤紫がかった赤い螺旋とオレンジ色がっかった赤い螺旋があるように見えるが、どちらも同じ赤である。
Copyright A.Kitaoka 2002
ムンカー錯視を用いた作品「緑の渦巻き」↓
黄緑の螺旋と青緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ緑である。
Copyright A.Kitaoka 2002
ムンカー錯視を用いた作品「水色と黄緑の渦巻き」↓
水色の螺旋と黄緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ色(r = 0, g = 255, b = 150)である。この色の錯視はモニエ・シェベル錯視に近いと思うが、彼らの理論には合わないのかもしれない。
Copyright A.Kitaoka 2003
ムンカー錯視(Munker illusion)
黄と青の縞の青部分に赤を乗せるとオレンジ色に見え、黄部分に赤を乗せると赤紫がかって見える。緑を乗せるとそれぞれ黄緑と青緑に見える。高空間周波数図形で錯視量が多い。
Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. München: Habilitationsschrift.
ムンカー錯視の作り方
「レモン色の渦巻きとクリーム色の渦巻き」
渦巻きにはレモン色のとクリーム色のと2種類あるように見えるが、どちらも同じ黄色(R255, G255, B0)である。
Copyright A.Kitaoka 2005 (May 22)
「武田信玄」
薄い黄色と濃い青色の渦巻きがあるように見えるが、左半分は白(R=255, G=255, B=255)と黒(R=0, G=0, B=0)であるのに対し、右半分は黄(R=255, G=255, B=0)と青(R=0, G=0, B=255)である。
Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)
「風林火山」
「武田信玄」の白黒黄青と同じであるが、この図では違いがはっきりわかる。
Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)
「小家族」
左の鳩も右の鳩も同じ色なのだが、左の方は黄味がかって見える。
Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)
Left: Green (assimilation) + Red (contrast of cyan) = Yellow induction; Right: Cyan (assimilation) + Magenta (contrast of Green) = Blue induction
OK?
Left: Blue (assimilation) + Blue (contrast of yellow) = Blue induction; Right: Yellow (assimilation) + Yellow (contrast of blue) = Yellow induction
色の土牢錯視 (Chromatic dungeon illusion)
「犬」
赤い犬は2種類、緑の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ赤と緑である。色の土牢錯視である。
別バージョン 別バージョン2
Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)
土牢錯視(dungeon illusion)(Bressan, 2001)とは?
左の「牢屋」の灰色のダイヤモンド形は右のよりも明るく見えるが、物理的には同じ明るさである。
Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.
色の土牢錯視とは?
左の「牢屋」のダイヤモンド形はオレンジ色に、右のは少し紫がかった赤に見えるが、物理的には同じ色である。
引用文献は調査中(ないかもしれない)
色の土牢錯視は雰囲気はムンカー錯視だが、普通に色の同化で説明することも可能だし、ゲシュタルト要因を考えて色の対比というのもあるのかもしれない。
「4種類の色の錯視の作り方」
物理的に同じ色(R=255, G=0, B=127)のハートが錯視によってピンクとオレンジのハートに見える。左から、ムンカー錯視(Munker illusion)、色の土牢錯視(chromatic dungeon illusion)、ドット色錯視(dotted color illusion)、デヴァロイス・デヴァロイス錯視(De Valois-De Valois illusion)である。 上図の高解像度ファイルはこちら(8000 x 3262 pixel, 10MB)。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (June 1)
References
Munker illusion | Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. Habilitationsschrift, Ludwig-Maximilians-Universität, München. |
chromatic dungeon illusion | For the dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions.
Perception, 30, 1031-1046. Kitaoka (2007) http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/saishin22e.html |
dotted color illusion | For the dotted brightness illusion: White, M. (1982) The assimilation-enhancing effect of a dotted surround upon a dotted test region. Perception, 11, 103-106. Kitaoka (2008) http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/color10e.html |
De Valois-De Valois illusion | De Valois, R. L. and De Valois, K. K. (1988) Spatial Vision. New York: Oxford University Press. |
北岡明佳 (2012) 色の錯視いろいろ (4) 簡単で錯視量の多い色相の錯視図形の作り方 日本色彩学会誌, 36(1), 45-46. PDF(スキャンコピー) <配布資料>
<錯視的錬金術>
問: 下記のような色から金色を作る方法はあるか?
答: ある。
「青い金閣」
青フィルターがかかっていやな感じではあるが金閣は金色に見える。金色は黄色系統でなければならないという前提があるなら、この合成画像で金閣が金色に見えることは錯視であり、知覚される金色は物理的には青系統の色である。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (July 14)
黄色系統でなくても金色に見える。
「立命館大学ののぼりの色の恒常性」
"Ritsumeikan flags"
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (November 30)
色の恒常性錯視デモ用のプリント用ファイル DOC
この種の色の恒常性の文献
北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (2)色の恒常性と2つの色フィルタ 日本色彩学会誌, 35(3), 234-236. PDF(スキャンコピー), PDF(高解像度スキャンコピー)
北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (1)「目の色の恒常性」という錯視の絵 日本色彩学会誌, 35(2), 118-119. PDF(スキャンコピー)
加法的色変換
Additive color changes
北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (2)色の恒常性と2つの色フィルタ 日本色彩学会誌, 35(3), 234-236. <図2>
乗法的色変換
Multiplicative color change
北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (2)色の恒常性と2つの色フィルタ 日本色彩学会誌, 35(3), 234-236. <図4>
北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (2)色の恒常性と2つの色フィルタ 日本色彩学会誌, 35(3), 234-236. PDF(スキャンコピー), PDF(高解像度スキャンコピー)
加法的色変換の例・・・「清流」の緑は山の緑
Example of additive color changes
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (August 3)
問: 下記のような色から、オレンジ色と赤紫色を同時に作る方法はあるか?
答: ある。
Produced Akiyoshi Kitaoka 2012 (September 16)
いろいろな組み合わせでできる。
Produced Akiyoshi Kitaoka 2012 (September 16)
Produced Akiyoshi Kitaoka 2012 (September 16)
「ムンカー錯視と色の恒常性の色材研究」
左の「色材」は赤が赤紫とオレンジに見え、「研究」は水色と黄緑色に見える。右の「色材」は灰色が赤紫とオレンジに見え、「研究」は青緑色が水色と黄緑色に見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (September 16)
< 静脈錯視 >
「静脈錯視」
青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、せいぜい灰色であり、色の錯視(色の対比)だった!
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 23)
写真は北岡の右足です。
類似の錯視
一番右の正方形は灰色であるが水色に見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 23)
「静脈錯視:手」
この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、彩度の低いオレンジ色であった。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 23)
写真は北岡の右手です。對梨成一氏撮影。
下2図は、物理的には青いピクセルはないことをスポイトツールなどで確めるための画像
「静脈錯視:腕」
この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、彩度の低いオレンジ色であった。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)
Thanks to MK for your tremendous contribution!
「静脈錯視:腕 2」
青白く撮れた写真の場合でも、この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、彩度の低い黄色かオレンジ色であった。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)
「静脈錯視:手の甲」
この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、ほぼ灰色あるいは彩度の低い黄色であった。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)
「静脈錯視:基本図形?」
ほとんど灰色の彩度の低い黄色の領域が青みがかって見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)
「錯視的青のリング」
本図はすべて少し赤みの入った黄色の色相の画素でできているが、青みを帯びたリングが知覚される。
produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 31)
「錯視的青のリング 2」
本図はすべて少し赤みの入った黄色の色相の画素でできているが、青みを帯びたリングが知覚される。
produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 31)
< 誘導色の彩度が低くても効果がある。>
「錯視的水色のリング」
本図はすべて赤の色相の画素でできているが、水色を帯びたリングが知覚される。
produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 31)
「錯視的赤みのリング 2」
本図はすべて水色(シアン)色の色相の画素でできているが、赤みを帯びたリングが知覚される。
produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 31)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (July 29)
立命館大学リサーチオフィス衣笠の柚木一さんの静脈
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (July 30)
北岡明佳 (2014) 色の錯視いろいろ (14) 静脈の色の錯視・その2 日本色彩学会誌, 38(5), 367-368. PDF(スキャンコピー)
静脈錯視
関連文献 (収集中、北岡までご連絡下さい)
●Asahi.com (2005). 血管が青いのはなぜ? ののちゃんのDO科学記事 2005年7月10日付け(と思われる)
「血は電球(でんきゅう)と違って自分では光(ひか)らないでしょ。だから、私たちが血の色だと思っているのは、外からあたった光の一部が血に反射(はんしゃ)したあと、目に届(とど)いた色なの。白い光で照(て)らしたとき、血からは赤い光の成分(せいぶん)が反射してきて赤く見えるのだけれど、同じ白い光で照らしても、皮膚や血管の壁を通して反射してくると、光の色は少し青っぽくなるというわけ。」
●土居元紀・来海 暁・西省 吾・富永昌治 (2013). 光学モデルに基づく青みを帯びた皮膚色のシミュレーション 日本色彩学会・視覚情報基礎研究会・第17回研究会発表会論文集, 15-18 (CSA-FVI-2013-15)
「蒙古斑の色はメラニン量が増すにつれ茶色から灰色に近くなる。青色にはならない。周囲の画像が色の見えに影響していることを示唆している。」
●榎本知朗 (2005). 静脈はなぜ青い 静脈はなぜ青い(補足) 東海大学医学部 選択必修科目 機能構造学のサイト (作成:2005年10月28日、最終更新:2009年2月27日、北岡のアクセスは2014年7月10日 )
「静脈が青く見えるのは、手前の組織で青い光だけが散乱され、残りの赤や緑の光が向こうの色素に吸収されてしまうからである。」
●平林純 (2014) 「赤い血」が流れてるはずの静脈が「青く」見える理由(納得したい人向け) 雑学回の権威・平林純の考える科学 2014年6月26日付け ウェブサイト
「「皮膚下部に静脈がある箇所の色」と「周囲の皮膚部分の色」を比べると、「皮膚下部に静脈がある箇所の色」は(周囲に比べると)青色光の強さは他の部分と同じくらい強く返ってくるのに、赤色の光は周囲よりも少ない量しか返ってこない…というわけで、「(近傍周囲と比較すると)皮膚の上から見た静脈が青色がかる」ということになります。」
●平林純 (2014) 肌色絵の具と赤ボールペンで、「赤い血が流れる静脈が青く見える理由を実感してみよう! hirax.net 2014年7月18日付け http://www.hirax.net/diaryweb/2014/07/18.html#10724
「水に溶かした肌色絵の具を試験管に注ぎ入れ、その中に赤ボールペンの芯を入れてみます。赤ボールペンの芯は「脱酸素化ヘモグロビンにより暗赤色に見える静脈」を模しています。肌色の腕ならぬ肌色の(おそらく材料的にはミー散乱・レイリー散乱で模せる程度の)光拡散体に、暗赤色の静脈ならぬボールペンの芯を入れてみます。すると、肌色光拡散体の中に入れた赤ボールペン芯は、試験管表面近くにあると赤く見え、表面から離れて・内部にいくほど薄蒼色に見えてきます。静脈の深さ次第で(近傍周囲の反射スペクトルと比較して)蒼色光が多くなり・蒼色に見えたりすることや、血マメができた箇所が深くなると(皮膚表面からの距離が長くなると)青い血マメに見えてくるんだろうなぁ…と実感できたりします。」
●北岡明佳 (2014) 世界一美しい錯視アート トリック・アイズ プレミアム カンゼン p.101 TEP-p101-veinilluionp.jpg
「皮膚の下の静脈は青く透けて見えます。しかし、写真を拡大してみるとわかりますが、物理的には青くありません。せいぜい灰色かあるいは「肌色」(赤みのある黄色の一種)です。そうです、静脈が青く見えるのは色の錯視だったのです。現象としては「色の対比」ということになります。より鮮やかな「肌色」に囲まれた灰色あるいは鮮やかさの少ない「肌色」の静脈に、「肌色」の反対色である緑みのある青が誘導されている、と考えるのが妥当です。」
●北岡明佳 (2014) 色の錯視いろいろ (13) 静脈の色の錯視 日本色彩学会誌, 38(4), 323-324. PDF(スキャンコピー)
「「青筋」を広辞苑(岩波書店・第6版)で調べると、「青色の筋。特に皮膚の上から見える静脈」とある。ところが、「(皮下の)静脈は青くない。青く見えるのは錯視である」ということが、本コラムの主張である。実は、静脈は物理的には灰色か彩度の低い「肌色」(黄色あるいは赤みの入った黄色の色相)なのであった。」
●子供の科学・2010.11・滝沢美絵(筆) 血は赤いのに血管が青く見えるのはなぜ? 青い光が散乱されるため p.49 (Thanks to 酒井英樹先生)
「皮膚に入った光のうち、赤や緑の光は、ほとんどが静脈の血に吸収されてしまいますが、青い光は静脈にとどく前に、皮膚内のさまざまな粒によって散乱されてしまいます。」
●Kienle, A., Lilge, L., Vitkin, I. A., Patterson, M. S., Wilson, B. C., Hibst, R. and Steiner, R. (1996). Why do veins appear blue? A new look at an old question. Applied Optics, 35(7), 1151-1160.
"To summarize, the reason for the bluish color of a vein is not greater remission of blue light compared with red light; rather,it is the greater decrease in the red remission above the vessel compared to its surroundings than the corresponding effect in the blue."
(静脈が青く見えるのは赤い光より青い光を多く送り出すからではない。血管の上ではその周囲に比較して、赤い光の送り出しの減少が青の光の送り出しの減少に比べて大きいからである。)
●毎日新聞・2005年11月23日・下桐美雅子(筆) なぞなぞ科学 赤い血が流れる静脈は、なぜ青く見える?
「室蘭工業大学の相津佳永助教授(現・教授)の測定によると、静脈の上の皮膚は赤みが少なく、周辺は赤みが多かったが、いずれも肌色であった。赤みが少ない分、相対的に青っぽく感じる。東京工業大学の山口雅浩助教授(現・教授)によると、光の散乱が関係している。赤い光は皮膚の奥まで届き、ヘモグロビンが赤い光を一部吸収するから静脈の赤みが少なくなる。 」
●ニュートン 2014年9月号 静脈は青くなかった! 肌の下にすけて見える“青色”の静脈は,実際には灰色に近い肌色だった。 ●立命館大学プレスリリース 2014年6月25日 SCIENCE SENSOR p.7
●沼原利彦 (1999). 第1回デジタル医用画像の「色」シンポジウム パネルディスカッション 第2部:医療の最前線におけるデジタル画像の活用とその色処理 皮膚科領域から デジタルバイオカラー研究会 (Thanks to 山口雅浩先生)
「真皮では波長の長い(赤い)光ほど透過しやすく、短い(青い)光ほど散乱されやすい性質がある。このため、皮膚の浅い部分にある毛細血管拡張や苺状血管腫は鮮やかな紅に見えるが、やや深い部にある静脈や血管腫は青っぽく見える。メラノサイト関連の母斑(あざ)でも、母斑細胞が真皮表皮境界部に存在する境界母斑では褐色調に見えるが、真皮にある青色母斑はその名のごとく青色調に見え、真皮メラノサイトによる太田母斑や蒙古斑も臨床的に青みを帯びて見える。」 (北岡注: シミュレータで作成された色パッチが示されており、「青色調」と表現しているだけであって、物理的に青色だと認識しているわけではないことが分かる)
●鉅鹿明弘 (1967). 肌色 テレビジョン, 21(8), 534-540. https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1954/21/8/21_8_534/_pdf
「皮膚の色を光の選択吸収の面から色素的な要因に分けると次のようになる。 (1) 皮膚固有色(表皮深部の不透明ないし黄疽色) (2) 血液の透視による色彩(赤色ないし青色) (3) 皮膚色素(メラニン色素) (4) 皮膚中の異常色素(胆汁色素他)」
「静脈が青く見えるのは,毛細血管にくらべ血の量が多いため、吸収が大きく反射光がなくなり、より表面での光の散乱による青光が眼に入るからである。」
●酒井英樹 (2011). 当てにならない眼 ~記憶色~ AFTジャーナル, vol. 45 (Spring), 01.
「蒙古斑は物理的にはくすんだ茶色であるが、青く見える。これは記憶色の効果かもしれない。」
●酒井英樹 (2011). 皮膚の色が青く感じること(測色的には決して青くはない)に関して 研究ブログ http://researchmap.jp/jouxr4tl5-11411/#_11411 (2011年2月12日公開)
「英語のことわざからは、欧米人も顔が青ざめるという認識をしているのかどうかわからない。」
●酒井英樹 (2011). 血は赤いのに血管が青く見える不思議 研究ブログ http://researchmap.jp/joajrhiat-11411/#_11411 (2011年2月20日公開)
「皮膚に浮き出る血管や蒙古班は青く見える。しかし、測色機を使って測定したり、色票を使って視感測色をすると、実際には「茶色」である。色対比または記憶色で説明されるべき色の見え方と考える。」
●城岡啓二 (2002). 「青」とドイツ語の色彩語blauの色相差について 静岡大学人文学部人文論集, 52(2), A157-A167. CiNii (Thanks to 桑山哲郎先生)
「青筋というから静脈や血管の色なら青でなければならないというわけではなく、文学作品から用例を探してみると、「うすい紫の血管」(谷崎潤一郎:『痴人の愛』)、「乳房を走っている菫色の静脈」(安部公房:『砂の女』)のような例がある。同じように紫痣という言い方はないが、痣を紫色で記述することはある。「薄紫色に色褪せ消えかかっている痣」、「輪の形をした青紫色の痣」(吉行淳之介:『砂の上の植物群』)、「痛々しく、赤紫色に変色した痣」(北杜夫:『楡家の人びと』)・・・」
●鈴木恒夫 (2013). 肌の色が青く見えることに関する仮設の提案: 肌の色は本当に青いのだろうか 日本色彩学会・視覚情報基礎研究会・第16回研究会発表会論文集, 15-18 (CSA-FVI-2013-3) (北岡注: 「仮設」は「仮説」の誤りか?)
「刺青はもともと墨を入れていたので黒いはずであるが、青く見える。この測定はされていない。蒙古斑は分光反射率からすると青くない。周辺部位に比べ、明度が低く、さらに彩度が低下しているだけであり、色相的には変化していない。光の散乱説と知覚的対比説は否定される。肌の色は特別に扱っていると考えられる。別格に扱うものの、色領域全体の構造が反映する。」
●Why Veins Look Blue If blood is red, why do veins look blue? By Anne Marie Helmenstine, Ph.D. About.com Chemistry http://chemistry.about.com/od/lecturenoteslab1/a/Why-Veins-Look-Blue.htm (Kitaoka's access on July 1, 2014)
"Vein color depends on your perception. In part, you see veins as more blue than they really are because your brain compares the color of the blood vessel against the brighter and warmer tone of your skin. Arteries have muscular walls, rather than thin walls like veins, but they likely would appear the same color if they were visible through the skin."
(静脈の色は知覚に依存している。静脈の周りの明るい暖色と比較することで実際より青く見える。皮下にあれば、動脈も静脈と同様に見える。)
★実際に青い青色母斑と蒙古斑の例 http://www.tanpopokodomo-clinic.com/cgi-bin/case/siteup.cgi?category=4&page=5 (2014年7月12日アクセス)
http://www.tanpopokodomo-clinic.com/case/file/45/kabioshiri.jpg (その画像)
浜松ホトニクスの坂本 繁先生より、「青ひげ錯視」 のご提案がありました。
「男性の鬚の剃りあとは、皮膚表面に毛髪は残っていませんが、ひげを一本引きぬくと判るとおり、約10mmの毛が皮膚内部に残っています。 これにより、剃りあとは青く見えます。お坊さんや役者の頭も同様です。老人で髪がなくなった頭(ハゲ)は皮膚色ですが、若いお坊さんや、俳優の方で、剃髪したひとの頭は、その部分だけ青く見えます。毛髪の色素はメラニンですが、同じメラニンでも皮膚にあるメラニンでは、日焼けした人、黒人の人、の場合は青くは見えなくて、きちんと、健康的な褐色や黒色に見える、というのも不思議です。 」
<July 10, 2014>
<June 25, 2014>
<June 26, 2014>
2014年6月30日(月)のJSTのニュースで取り上げられた。
< 静脈錯視の応用 >
「静脈錯視を応用した静脈可視化ツール」
vein_visualization02JPEG.exe
Before (上) After (下)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)
「北岡明佳の右手の掌の皮下静脈」
vein_visualization02JPEG.exe
Before (左) After (右)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)
「北岡明佳の左手首付近の皮下静脈」
vein_visualization02JPEG.exe
Before (左) After (右)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)
「北岡明佳の左手甲の皮下静脈」
vein_visualization02JPEG.exe
Before (左) After (右)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 30)
「北岡明佳の注射のやりやすい方の左腕」
vein_visualization02JPEG.exe
Before (上) After (下)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)
「北岡明佳の注射のやりにくい方の右腕」
vein_visualization02JPEG.exe
Before (左) After (右) ナマでも結構見えているような気がするのだが・・・
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 4)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 4)
「北岡明佳のふともも 2」
vein_visualization02JPEGb.exe
Before (左) After (中) それらの合成(右)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 5)
「マウスのしつぽ」
vein_visualization02JPEG.exe
Before (左) After (中)
produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 1)
Thanks to Chieko
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 5)
顔の錯視
ホロウマスクのデモを作るためにインターネット販売(日本装飾造花)で手に入れたお面達
お面を裏返すだけでホロウマスク錯視
「サッチャー錯視のイラスト版」
左の図は笑顔の女性を描いたイラストをさかさまにしたもので、右の図は左の図の目と口をそれぞれ上下反転させたものである。右の図を見るとあまり奇妙な感じは受けないが、図をさかさまにして見る(下図)と、かなり奇妙な顔になっていることがわかる。この錯視はサッチャー錯視と呼ばれ、Peter Thompson先生が1980年(サッチャーが首相になった次の年)に発表した。Peterは自分自身の顔でもやっているが、ヒゲまでさかさまにするのは反則では(笑)。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (November 15)
顔の錯視のレビュー論文
北岡明佳 (2012) 顔の錯視のレビュー BRAIN and NERVE 神経研究の進歩, 64 (7) (増大特集 顔認知の脳内機構), 779-791. PDF(スキャンコピー)
1. アイシャドーによる視線方向の錯視
1.1 暗いアイシャドーによる視線方向の錯視(対比的効果)
すっぴんの顔がこうだとする。
↓
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は付けたアイシャドーとは反対の方向に変位して見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010
この錯視を起こすためにはベタ塗りでよい。グラデーションに描かなくてもよい。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010
両眼にそれぞれ上下にアイシャドーを付けると、どこを見ているかわからない顔になる。一方、両眼の耳側にアイシャドーを付けると寄り目に見え、鼻側に付けると開散した目に見える。目の相対的位置が変わって見える幾何学的錯視も起きる。
1.2 明るいアイシャドーによる視線方向の錯視(同化的効果)
すっぴんの顔がこうだとする。
↓
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は付けたアイシャドーの方向に変位して見える。
「モナリザご機嫌錯視・不機嫌錯視」
モナリザの目の上に白いアイシャドーを付けると機嫌がよく見え、目の下に付けると不機嫌に見える。
Produced Akiyoshi Kitaoka 2012 (June 2)
就職活動の面接で人柄を明朗に見せたい時は、白いアイシャドーを目の上に付けるとよい。 (「おもろいやつだ」と即採用されるかも)
1.3 暗いアイシャドーと明るいアイシャドーによる視線方向の錯視の合成
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は暗いアイシャドーとは反対方向に、明るいアイシャドーとは同方向に変位して見える。
肌と白目の間の輝度コントラストが相対的に低い側に視線方向が変位して見える錯視であるとも言える。
2. アイラインによる視線方向の錯視
2.1 暗いアイラインによる視線方向の錯視(同化的効果)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。上下は筆者には弱い同側変位だが、左右は反対側変位と一貫していない。
2.2 明るいアイラインによる視線方向の錯視(対比的効果)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。上下は筆者には弱い反対側変位だが、左右は反対側変位に見えたり、同側変位に見えたりする。
2.3 暗いアイラインと明るいアイラインによる視線方向の錯視の合成
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。
3. まつげによる視線方向の錯視
3.1 暗いまつげによる視線方向の錯視(対比的効果)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (January 6)
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は付けたまつげとは反対の方向に変位して見える。「暗いアイシャドーによる視線方向の錯視」を弱くしたような効果である。左右方向の錯視(下2つ)はそれなりに錯視量が多いかもしれない。
3.2 明るいまつげによる視線方向の錯視(同化的効果)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (January 6)
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は付けたまつげの方向に変位して見える。「明るいアイシャドーによる視線方向の錯視」の効果を弱くしたような錯視である。
3.3 暗いまつげと明るいまつげによる視線方向の錯視の合成
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (January 6)
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は暗いまつげとは反対方向に、明るいまつげとは同方向に変位して見える。「暗いアイシャドーと明るいアイシャドーによる視線方向の錯視の合成」の効果を弱くしたような錯視である。
4. 白目の輝度勾配の効果(充血錯視)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010
左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は白目を暗くした方向に変位して見える。
下2つ(左右方向の錯視)は、輝度に誘導された視線方向のずれ効果(luminance-induced gaze shift)あるいは充血錯視(bloodshot illusion)(Ando, 2002)の図である。上2つ(上下方向の錯視)はおそらく筆者のオリジナル。
Ando, S. (2002). Luminance-induced shift in the apparent direction of gaze. Perception, 31, 657-674.
配布プリント
高解像度ファイル
「土蔵(とくら)作:太った顔がやせて見える錯視(FFT錯視)画像」
左のほっぺたのぷっくりしたお兄さんの肖像をさかさまにすると、右のようにそんなにぷっくりしていないように見える。土蔵久代氏作品(2011年制作)。許諾を得て掲載。
Copyright
Hisayo Tokura 2011
(uploaded February 12, 2012)
今のところ、イラストでは世界最強のFFT錯視画像と思う。
「さかさま顔の過大視は正立顔の過小視だった!」
Araragi et al. (2012) によると、正立顔が過小視して見えている。
Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2014 (May 15)
Araragi, Y., Aotani, T., and Kitaoka, A. (2012). Evidence for a size underestimation of upright faces. Perception, 41, 840-853.
「上下方向のウォラストン錯視・ヘプバーンとモンローの合成顔」
オードリー・ヘプバーン(一番左)の目と眉を取り出してマリリン・モンロー(一番右)の肖像の目と眉と入れ替えると、正面を見ていたヘプバーンの目だったのに、合成顔の人物は上を向いて見える(左から2番目)。マリリン・モンローの(一番右)の目と眉を取り出してオードリー・ヘプバーン(一番左)の目と眉と入れ替えると、下目づかいにこちらを見ていたモンローの目だったのに、合成顔の人物は下を向いて見える(右から2番目)。本図は、上田彩子著 「『恋顔』になりたい ~愛される顔にはルールがある~」 (2011年、講談社)の図4(p.22)である。
北岡明佳のコメント これなら上下方向のウォラストン錯視は確実にあると言えよう。
Produced by Sayako Ueda 2011
上田彩子 (2011) 「恋顔」になりたい ~愛される顔にはルールがある~ 講談社 ISBN978-4-06-217064-2
上田先生は顔ガクガク錯視論文の第一著者である。Ueda, S. なのは、「あやこ」でなくて「さやこ」さんだからです。
Ueda, S., Kitaoka, A., and Suga, T. (2011). Wobbling appearance of a face induced by doubled parts. Perception, 40, 751-756. new!
「アイラインを付けると目が大きく見える効果のデモ」
デルブーフ錯視・内円の過大視の仲間だと思ったのだが、あれってそんなに錯視量は大きくなかったような・・・
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (October 11)
Thanks to Abe sensei
「黒目の上だけにアイラインを付けても目が大きく見える効果のデモ」
黒目の位置がズレるとダメだぞ(右端)。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (October 12)
「阿部の領域誤認効果(パンダの目効果)・人間版」
パンダの目は目の周りの縁取りのせいで大きく見える。この図では、黒目は左右の顔で同じ大きさであるが、右の顔の黒目が大きく見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (October 6)
文献
阿部恒之・佐藤智穂・遠藤光男 (2009) 目の大きさ知覚に及ぼすアイシャドーの効果-まぶたの陰影の位置・範囲・濃さを操作した実験的検討- 日本顔学会誌, 9, 111-118.
阿部の領域誤認効果(パンダの目効果)
パンダの目は目の周りの縁取りのせいで大きく見える。
Copyright Tsuneyuki Aber 2010
from Tsuneyuki Abe, Tohoku University, Sendai, Japan, October 6, 2010
クレーター錯視
Shape from shading
「二枚口」
それぞれ左は真ん中が凸、外に向けて凹・凸・凹に見える。右は真ん中が凹、外に向けて凸・凹・凸に見える。唇と舌に見えることもある。さかさまにしても同じ。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (January 29)
最もシンプルなクレーター錯視図
クレーター錯視
さかさまにしても同じ凹凸に見える。
クレーター錯視の作り方
→
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マッハの帯(Mach band)
輝度勾配がグラフ上で上に凸の時、明るい錯視帯が見える。
輝度勾配がグラフ上で下に凸の時、暗い錯視帯が見える。
輝度勾配がグラフ上で上に凸の時、明るい錯視帯が見える別の例と考えられる刺激布置。
輝度勾配がグラフ上で下に凸の時、暗い錯視帯が見える別の例と考えられる刺激布置。
「マッハの環」
マッハの帯のせいで、円盤が凹凸に見える(飛中漸氏より寄せられたアイデアを作品化)。凸に見えるのは輝度勾配部分で、凹に見えるのは輝度一様部分である。そのほか、外周が収縮して見え、下のグラフも上に動いているように見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (January 19, 23)
形によらない
形によらない
輝度勾配が相対的に大きいところが凸に見える。
輝度勾配の方向が反対でも、輝度勾配が相対的に大きいところが凸に見える。。
領域の面積は関係ない(狭い方が凸に見えるから、というわけではない)。
おしまい