差別撤廃に向けてともに闘う
インドを含む南アジアにおけるダリット差別には、日本の部落差別に共通する特徴がいくつもあります。カースト制度のもと、ダリットは“不可触”であり“不浄”であるとして、特定の職業に従事させられ、従事する職業ゆえに差別をうけてきました。社会の他の部分から分離され、平等な機会を否定され、生産活動から排除されてきたことで、ダリットは世代にわたる負の連鎖による「貧困」を余儀なくされてきました。
国連は、ダリット差別や部落差別は、類似した形態の差別であるとして、2000年から専門家による調査を始めました。数年に及ぶ協議を経て、2007年には「『職業と世系に基づく差別』の効果的撤廃のための原則と指針案」が作成されました。これら一連の動きの背景には、部落やダリットの運動体とIMADRや国際ダリット連帯ネットワーク(IDSN)などの国際NGOの積極的な働きかけがありました。国連の調査の結果、この差別は、西アフリカや北東アフリカの一部地域、イエメンなどにも存在していることが明らかになりました。
現在、この形態の差別を受けている人は、世界で2億6千万人いると言われています。ナビ・ピライ国連人権高等弁務官は、2009年9月「世界はアパルトヘイトの壁を壊したように、カースト差別の壁を壊さなくてはならない」と断言しました。撤廃に向けた国際社会の努力が強く求められるこの課題に、IMADRは部落・ダリットの運動体や国際NGOと協力しながら取り組んでいます。
部落差別:被差別部落は、日本の封建社会において形成された身分制度のもとで、他の身分と分離させられ、衣・職・住等あらゆる生活面で厳しい状態におかれてきたコミュニティです。1871年明治政府は解放令をだし、身分制度を廃止しましたが、その後も部落差別は続き、政治、経済、社会、文化、教育を含むさまざまな領域で被差別部落出身者に影響を及ぼしてきました。国は部落差別により生じた問題を同和問題と呼び、2002年までの33年間、解決に向けた措置をとりました。その結果、一定の環境改善はみられたものの、部落差別の根本的な解決には至らず、差別意識は今も根強く残っています。
パネル冊子『日本の部落差別 歴史・現状・課題』
ダリット:ヒンドゥー教にまつわる身分制度であるカースト制度は、人間社会を僧侶、武将、商人、隷属民の4つの身分階層に分け、それら階層の外にアウトカーストあるいはアンタッチャブル(不可触民)と呼ぶ被抑圧集団を作りました。さまざまな差別的呼称をつけられ、抑圧されてきたこれら人びとは、近年になり自らをダリット(「壊されし人びと」の意)と呼ぶようになりました。インドを含む南アジアを中心にダリットのコミュニティは存在します。国により違いはあるものも、ダリットに対する差別と排除は今も続き、住居の隔離、水資源の使用制限、教育の機会や職業選択の制限、残虐行為と不処罰などの慣行が横行しています。
パネル冊子『インドのダリット(被差別カースト)歴史・現状・課題』
部落とダリット・草の根を結ぶ
インドのNGOが発信するダリットに対する残虐行為や人権侵害のニュースフラッシュです。
NGO活動、関係政府や国連の措置や報告など、ダリット・部落差別問題に関する最新の動きをお知らせします。
IMADRが支援するインドとネパールにおけるダリット女性たちのとりくみです。
南アジアにおけるダリットの現状
インド、ネパール、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン、それぞれの国にカーストに基づく差別と排除にさらされているダリットやマイノリティのコミュニティが存在します。こちらをクリックしてみてください。
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