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人手不足もあって企業の求人数が増え、学生の内定率は上がっている。一方で…
人手不足もあって企業の求人数が増え、学生の内定率は上がっている。一方で「短期決戦」の様相が強まり、複数の内定を得た学生からの辞退を巡るドタバタも――。来年春に大学・大学院を卒業する学生の就職活動は、こんな状況のようだ。
リーマン・ショックで「就職氷河期」の再来がささやかれたころと比べ、学生の選択肢が増えたことは喜ばしい。ただ、内定辞退が相次ぐ一方で、なかなか就職先が決まらない学生も少なくない点は見過ごせない。
企業は就職情報会社のサービスも使って多くの学生を集め、エントリーシートや筆記試験、面接など似たり寄ったりの方法でふるいにかける。学生はそれに身を任せるしかなく、自分の特徴を十分アピールできない。そんな構図が続く。
16年春の卒業生から、就職・採用活動のスケジュールが変わる。学業に専念する期間を確保するため、「大学3年の3月に会社説明会解禁、4年の8月に選考開始、10月から正式内定」になる。スタートが3カ月遅くなり、その分全体の期間は短くなる。「短期決戦」の弊害を防ぐことがいっそう大切になる。
学生と企業双方の関心が高く、文部科学省も推奨するのがインターンシップだ。職場を体験すれば、学生は職種や企業への理解が進む。2~3カ月間も社員と一緒に研究に挑んだり、新規事業を学生が提案したりと、内容も多様になってきた。
ただ、ある民間調査によると、昨年度に企業がインターンシップの対象としたのは、3年生が9割と圧倒的に多かった(複数回答)。就職・採用と結びついているのが実態だ。
教育の一環として、早い時期から学生が企業と接する機会を増やしたい。卒業後を見すえた「キャリア教育」には多くの大学が力を入れている。OBやOGを招いた講演会などに加えて、もうひと工夫できないか。
例えば、京都産業大学(京都市)のプログラム。様々な学部の2~3年生が、希望に沿って特定の企業の社員と半年間向き合い、「新ブランドの宣伝方法」といった実践的な課題を一緒に考える。電気通信大学(東京都調布市)では、企業の定年退職者を中心に60人余りがボランティアの補助講師を務めており、学びを助けながら企業の姿も伝えている。
企業との「ふだん付き合い」を通じて学生がさまざまな職場を知り、就職活動の本番前に希望を絞り込む。そんな形になれば、企業にもメリットは大きいはずだ。
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