「女性が露出度の高い服を着るのが問題なのでしょうか。それとも、それを見て触る人が問題なのでしょうか」。講師の質問におじいさんたちがざわめいた。「はいているのかいないのか分からないほど短いスカートをはく女が問題だ。目の毒だ」「その通りだ。こういうのが原因をつくっている。国がしっかりと取り締まるべきだ」。これを聞いたキム・マルシムさん(80)=女性=が、一言言い返した。「触る人間が問題だ。一体何を考えているのか」
9月23日午後、ソウル市城北区キルム・ニュー・タウンの大林マンション内にある敬老堂(高齢者たちの交流の場)を訪れた。生まれて初めて「性的暴行予防教育」というものを受けたおじいさんとおばあさんたちの話し合いは、しばらく続いた。最高齢のキム・チャンジョンさん(92)=女性=から最も若いキム・ビョンイルさん(75)=男性=まで、受講生15人の平均年齢は80代前半だ。講義を担当した韓国両性平等教育振興院のチェ・ヒョンジュさん(51)は「敬老堂で性的暴行に関する講義をしたのは13年間の講師生活で初めて」と話す。チェさんは「歴代最高齢の学生を相手に講義した」と笑った。
同日の講義は、女性家族部(省に相当)が今年初めて導入した、高齢者対象の性的暴行・家庭内暴力予防教育だった。高齢者のための性教育の必要性に共感した城北警察署と大韓老人会が、韓国青少年性文化センター協議会の協力を得て実施した訪問型の講義だ。ソウル市内での初の講義が先月22日と23日、城北区一帯の老人ホームで行われた。「性的暴行に関する教育を行う」とのうわさに同敬老堂のおばあさんたちは、最初は首を横に振った。「年寄りを相手に性教育したところで何になる」と言った92歳の最高齢キム・チャンジョンさんの言葉に皆笑った。しかし、実際に同日行われた1時間の講義の途中で席を外した人は一人もいなかった。ノ・ウスンさん(84)=女性=は「年寄りによる性的暴行のケースを聞いて、私も女だから恐ろしくなった」と話した。