女子ボクシングの宮尾が５度目の防衛に成功　祖父母見守る地元でＫＯ勝ち

　▽長野県千曲市戸倉体育館▽２５日▽観衆１７００人

　地元出身のチャンピオン宮尾綾香（３１）＝大橋＝が、挑戦者の同ミニマム級１２位西村聡美（３３）＝折尾＝を最終１０ラウンドの残り２秒、１分５８秒ＫＯで下し、５度目の防衛に成功した。宮尾の戦績は１５勝（４ＫＯ）１敗、西村は７勝（１ＫＯ）２敗となった。

　劇的勝利を収めた宮尾が泣いた。

　「凱旋（がいせん）試合だからグッとくるものがあった。私は“鉄の女”だから、あまり泣かないけど…。リングで泣いたのは世界奪取の時以来かな」

　採点でほぼ勝利は確定していたが、最後の最後で右アッパーから左フック、さらに右ストレートでとどめを刺した。

　「祖父母は高齢で私の試合を見たことない。ぜひ、自分の雄姿を見せたい」という宮尾の希望で実現した地元での防衛戦。応援に来てくれた地元関係者のためにも負けられない試合だった。

　前夜は実家で牛ステーキとおでんで栄養を補給。さらに、この日は庭で飼っている名古屋コーチン、烏骨鶏（うこっけい）など４種類の卵を使った卵焼きに、再びステーキを平らげて出陣。直前になって、祖父の修さん（８６）が「体調が悪いから、行きたくない」と駄々をこねる一幕もあったというが、終わってみれば、リングサイドで生観戦した祖父母に勝利をプレゼントというハッピーエンドだった。

　所属ジムの大橋秀行会長は宮尾の今後について、「これからは小関の防衛記録を狙わせる。小関との団体統一戦（ライトミニマムとアトムは同階級）も面白い」と国内の連続世界戦防衛記録（１４度）を持つＷＢＣアトム級王者小関桃（３２）＝青木＝超えに照準を合わせた。会長の青写真を伝え聞いた宮尾も「ボスの言う通りに従います」と記録更新に前向きかつ意欲的だった。　（竹下陽二）