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裁判官が寝坊で欠席 書記官もうそ

 名古屋家裁岡崎支部(愛知県岡崎市)の佐川真也裁判官(31)が23日午前に開かれる予定だった家事審判に寝坊して現れず、期日が取り消しされていたことが25日、分かった。事実を隠そうとした書記官が「別の裁判が長引いている」と、うそをついたことも発覚。真実を追求するはずの裁判所で、前代未聞の問題が起きた。

 開廷時間に、裁判官は布団の中にいた。家裁総務課によると、定刻を回った午前10時過ぎ、書記官が電話をかけたが連絡が取れなかった。親族間のトラブルに関する審判。焦った書記官は双方の代理人弁護士に「別の裁判が長引いている。もう少し待って」とうそをついた。

 同20分ごろ、2人の裁判所職員が徒歩約5分の距離にある佐川裁判官の自宅を訪問。インターホンを鳴らすと佐川裁判官が驚いた表情で起きてきたという。同30分ごろ、佐川裁判官の指示で書記官が代理人弁護士に「裁判官が来られなくなった」と説明し、その日の期日を取り消した。佐川裁判官は同40分、裁判所に到着した。

 不審に思った弁護士が事務所へ戻った後、同支部に説明を求めた。佐川裁判官は午後3時30分ごろ、弁護士事務所を訪れ「本当は寝坊だった。体調に問題があった」と謝罪した。

 佐川裁判官は「8時半ごろに目を覚ましたが、体調不良で起きられなかった。2度寝をしてしまった」と説明しているという。この日午後の予定は通常通りこなした。総務課の担当者は「前の晩の夜更かしや二日酔いが原因ではない」と説明。一方で「体調不良の具体的な症状は正確には分かっていない」とし、週明けにも聞き取りをするという。

 書記官はうそをついた理由を「裁判官がいない理由が分からなかった。事情をそのまま伝えることにちゅうちょした」と説明しているという。佐川裁判官の23日のスケジュールは確認し、午前10時前に裁判予定がないことは確認していた。総務課によると、審判が長引けば、次の裁判の開始時間が遅れることは珍しいことではないという。

 佐川裁判官は翌24日の業務も通常通りこなし、週明けも通常勤務の予定。総務課の担当者は「厳しい指導を行っていく。事実関係を確認した上で、処分などを検討する」と話した。

<最近の主な寝坊トラブル(交通機関を除く)>

 ◆衆院選 2012年12月16日、長崎県大村市役所三浦出張所投票所で、投票管理者の男性職員(当時60)が寝坊。自宅から投票用紙などを午前6時30分に投票所に持参する予定だった。市選管が予備投票用紙を届けたが、7時の投票開始に間に合わず、15分遅れた。市民4人が待たされたという。

 ◆舞台 昨年4月21日、東京・新国立劇場の舞台「効率学のススメ」に出演していた俳優田島優成(ゆうせい、当時25)が、午後1時開演を同7時と勘違い。公演は中止になり、チケットの払い戻し費用などは所属事務所が負担。田島は事務所との契約を解除された。

 ◆消防署 昨年9月20日午前3時20分ごろ、千葉県四街道市の民家で火災が発生。市消防署で同22分、出動を命じる放送が流れたが、仮眠していた50歳代の男性消防隊長が起きなかった。他の隊員が消防隊長を起こしに戻り、出動が最大4分遅れた。火災では男性1人が死亡、女性1人が重傷。

 [2014年10月26日8時32分 紙面から]

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