汁かけご飯(その4=最終回) 海の向こうの「かきこみ」事情
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このサイトを始めてほぼ丸7年がたった。ということは当時の私はまだ51歳の若造であった。それがいま「定年まであと2年」である。時の流れは速い。
それにしても同人の皆さんは、よくも飽きることなくお付き合いくださっているものであることよと、感心しつつ深甚なる感謝の念を抱いているのである。
この7年間というもの、1度も夏休みを取らず、週末には各地のイベントに出かけ…という生活であった。換言すれば自腹出張生活でもあった。
しかしながら、それで得たものは言葉にできないほど大きい。列島のあちこちに友人ができた。以前の記者活動では決して体験することがなかったであろう感動的な場面に何度も立ち会うことができた。私は幸せ者である。
昨年は久留米で行われたB-1グランプリ |
中でも八戸から始まったB-1グランプリ、そこで生まれた愛Bリーグは、これまでがそうであったように、これからも私の人生に大きな地位を占めるであろう。
まだ公表できる段階ではないが、愛Bリーグは単なるイベントの主催団体ではなくなりつつある。地域活性化の新たなモデルを模索し、実行に移そうとしている。そんな活動に関与できるのも幸せなことである。
そのB-1グランプリinYOKOTEが週末に迫っている。NHKや民放の番組が大々的に取り上げ、ムードはいやが上にも高まってきた。
私は当サイトが更新される18日の午前中に横手入りし本番の19、20日を迎える。18日は愛Bリーグの理事会、総会、前夜祭と忙しい。来年は厚木と決まっているが、それ以降の開催地選定という難しい問題も残っている。
B-1グランプリinYOKOTEのポスターとチラシ (http://b-1gp.yokotecci.or.jp/) |
来週は連休のため休載。再来週に横手B-1の模様を報告する。
さてそれ以降のことである。実は食の境界線を探るために糸魚川―静岡構造線を糸魚川から甲府、富士市へと南下する旅に出ることになった。旧東海道については2年前の春に踏破して境界線を確定した。しかしそれは太平洋側の境界線であり、日本海側は手付かずであった。加えてこれまで何度も東西文化の境界線として言及してきた糸魚川―静岡構造線の線上についても私が知っていることは少ない。
ここは自分の目で確かめようではないか。そう思い立ってから時間がたったが、やっと実現する。恐らく10月初めから2週間余りの旅になろう。ルートの関係で基本は鉄道と車だが、歩けるところは歩く。
ネギの色、ポリタンクの色、うどんかそばか、サンマーメンの北限はどこかといったことに目を配りながら進みたい。
謎の隊員梵ちゃん 鼻も利かせるぜぇい!
東京スカイツリー成長中(本文と関係ありません)。写真はこれから随時掲載します |
旅の途上で2回、現地からリポートする。帰ってからは詳報を連載する予定である。果たして思惑通りの成果があがるかどうかはわからない。しかし行ってみなければ始まらないのも確か。買わない宝くじは絶対当たらないのである。
途中、寄り道して長野市に行く。ここの焼きそばが実に面白いという情報をいただいている。飯田にも行きたい。豊橋と飯田線で結ばれているあの街の食文化やいかに。
マグマ大使の「ゴア」怖かったデスク 「フォッサ・マグナ」って地底の話だから「フォッサ・マグマ」だと、長い間思ってました。正しく理解したのは「マグナ・カルタ」以後です。
野瀬 …そうなの。
本題に入る前に「ナスの味噌汁は好き?」のVOTE結果を紹介しよう。
<詳細な地図はこちら> |
「大好き」「普通」「そこそこ」「好きじゃない」の中から選んでいただいたのであるが、集計にあたって「大好き」と「普通」を合わせた「好き」度、「そこそこ」と「好きじゃない」を合わせた「あんまり」度で全体を見た。
好き度が90%以上だったのは大分、高知、福岡、新潟、茨城、佐賀の6県。これを含めて好き度80%以上だと24都県になり、うち西日本勢が15県。
なんとなく西日本に偏った感じもするが、反対にあんまり度が高い府県も西に寄っている。どうも地域差ではなく個人差であるらしい。
あんまり度60%以上、つまり「そこそこ」と「好きじゃない」の合計が半数を超えたのは島根と山梨だけだった。
では本題。汁かけご飯というテーマがこれほどの反響を呼ぼうとは思っていなかった、というくらいの反響である。
では参ろう。「ぼっかけ」から。
ご意見 和歌山有田の実家では、卵かけご飯=「ぼっかけ」と呼んでおりました。とくに亡くなった父親が大好きでした。 |
前回は根菜を煮汁ごとかけた福井の「ぼっかけ」が登場した。和歌山の漁村では炊き込みご飯をそう呼ぶ。県のHPではサバを使った炊き込みご飯のレシピを紹介している。
神戸、和歌山、福井、こりんず家とすべて同音異義である。ややこしいぞ。
ここにも伝統の汁かけご飯があった。
ご意見 汁かけご飯は我が家では普通に食べていました。愛媛県大洲市喜多地区出身の母は冬になるとよく「お汁かけ」というメニューを作ってくれました。 |
秋の河原で食べる「いもたき」で知られる大洲市には「お汁かけ」もあった。いもたきは江戸時代の行事の流れを汲むが、お汁かけももともとキジ肉を使うのなら歴史ある食べ物ではないだろうか。
ご意見 妻の実家は数年前の合併で秋田市の一部となった旧河辺郡河辺町の農家ですが、正月の2日には決まって「とろろ」を食べていました。煮干、干椎茸、ゴボウ、自家製味噌で濃い味噌汁を作り、その汁だけを山芋のとろろに加えてすり混ぜ、刻み葱をのせた茶碗の御飯にかけて頂きます。そのまま我が家の新年の習慣になり、素朴な味でいくらでもお腹に入ります。 |
日本のあっちこっちに古流汁かけご飯が残っていることがわかってきた。
以下は「やっている」人々の告白集。
ご意見 汁かけご飯って禁じ手なんですか!?前回の内容を見てとってもびっくりしました。 |
家族総出で盛大である。
ご意見 私にとって、最高の汁かけは「煮豆ライス」です。通常は金時豆ですが、正月の黒豆も捨てがたいです。熱々のご飯に豆と煮汁をかけます。豆を2-3粒食べてから、甘い煮汁のかかったご飯をほおばるのは、至福の喜びです。豆・煮汁ご飯を一緒にほおばるのもありです。和食(家庭での)の締めくくりとして、最高のデザートです(富山の煮豆ライスさん) |
ご意見 たまに食べる「モツ煮込み豆腐定食」。ご飯、生卵が食べ放題なので、1杯目はモツ煮をおかずに卵かけご飯を食べ、2杯目はモツ煮かけご飯にして食べています。よく考えると、かけご飯しか食べてないことになりますか!! |
近所のビルに入っている居酒屋には「もつ煮丼」がある。「牛筋煮込み丼」もある。本来はおかずとして別に食べるものを、ご飯にどばっとかけてしまったら美味しくて、こんなメニューが生まれたんだろなあ。
でも「煮豆丼」は見たことがない。これからもないであろう。
ご意見 ぶっかけ・かきこめ系と言えば、食堂でひき肉の味噌炒めを厚揚げにかけたのとか、ナスやしし唐辛子の味噌炒めは汁ごとかけてしまいます。だってもったいないんだもん。折角、よい出しが出ている汁を使わないなんて、もっての他だ。 |
デスク 汁かけご飯は地球を救う!環境保護への新提案になるかも!?
力が入っているのである。叫んでいるのである。
要するに好きなんですね、汁かけご飯が。
ご意見 味噌汁やすまし汁でのぶっかけご飯はやったことがありませんが、煮魚や鍋の煮汁でならよくやります。 |
前回も書いたが、ご飯と味噌汁、すまし汁を合体させることに抵抗はあっても、それ以外の汁との融合は日常公然と行われている。
いや、ご飯と味噌汁も秘密裏に…。
ご意見 私は結婚前に、実家で「行儀悪い」と言われながらも、冷たいご飯に味噌汁をかけて食べていました。他人様の前ではやってはいけないと言われつつも、我が家で許されていたのはその美味しさを皆が知っていたからだと思います(お名前ありません) |
「いけない」と言われればやりたくなる。まして美味ければ…ね。
ご意見 なんだ、お茶碗にぶっかけなきゃいいんだ。禁忌の範囲をしっかり認識するとこんなにも行動が変わってくるものでしょうか。 |
なんだか嬉しそうだなあ。
ご意見 大阪出身、東京在住6年です。我が家では特に禁止されていませんでしたが「外ではやるな」と言われていました。 |
きつねうどん発祥の店、大阪・南船場の「うさみ亭 マツバヤ」(松葉家)のメニューにうどんとご飯を一緒にした「おじやうどん」がある。
ここを会場にした関西同人会で登場した。うどん定食を合体させたものである。単なる汁かけあるいは汁入りではなく、うどんまで乱入した複合物件である。最初に見たときには頭がくらくらした。
ご意見 汁かけご飯でインスタントラーメンが出てきましたので、メールいたします。4年前に買ったニュータッチのラーメンライスは最初からラーメンとご飯が混ざって入っているもので、汁かけご飯以外に食べられないというものです。参考までお送りいたしました。(勝又さん) |
ご意見 学生時分にある韓国人留学生の部屋に行ったときのこと。彼はちょうど昼食の準備をしており、私にも食事を振舞ってくれたのですが、その食事とは「辛ラーメン」にご飯を投入したものでした。 |
韓国にも「おじやうどん」ならぬ「おじやラーメン」があった。似たようなことを考えるものである。
というわけで話は外国に飛ぶ。
ご意見 バンコクに住んで早3年、タイ人の彼氏に汁かけご飯について問いただしたところ「それはおかゆでしょ?」「違うよ、おかゆじゃないよ!」などとなかなか話が進まず、これは汁かけご飯自体が理解されないのか? と感づき始めたころ、彼も気づきました。 |
タイでは汁かけご飯が理解されない? 理解されタイ。
同じタイの話たい。
ご意見 タイ屋台で見つけた「もち米ココナッツミルクかけ、マンゴーアイス添え」です。言わば汁かけご飯のデザート版。 |
あるじゃん、汁かけご飯。甘いけど。
デスク お米食べる国の共通メニュー。アジアパワーの源。ASEANも正式名称をAssociation of Shirukake-gohan Eat Asian Naitonsに変更することになりました!
野瀬 ひと晩考えた?
ご意見 以前マレーシアで、バクテー(中国名:肉骨茶)という料理を食べました。豚の骨付き肉を漢方薬材とともに煮込んだスープ状の料理で、暑気払い・夏バテ解消とスタミナ補給にいいそうです。東南アジアに移民した当初の中国人は肉体労働に従事していたので、暑い土地での激しい労働に負けないように工夫された料理らしいです。 |
パラパラで箸では口に運びにくいインディカ米は、かき込むか汁かけにしてすくって食べる。なーるほど。
食事の仕方にはそれぞれ理由がある。ただし汁かけNGを守り通している人もいる。
ご意見 禁忌を破るより、守り通すことの方が困難であり、よって人生修行には守り通すことの方に価値があるかと思います。 |
何度も書くが、今回は非常にたくさんのメールをいただいた。したがって紹介できないものが続出したことをお詫びしたい。
アミー隊員、ペコリ ありがとうございました!
ご意見 以前、我が家で愛犬、勝手に住みついた野良猫に由緒正しきわんこ飯を同時に出したところ愛犬しか食べなかったという結果になりました。ただし、我が家の愛犬♀はねこまんまも食べました。 |
謎の隊員梵ちゃん、大喜び およよ、ファンですか!
というわけでVOTEは「ねこまんま」or「わんこ飯」。
さあ横手だ、B-1だ。今回は過去最多の26団体が出展する。3日目の21日には居残り組と準会員によるエキジビションもある。B-1、A-1、C-1共通の金券を発行し、地域通貨の試行もやる。
会場に行く同人とは一夕、酒を酌み交わそう。行けない同人にはサイトでリポートする。では再来週にまた。
おおそうじゃった。あっちも更新された。