北野武監督「撮り続けろ」若手監督にアドバイス
北野武監督(67)が25日、東京・六本木などで開催中の「第27回東京国際映画祭」で「SAMURAI賞」を受賞し、トークイベントに臨んだ。日本学生映画祭、PFF(ぴあフィルムフェスティバル)の受賞者である学生を中心とした若手監督らに、“先輩”として映画監督の心得を指南。笑いを交えながらのメッセージに、学生らは真剣な表情で聞き入っていた。
「比類なき感性で常に時代を切り開き続けている映画人に贈る賞」として、今年から創設されたSAMURAI賞。北野監督は、ティム・バートン監督(56)とともに、栄えある最初の受賞者に選ばれた。
登場するなり「小渕優子です」と第一声。政治とカネの問題で大臣を辞任したばかりの小渕衆院議員の名前を挙げた後に「経産省から来ました」とギャグ。どんな顔をしていいのか戸惑いを見せた若手監督たちだが、北野監督が「世界のキタノ」の顔になった瞬間、表情を一変させた。
イベントは、若者たちの質問に北野監督が答える形で進行。「お金がなくても、社会が注目するようなものを撮る。言いたいのは、映画に人生を懸ける必要はないけど、撮り続けること」と継続の大事さを説いた。
北野監督自身、過去作品では興行的に満足のいく結果が出なかった作品もあるが、「撮りたいもの」の製作を続けてきた。「さまざまな不自由の中で、『どれだけ裏切ってやろうか』を考えればいいし、撮った作品がいいか悪いかは、客に任せればいい。『こう見てほしい』なんて言う必要もないんだから」「(自分の作品に)テーマはほとんどない。最後のシーンを写真のように思い浮かべる。そこまでもっていく起承転結を考えて撮ると自然と映画が主張しだす」と話した。
毒舌も忘れない。北野監督は「日本映画の最悪な点は映画製作会社が映画館も経営していること」と指摘。メジャー以外の良作に上映や評価の機会が少ない状況にいらだちを隠さず、「大きな映画会社に巻き込まれないようにしてほしい。皆さまに期待するのは『ちゃんとした映画』を撮ることだね」。若手監督たちは皆、一様に大きくうなずいた。
司会者から「後輩たちへの励ましの言葉を」と言われると「『頑張れ』とは言いません。若い芽は、早く摘んでおいた方がいいんだから…」と北野監督。“変化球”の応援メッセージは、何より心に響いたに違いない。