東京五輪へ スポーツとテレビ
@ テレビコンテンツとしてのテレビ
バレーボール元全日本女子キャプテンの吉原知子氏は「バレーボールがメジャーであってほしいと思う。そのためにはテレビが必要で、選手時代もテレビとスポーツは密着していると感じていた」と話した。さらにシドニー五輪の出場を逃した際のことについて「注目されていたのに、五輪に出られなかったことでテレビはさっと引いてしまった。その時に、バレーボールが忘れ去られてしまうのではという危機感を感じた」と語った。
一方バレーボールがテレビ放送などを意識した様々なルールを変更してきたことについて「選手としてはルール変更は大変だった。ラリーポイント制になると、正確性が求められるので、研ぎ澄まさせるプレーが求められる。競技が変わったように感じた」と述べた。コメンテーターのライター速水健朗氏は最近試験的に導入されているチャレンジシステムを例に挙げ「テクノロジーは視聴者に寄ったシステムでテレビがより面白くなる面もある」と語った。吉原氏は「ルールを変えないままテレビに取り上げてもらえなり、マイナーになっていくのはいけないが、ルール改正でそのスポーツの面白さが削られてはいけない。その辺がすごく難しい」と語った。
A 選手育成とメディア
吉原氏は「スターはいないと成り立たない部分もあると思う。しかし、選手がかわいいと目立つが、それだけでテレビに持ち上げられすぎると潰れてしまうことがある。限度があるのでは。ある程度は必要だろうと思うが、持ち上げられすぎて、うまくいかなくてファンが離れていくと自分が取り残された感じになり、潰れてしまう選手、プレッシャーに負けてしまう選手もいる。」と語った。
GUEST PROFILE
吉原知子元全日本女子バレーボール代表/スポーツコメンテーター
2004年アテネ五輪世界最終予選で主将に指名される。柳本ジャパンの精神的支柱として、闘志を前面に出すスタイルでチームを牽引。見事アテネ五輪出場を果たし日本中を沸かせた。
国内のみならず海外、イタリアでのプレー経験も持ち、また、国内では所属した全てのチームで優勝という華やかな戦績を残し「優勝請負人」と呼ばれた。五輪出場3回の経験は日本女子バレーボール界の至宝と言える。
2008年に2016東京オリンピック・パラリンピック招致委員を務め、アスリートの立場から招致活動を展開。また2009年より筑波大学大学院で体育学を専攻し、2011年に修士課程を修了。そのキャリアを活かし、2012年には大東文化大学講師を1年間務め、現在はVリーグ初の女性理事としても活動するほか、テレビ解説、バレーボール教室を中心に、講演活動も積極的に行っている。
COMMENTATOR
速水 健朗(ハヤミズケンロウ) 編集者・ライター