【御嶽山噴火1カ月】登山届義務化は2火山 「観光にマイナス」
ヘルメットが新たに配備されたのは10火山で、安全対策が進まない実態が明らかになった。
御嶽山の噴火で行方不明の人数確定が難航したのは、登山届を提出していない人が多かったのが一因とされている。
岐阜県は、御嶽山の入山者に登山届の提出を義務付ける山岳遭難防止条例案を12月議会に提出する方針を決めた。長野県は阿部守一(あべ・しゅいち)知事が「幅広く検討する必要がある」として、慎重な姿勢を示している。
新潟焼山は、1974年の噴火で死者が出たことがあり、新潟県は登山届を義務化する条例の制定を検討する方針を明らかにしている。
一方で大雪山系旭岳がある北海道の東川町企画総務課防災担当者は「対策をすることで『危ない山だ』と思われると観光にはマイナス」と話す。
蔵王山を抱える宮城県観光課の担当者も「気軽に来ることができる山。住所を書かせるなど登山届はプレッシャーを与えてしまう」と心配する。
日本山岳会の古野淳(ふるの・きよし)副会長は「万が一のことがあった場合、救助隊に自分を見つけてもらう重要な手掛かりになる」と強調、義務化されなくても、登山届は提出するよう呼び掛けている。
また御嶽山の噴火後、山小屋などにヘルメットが新たに配備されたのは十勝岳(北海道)、鳥海山(秋田、山形)、栗駒山(秋田、岩手、宮城)、蔵王山(宮城、山形)、草津白根山(群馬)、伊豆大島(東京)、新潟焼山、焼岳(長野、岐阜)、鶴見岳(大分)、霧島山(宮崎、鹿児島)の10火山。ほかの火山では「検討中」「山小屋がない」などとする自治体が多かった。
噴火警戒レベルが3(入山規制)となっている御嶽山と桜島(鹿児島)など、一部の火山は登山自体ができない。
(共同通信)
2014/10/26 11:03