妄想王・平本、初Ｖへ「６７」賞金ランク９５位の伏兵４差３位

　◆男子プロゴルフツアー　ブリヂストンオープン第３日（２５日、千葉・袖ケ浦ＣＣ袖ケ浦Ｃ、７１１９ヤード＝パー７１）

　無名の２８歳、平本穏（アイディオー）が５バーディー、１ボギーの６７で通算８アンダーとし、首位と４打差の３位に浮上した。賞金ランク９５位のプロ８年生が、逆転でツアー初優勝と初シード取りを狙う。賞金ランク２位の小田孔明（３６）＝フリー＝が６９で回り、１２アンダーの単独首位で８勝目に王手。０８年大会王者の矢野東（３７）＝フリー＝が３打差の２位につけた。

　補欠から繰り上がり出場した無名選手、主役に成り上がる。秋晴れのムービングデー。１３位から出た平本はピンだけを狙い続けた。「『予選を通ればいいではなく、優勝争いするつもりでやろう。イケイケで攻める、がテーマ』とキャディーと話していた」と強気の理由を明かした。

　安定したショット、パットでスコアを４つ伸ばした。１番は残り１６０ヤードを９アイアンで５メートルにつけてバーディー発進。４番は右バンカーから２メートル、５番は６アイアンで２メートルに寄せてバーディーを重ねた。首位に４打差と、初Ｖの狙える好位置で最終日を迎える。

　アマ時代はタイトルに無縁。今季も１４戦中５戦が予選落ちで最高は１５位、賞金ランクも９５位と苦戦中だ。そんな伏兵も“シンデレラ”になる可能性はある。実際、広島・賀茂ＣＣでの研修生時代を過ごした６歳上の先輩・竹谷佳孝が、６月の日本ツアー選手権で初優勝。賞金シードもないプロ９年生がメジャーを制した。関係者から「次はお前だな」と電話が相次ぎ「うれしく思ったけど、先を越されたな、とも思って」悔し泣きした。やはり同郷の先輩の沖野克文もチャレンジツアーで来季出場権を確保。「取り残された感じで悔しい」と期する思いはある。

　小学生時代はマスターズ、中学生時代は全米オープン優勝を思い描き、「僕は妄想だけは一流」と豪語する。この日は優勝インタビューで「優勝争いは体に悪いね」と答える場面を思い浮かべて回った。「明日も成功するイメージを持ってイケイケでいきたい。一撃食らわせたいと思います」。優勝なら初シードはおろか、日本シリーズＪＴカップ出場権獲得。失うものはない２８歳が、一世一代の勝負に挑む。（榎本　友一）

　◆平本　穏（ひらもと・やすき）１９８６年５月１１日、東広島市生まれ。２８歳。父の影響で１０歳からゴルフを始め、瀬戸内高から名商大に進学も１年で中退。広島・賀茂ＣＣで研修生となり、２１歳でプロテストに一発合格。０７年にプロ転向。１２年にレギュラーツアー本格参戦。昨季は賞金ランク１３０位（２４３万７５円）。家族は妻・愛実さん（２６）、長男・誉（しゅん）くん（２）。１７２センチ、６０キロ。血液型Ｏ。