「新幹線」をあきらめきれない面々

奥羽、羽越、山陰、中四国、東九州・・・

山形新幹線は新幹線であって新幹線ではない

10月17日、国土交通省はJR東海が申請していた中央新幹線リニア、品川―名古屋間の工事実施計画を認可した。2014年内にも着工される見込みで、完成予定の2027年にはリニア時代がいよいよ現実に到来する。

「中央新幹線リニア」または「リニア中央新幹線」。名称のとおり、リニアとは新幹線の一種である。違うのはその走行方式。これまでの新幹線は、車両がレール上に乗っかっているが、リニア中央新幹線では、超電導磁石を搭載した車両が地上コイルを付設したガイドウェイ上を10㌢㍍ほど浮上して移動する。国土交通省の文書などでは、リニアは「超電動磁気浮上式鉄道」と呼ばれている。

この中央新幹線リニアの工事計画認可を複雑な思いで見つめている面々がいる。奥羽、羽越、中四国、九州といった地方だ。

山形新幹線の最高時速は130km

「山形にフル規格新幹線を!」

山形県は今年5月、地元新聞に意見広告を出した。そこにはフル規格新幹線が通った都市が発展しており、奥羽―羽越新幹線をフル規格新幹線で整備するよう求める内容が書かれている。

山形には福島から山形を経て新庄にいたる「山形新幹線」があるが、これは新幹線であって新幹線ではない。在来線の線路幅を新幹線に改良した「ミニ新幹線」方式で、福島―新庄間の最高速度は時速130キロメートルに過ぎない。「時速200キロメートル以上の高速度で走行できる幹線鉄道」こそが、本当の新幹線なのだ。

中国・四国地方や東九州などでも新幹線の整備を求める動きが活発化している。背景にあるのは、リニア中央新幹線が「基本計画」路線から、一挙に「着工路線」にまで上り詰めたという点だ。

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