最終処分場候補地:2日目も調査始められず 宮城・加美

毎日新聞 2014年10月25日 12時01分(最終更新 10月25日 12時52分)

指定廃棄物最終処分場建設に反対しシュプレヒコールをあげる住民たち=宮城県加美町で2014年10月25日午前8時39分、金森崇之撮影
指定廃棄物最終処分場建設に反対しシュプレヒコールをあげる住民たち=宮城県加美町で2014年10月25日午前8時39分、金森崇之撮影

 ◇25日朝も住民約60人集まり、建設阻止の行動

 東京電力福島第1原発事故で生じた指定廃棄物の最終処分場建設問題で、宮城県内の建設候補地3カ所の一つ加美町(かみまち)では、25日朝も候補地入り口に住民約60人が集まり、ボーリング調査着手を目指す環境省に抗議文を手渡すなど、建設阻止行動を続けた。同省は24日に調査を開始する予定だったが、住民の抗議行動で断念。25日午前も同省職員らは候補地に近づけなかった。

 住民らは午前6時ごろから集まり始め、「建設反対」などと書いた横断幕を広げて道路をふさいだ。午前8時40分ごろ、環境省職員ら約15人が草刈り機などを持って候補地に入ろうとした。だが、住民らは「処分場建設を許さない」「帰れ」などとシュプレヒコールをあげ、候補地への立ち入りを制止した。

 住民側は、候補地は岩質がもろく危険▽水源地で下流への影響が甚大▽候補地となる条件を満たしていない−−などと反対理由を列挙した抗議文を読み上げ、環境省東北地方環境事務所の東利博・保全統括官に手渡した。

 抗議文を読み上げた男性会社員(56)は「最終処分場ができたら、誰も安全を保証することなんてできない。抗議を続けたい」と語気を強めた。住民らで作る「放射性廃棄物最終処分場建設に断固反対する会」の高橋福継会長(72)も「住民がどれだけ風評被害を心配しているか、環境省は分かっていない。体を張ってでも通さない」と話した。

 抗議文を受け取って引き揚げた東統括官は報道陣に対し「この状態で住民を排除して入るというのは難しいが、強制的な排除を行うかどうかを含めて検討したい」と述べた。

 環境省は宮城県内で栗原市、大和町(たいわちょう)でもボーリング調査を実施する計画だが、両市町は「3市町同時実施」を条件としているため、いずれも調査は着手されていない。【金森崇之】

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