介護報酬:財務省、6%削減方針…厚労省に要請へ
毎日新聞 2014年10月08日 22時00分
財務省は8日、2015年度の予算編成で介護サービス事業者が受け取る介護報酬の引き下げを求める方針を固めた。介護職員の待遇改善分など一部を除き、6%以上を削減するよう厚生労働省に要請する。全体の介護報酬額が減額となる「マイナス改定」が実現すれば06年度(マイナス0.5%)以来9年ぶりとなる。ただ、厚労省は引き下げには慎重で、年末の予算編成に向けた財務省との協議は曲折が予想される。
同日の財政制度等審議会に改定案を提示した。介護報酬は介護サービスの対価として事業者が受け取るもので、公定価格として3年に1度改定している。
介護報酬が6%のマイナス改定になれば、全体で約6000億円を抑制できる計算。介護費用の総額は年間約10兆円で、介護報酬は税金と保険料、利用者の負担で賄われている。介護報酬が削減されると、税金や保険料など国民負担の軽減につながる。
財務省が削減を求める背景には、国の財政難に加え、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの利益率が高いことがある。厚労省によると、特養の利益率は8.7%で、一般の中小企業の水準(2〜3%弱)を大きく上回る。
一方、高齢化の進展に伴って、介護現場では人手不足が深刻化しており、人手を確保するため、介護職員の待遇改善も迫られている。このため、財務省の案は介護職員の賃金改善に充てる介護報酬の「加算部分」は拡充を求めた。ただ、介護報酬全体が減額されると、介護職員の賃金抑制につながる恐れもあるため、財務省は介護職員の待遇改善を担保する仕組みの構築も検討する。【三沢耕平】