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抜いた歯の幹細胞で骨を再生 愛知医科大、臨床研究へ

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 抜いた歯の神経から骨のもとになる幹細胞を取り出して培養し、歯周病などでなくなったあごの骨を再生させる世界初の臨床研究を、愛知医科大歯科口腔(こうくう)外科の山田陽一准教授らのグループが始める。患者の身体への負担が少なく、インプラント(人工歯根)手術などへの活用が期待される。

 二十四日の厚生労働省の科学技術部会で臨床研究が了承された。

 インプラントの土台になる骨は、歯周病や歯槽骨萎縮症で欠損している場合、本人の腰の骨を切り取って移植したり、牛など動物の骨や人工のセラミックを埋め込んだりしている。入院を伴う手術などの負担が大きく、治療をあきらめる人が多い。

 山田准教授は、抜歯した親知らずなどの歯髄(歯の神経)に含まれる幹細胞に着目。本人の血液からつくった血清と合わせて培養し、細胞の増殖を促す多血小板血漿(けっしょう)と混ぜ合わせて骨をつくりたい部分に詰めると、三カ月ほどで骨ができる。イヌを使った動物実験はすでに成功している。

 本人の骨を移植する方法では骨が安定するまでに約半年、セラミックでは一年かかる場合もあるのに比べ、治療期間が短縮できる。感染症などの危険も減らせるという。

 インプラント以外にも、歯周病で抜けそうになってしまった歯の周りに骨を再生することで、歯を抜かなくてすむようにすることもできる。

 山田准教授は「不要になって抜いた後、捨てていた歯を有効に使える。細胞は凍結保存できるため、抜いた歯を保存しておき、必要な時に役立てることも考えられる」と話している。

 

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