東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 速報ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

戦争って 核兵器って 平成世代 ゲンに学ぶ

2014年10月25日 13時53分

はだしのゲンをテーマにしたチャリティーイベントの準備をする日大国際関係学部の学生たち=静岡県三島市で

写真

 漫画「はだしのゲン」を題材に戦争と核兵器の恐ろしさを学ぶイベントが十一月一日、日本大国際関係学部(静岡県三島市)の大学祭で開かれる。運営するのは平成世代の学生たち。「戦争を知らない自分たちが、原爆をどのように考えたのか知ってほしい」と来場を呼びかける。 (山田晃史)

 日本文化と現代ロシア問題を研究する安元隆子教授(57)ゼミの三年生が中心に企画した。ゼミはこれまで、原発事故があった旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリを視察し、東京電力福島第一原発事故との比較などに取り組んだ。

 「日本とロシアに共通するものとして核の問題があった」と安元教授。日本文化を代表する漫画で原爆を扱った「はだしのゲン」を今年の研究テーマに選んだ。最近は閲覧制限問題で注目を浴びる形になったが、安元教授は「作品が時代の流れで消えてしまうこともある。学生たちにしっかりと対峙(たいじ)して、作品について考えてもらいたかった」と狙いを話す。

 当日は、作品を読んだ日本とロシア、米国の学生にアンケートした成果や、広島を歩いたフィールドワークの内容を発表する。作品を英語、ロシア語、中国語、ハングルで世界に発信した翻訳者四人のシンポジウムもある。

 「(内閣が容認した)集団的自衛権行使の議論が起きた時、私たちは戦争を知らない世代だと痛感した」と話すのはゼミ副代表の新藤蘭(らん)さん(20)。「実際に戦争で起きたことを想像して、反戦や反核についてもう一度考えてほしい」と訴える。

 来場者には折り鶴を折ってもらい、アンケートに協力した各国の学生の折り鶴と合わせて千羽鶴とし、広島に届ける。イベントの収益は福島と広島、チェルノブイリの核被害者支援などに寄付する。ゼミ代表の石原悠伍(ゆうご)さん(20)は「自分たちの頑張りで支援できることにやりがいを感じる」と話す。

 歌手の加藤登紀子さんも特別出演し、作者の中沢啓治さんが平和への思いを残した詩を歌にした「広島 愛の川」などを歌う。

  ◇ 

 イベント「世界を駆ける『はだしのゲン』」は一日午後一時から、JR三島駅北口前の日大国際関係学部校舎一階山田顕義ホールで。入場料は学生千円(前売り八百円)、一般二千円(同千八百円)。問い合わせは石原さん=電080(6911)7875=へ。

 <はだしのゲン> 自身の被爆体験を基にした故・中沢啓治さんの自伝的漫画。原爆で家族を亡くしながらもたくましく生き抜く少年の姿が描かれ、アニメ・映画化されたほか、各国語にも翻訳されている。松江市では2012年、市民からの陳情をきっかけに市教育委員会が「描写が過激」として、全小中学校の図書館で作品を閉架措置にした。その後、再考を求める要望を受けるなどして13年に撤回された。

(東京新聞)

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo