トラック:集まれ若手!新免許導入へ業界期待 懸念の声も
毎日新聞 2014年10月26日 08時25分(最終更新 10月26日 10時33分)
政府がトラックの新たな免許制度導入の検討を進めている。来年の通常国会に道交法の改正案を提出し、18歳で運転できる範囲を総重量5トン未満から7.5トン未満に広げる方針だ。運送業界は若いドライバーが不足しており、高校の新卒者などが運送業界に入りやすくするのが狙い。業界は「人材確保につながる」と期待を寄せるが、規制緩和が事故増加につながらないような仕組み作りも課題になる。【鈴木一生】
「ドライバーを募集しても、20歳前後の若者が来ることはほとんどない」。福岡県内の中規模トラック会社の社長はため息交じりに話す。保有するトラックは約60台で、ドライバーは70人前後。募集は40代までとしてきたが、人数が集まらず昨年から50代までに広げた。「若年層不足で高齢化が進み不安を覚える」と言う。
現行の運転免許制度は総重量別に、普通(5トン未満)▽中型(5トン以上11トン未満)▽大型(11トン以上)−−の3区分。以前は普通免許で8トン未満まで運転できたが、普通免許のドライバーによるトラック事故が多発したため、政府は2007年、普通と大型の間に中型免許を設け、取得条件を20歳以上で運転経験2年以上とした。
一方で、中型免許制度導入は若年ドライバー不足の一因となった。高校の新卒者が普通免許を取って運送会社に就職しても、中型免許を取得するまで最短2年は5トン以上のトラックを運転できない。コンビニエンスストアの配送などに使われる小型トラックは近年、保冷装置やパワーリフトを装備し、総重量が5トンを超えることが多くなり、業者側も即戦力にならない若者の採用を見送らざるを得なくなったという。
全日本トラック協会によると、運送業の就業者構成比で10〜20代は03年に18.5%だったが、13年は10.1%に下がっている。
そこで政府が検討しているのは、普通免許と中型免許の間に3.5トン以上7.5トン未満の新たな免許を設けることだ。普通免許取得後の年数は問わず、18歳から取れるようにする。
ただ、トラックは重くなるほど事故が増え、死亡事故の危険も高まる傾向にあり、中型免許導入も事故防止が目的だった。免許制度見直しと共に安全対策強化も求められる。