自民党:地方創生組織を次々…財政出動に頼る懸念も
毎日新聞 2014年10月25日 07時15分
自民党が来春の統一地方選や次期衆院選をにらみ、地方創生のアイデア探しに躍起になっている。さまざまな組織が林立し、即効性のある地方重視策を打ち出そうと知恵を絞るが、長年の課題とされてきた地方活性化に妙案がすぐに浮かぶはずもなく、安易な財政出動に頼る懸念もはらんでいる。【宮島寛】
「新年度予算にしっかり盛り込みたいと思っているし、もし補正(予算)があれば補正からも対応したい」
党政調会は「どこでも政調会」と名付け、地方で意見交換している。22日には山形大の「重粒子線がん治療施設」を視察し、施設への財政支援を地元テレビ局に問われた遠藤利明政調会長代理はそう即答した。遠藤氏と一緒に出演したのは同党公認で次期衆院選に立候補予定の加藤紘一元党幹事長の三女、鮎子氏。視察先の関係者には「追加の相談は加藤氏に」とアピールした。
そもそもアベノミクスは、都心や大企業が経済的に潤うことで、次第に恩恵が地方にも広がるというのが基本的な考え方。だが、景気回復の勢いには陰りもみられ、地方が実感できるまでに景気が回復するとは想定しにくい。9月の内閣改造で地方創生を重要施策と位置づけたのは、こうした危機感の裏返しでもあった。
他方、膨大な財政赤字を抱える事情を考えれば、財政出動による地方活性化は避けたいのも事実。稲田朋美政調会長は「地方主導のアイデア合戦を促し、国がそれを後押ししたい」とばらまき型の地方活性化を否定する。
それでも党内には、「即効性のある対策は財政出動。一定の歳出増は仕方がない」(閣僚経験者)との認識が根強い。23日に党本部で開かれた地方創生実行統合本部(河村建夫本部長)でも、出席者から地方への予算配分の充実を求める声が上がった。
資源・エネルギー戦略調査会(山本拓会長)も「地方創生に資する分散型エネルギー会議」を発足させ、風力など分散型電源の整備予算拡充を狙っており、地方創生に名を借りた公共事業誘導の動きが顕在化している。
一方、政府による地方創生のかけ声に合わせ、自民党内の関連組織は林立したが、「人口減少・地方創生議連」(会長・町村信孝元官房長官)は、統合本部とのすみ分けに配慮し、名前を「人口減少対策議連」に変更。中長期的な人口減対策に軸足を置くように軌道修正した。