昔々、爺さんが山へ柴刈りに、婆さんが川へヨーソローしにいったんだ。
すると川上から大きな桃がシャラララララと流れてきやがったから、俺は婆さんに言ってやった。
いいか婆さん! お前が桃を拾え! たとえ川に転げ落ちても、雷に打たれても、お前が桃の行く先を決めるんだ!
婆さんが桃を持ち帰って割ってみると、中から大きな赤ん坊がひり出てきちまった。
爺さんは思ったよ。オウ、俺の人生、まだ九回裏じゃねえ。このガキ、立派なチンピラに育ててやる!
桃太郎って名付けられたガキは激しいトレーニングの結果、ムキムキになったんだ。そして爺さんたちに言った。
「鬼退治させろコノヤロウ!!」
婆さんからきび団子をもらって、桃太郎は初めて本気で泣いたんだ。俺、やりますってな。きび団子ははじけて飛んだ。
そして桃太郎は「肉体改造」と書かれた旗をかかげて鬼退治へ向かったんだ。すると道の向こうからしみったれたツラをしたイヌ、サル、キジがきやがった。
「オウ、桃太郎さん。お腰につけたきび団子、ひとつオイラ達にくれねぇか」
「求めるだけが愛じゃねえだろうが!」
するとイヌ達は泣いて泣いて家来になりてぇ、家来になりてぇと言ったんだな。
それから桃太郎は三匹を連れて、死にたいくらいに憧れた鬼ヶ島に着いたんだ。そして鬼たちに言ってやった。
「鬼退治に憧れて、飛んできました四羽鳥。今日も降りますドスの雨、刺せば監獄刺されば地獄。本日、鬼の皆さんを退治させていただきやす」
そしていっせいに鬼たちに跳びかかって、ピーピーピーしてやった。
イヌ! お前は今日だけ狼だ! この小さな島国を、縦横無尽に駆けまわってやれ!
サル! お前は侍だ! 歌え! ギターを持って歌うんだ!
キジ! お前はRUN…RUN…RUN…
すると鬼たちが「もう許してくれ」っていうもんだから、桃太郎は鬼たちの泣きっ面にションベンをひっかけてやった。ろくなもんじゃねえ!
そして金銀財宝を持ち帰って遥か長い道のりを歩き始めた桃太郎達に幸せあれ。じゃあな、ごちそうさん!
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