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「子どもの好きにやらせて!」 5歳で英検2級に合格した少年が、大人たちに苦言

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「子どもの好きにやらせて!」 5歳で英検2級に合格した少年が、大人たちに苦言

「子供はすぐ飽きる」「子供だから危ない」――そんな大人たちの先入観が、いかに子供の可能性にブレーキをかけているか。横浜の中学校に通う加藤博人氏が、抑圧された子どもたちの気持ちを代弁しました。(TEDxKids@Chiyodaより)

【スピーカー】
 

【動画もぜひご覧ください!】
Don’t decide the limits of children: Hiroto Kato at TEDxKids@Chiyoda

子どもの可能性に大人がブレーキをかける

加藤博人氏:横浜市内にある公立中学校に通っている加藤博人と申します。よろしくお願いします。さて、今日この場にお越しいただいているお子様をお持ちのお父さん、お母さん、お子様の見解を大人の基準で決めていませんか? 

子供だから無理、子供がやるのは危ない、子供には教えても分からないだろう、家の子にはまだ早い、本当にそうでしょうか? 自分の子供の能力ややる気、考え方を見極める前に、大人の先入観で子供のやる気や可能性にブレーキをかけていませんか?

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今年8月の参院選にはショックを受けました。それは投票率の低さです。あれだけ盛り上がっていながら、結局投票率は約52パーセント。

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しかも若い世代の投票率は約30パーセントととても低かったのです。僕は、腹が立ちました。「選挙権があるのになんで投票しないわけ? もったいない! 20歳未満であっても投票できる制度があればいいのに」と思いました。

もちろんそれは現実には難しいかもしれません。ですが、せめて子供が政治に興味を持つことを応援してくれる社会であって欲しい。僕は何度か政治家の後援会や街頭演説に行ったことがあります。子供は僕1人でした。

小学生で政治に興味を持つことは悪いことなのでしょうか? 日本では、大人が子供の前で政治について語るのはタブーのように思います。年齢だけで一律に区切られているのはとても悲しいことです。

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2012年の3月、東北のボランティアに参加した時もそうでした。どのボランティアも18歳以上、あったとしても16歳以上でした。やっと見つけたのが、この親子で参加できる農地再生のボランティアでしたので、こちらに参加して活動してきました。

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検定試験を好きになった理由

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検定の話をします。僕は、4歳の時から色々な検定を受けてきました。最初のきっかけは母の一言でした。

英語を始めてまだ3ヶ月くらいの時、「これ面白そうだよ、ひろ、あんたこんなの好きでしょ」と言われました。その時、パソコンの画面を見せてくれて、それが児童英検でした。サンプル問題をやってみたらすごい楽しかったので、実際の試験を受けてみることにしました。

どんどん次を受けたいという僕に、母はブレーキを全くかけませんでした。こうして英検は5級受験からちょうど1年、5歳の終わりに2級に合格しました。でも、後になって僕のお母さんが教えてくれました。「小さい子に合格、不合格のあるテストを受けさせるなんてかわいそう。親のエゴで受けさせているんだろう、ひどい親だな。」と言われたそうです。

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僕自身が受けたい、合格できるように頑張りたい、という気持ちで受けてきたのに。検定が好きになった理由はもうひとつあります。それは年齢制限がないこと、子供も大人も同じ条件で評価されること、ここがポイントです。

大人も子供も、ちゃんと正しい努力をすれば合格できる。逆に努力をしなければ落ちる。これが最高です。

僕はテレビをよく見ます。僕の家にはあまり厳しい規制はありません。漫画はだめ、とかテレビのニュースはいいけど、バラエティはダメ、とかそういったルールもありません。「あんたが吸収するものに無駄なことは何もない」という母の教えがあります。

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だからいつも、何でも学び取ってやろうというアンテナを張ってテレビを見る癖がついてしまったように思います。例えば半沢直樹、ストーリーも面白かったんですが、所々で専門用語の解説が出てくるのでとても面白かったです。知らない言葉も、映像と共に覚えられる楽しさもテレビの魅力の1つです。

好きなものほど吸収できる

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僕は車やミニカーから沢山のことを学んできました。

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これが僕のミニカーのコレクションです。約3,000台あります。それぞれの国の車に特徴や国民性と好まれる車の関係性があります。ハイブリット車の仕組み、電気自動車の仕組み、なぜ日本車が海外で評価が高いのかなど。

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車から学べる単語も沢山あります。例えば、車にはショックアブソーバーという部品があるのですが、ショックとは衝撃で、アブソーバとは吸収するものという意味です。

路面から伝わる衝撃を吸収してやる装置のことなので、ここでもアブソーバという言葉が意味として、感覚として強くなります。こんなふうに自分の好きなものをベースとして言葉を覚えていくと、とてもよく記憶に残ります。僕は3歳になってからすぐおばあちゃんの車椅子を押してきました。

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最初はうまく押せなかったし、母に手伝ってもらうことも度々ありました。しかし、5歳の頃には段差の乗り越え方、エレベーターの載せ方、テコの原理を使ったトランクの積み込み方、おばあちゃんが不安を感じない載せ方なども学びました。また英語圏では人の間を通る時「excuse me」じゃなく、「excuse us」ということをも学びました。

子供は親に理解してもらえることが何より嬉しい

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最後に、子供が何かに興味を持ったらどうせすぐ飽きるだろうと思わないで、とりあえずやらせてあげてください。それから、こんなの勉強の何に役立つの? と思うことでもぐっと我慢して子供が興味を思ったり、自分から何かを覚えようと思っていたら是非サポートしてあげてください。

大人の先入観で子供だから分からないだろう、子供は皆えてして勉強が嫌いなもの、と決め付けるのではなく子供がやってみたいと思うこと、そのタイミングを大事にしてあげてください。

失敗から学べることは山ほどあります。子供は親に理解してもらうことが何よりも嬉しいのです。大好きなお父さん、お母さんが大人の判断で限界を決めることなく、チャレンジさせようとしてくれたことで自分を信じてもらえたと、とても安心できると思うのです。ご静聴ありがとございました。