新/040/【勇者】
※:活動報告で予告した通り近日中に変更されます。
此度の愚行、本当に申し訳ございません。
MP20を消費し【血と愛で飾る夜の衣/glove】に付与される魔法の力[怪力]を発動。
夜月のSTRが一気に二割上昇。
関節を連動、筋肉を収縮、気焔を練り上げる。
加速した思考の中で、先程の攻撃でよろめく桐原光を捉えた。
貯めた力を一気に爆発させ、前に進む力と合わせて全体重をその拳に集約する。
轟──
光の胸に剛槍が突き刺さり、爆音としか思えない振動が空間を激しく揺さぶった。
爆散──
攻城兵器に匹敵するだろう威力の拳を、まともに受ければ人間の身体は弾け飛び、肉片へと成り果てる。
そう──まともに受ければ。
黄金の光がその剛槍を受け止め大半の威力は遮られる。
だが衝撃は強く光の身体は宙に舞う。
やや下からの攻撃故に高さ約四メートル、幅約十メートルも吹き飛ばされる。
更に空中でぐるりと回ってしまい、頭から堅いタイルの地面に墜ちていく。
普通なら頭蓋が割れて脳が破壊される。
しかし墜ちた衝撃すら黄金の光が受け止め、光の頭を防護した。
「くっ!まだだ、まだ俺は!!」
激痛に顔をしかめながら、震える四肢に力を込めて光は立ち上がる。
まるで少年漫画の決して諦めない主人公を想起させられ、夜月は内心で顔をしかめる。
(………主人公補正でもかかってんのかよ)
戦況は終始夜月のペース。
耐久力と筋力と回復力は光が大きく上回り、速度は夜月と同等。
だがskillと歴戦の経験による戦闘技術は比べる事もできない。
故に戦いにもなっていない。もはや「光サンドバッグ」といえる状態だ。
だがしかし、それでも光は立ち上がる。
あまりに不気味だ。
夜月は紛れもない『怪物』だが、今の光も『人間』と呼べるかどうか非常に疑問だ。
さすがの夜月でも、背中に冷や汗が流れ落ちた。
◆◆◆
──このままでは不味い。
プライドは光の魂の中で夜月以上に焦っていた。
一見、光は無事な様に見えるが、そろそろプライドが貸し与えている力に肉体が耐えきれない。
強化もそうだが、【守護鎧】を突き破ってくる強烈な攻撃によるダメージを回復し続けている影響もある。
このままでは自壊するのも時間の問題。
当初の見積もりを大きく破った夜月への苛立ちを募らせる。
(………しょうがない)
やるしか無かった。
本来ならもう少し光のlevelを上げてから行いたかったのだが、このままでは仕方が無い。
【上位肉体活性】を【能力増幅】で出力を上げてなんとかなる相手では無いのだ。
(まったく、雑魚だと苦労しますね)
それに時間をかける余裕も無い。
ここでもたつけばシャーネ・ドレイクが到着してしまうだろう。
【盟約】によって光に危害は加えられずとも、神崎夜月は確実に取り逃がしてしまう。
プライドは夜月を確実に殺しておきたかった。
折角見つけた上質な精神だ。肥育する前に壊されてはたまらない。
故に──
◆◆◆
「主様、どうやらあの男は西園寺七海様からエネルギーを奪って力を高めている様です」
なに!?
「彼女は無自覚でしょうが膨大なエネルギーを奪われ大変危険な状態です」
くっ!!
ならば早く終わらせなくては!!
「しかし、あの男は奪ったエネルギーを使ってその身を強化している様で、現状では難しいかと」
ならどうすればいい?
「…………非常にお勧めは出来ないですが、一つだけ」
分かった。使ってくれ。
「!?お待ちください主よ、これは危険な賭けなのです」
プライド、君が俺の身を案じてくれるのは凄く嬉しい。
だけど俺は七海をあの男から救い出さなくてはいけない。
時間が無いというならば、この身が砕けるのも覚悟の上だ。
「………しかし」
それにな、俺はあいつが許せない。
貰い物とはいえあの力を万人の為に振るえば、どれほどの人が助かった事か。
それなのにあいつは、力持つ者としての責任を果たす事無く、自分の欲望の為に使っている。
そんな事は許せない!
「…………分かりました、ご武運を」
ああ!!
◆◆◆
《──error》
《しばらくお待ちください》
《『天使』による『加護』を確認。
title:【勇者】が『贈られます』
『それを祝し』以下のプレゼントが『贈』られます
ability:【『直感』】
ability:【聖光】
ability:【限界突破】
ability:【浄化の瞳】
ability:【超免疫】
ability:【神速展開】
ability:【突き進む者】
【聖獅子の剣】
【聖獅子の鎧】
【獅子の外衣】
【覚醒の指輪】
【戦技指南書/剣ノ壱】
【戦技指南書/剣ノ弐】
【戦技指南書/剣ノ参】
【戦技指南書/剣ノ四】
【戦技指南書/剣ノ五】》
《title:【勇者】の『獲得』に伴い、skill:[光魔法・Ⅴ]を『取得』》
《title:【勇者】の『獲得』に伴い、equipment が『自動変更』》
《title:【勇者】の『獲得』に伴い【勇者】のpartyに登録されるメンバーには、『天使』によって『加護』が与えられます》
《name:桐原光/人間
level:4
exp:97
title:【勇者】
energy:[LP・253(53)][MP・244(44)][SP・253(53)]
physical:[STR・180(30)][VIT・195(25)][AGI・156(26)][DEX・124(24)]
magic:[M-STR・126(26)][M-PUR・120(20)][M-RES・168(18)][M-CON・116(16)]
skill:[剣・Ⅴ][格闘・Ⅳ][光魔法・Ⅴ][気配察知・Ⅰ]
tolerance:[苦痛・Ⅱ]
ability:【威光】【『直感』】【聖光】【突き進む者】【神速展開】【限界突破】【浄化の瞳】【超免疫】
party:【光の解放者/5】
guild:》
《[状態・加護(『天使』)]》
◆◆◆
(──っ!!)
立ち上がった光の身体から、暴力的なまでの黄金の光の奔流が吹き荒れる。
快晴の太陽光にすら勝るその黄金光は聖なる力を宿し、人々の心を安らげる癒しの聖光であり、同時に邪悪を滅する裁きの光だ。
その黄金光は光の身体を先程までとは桁違いなほどに、身体を覆いつくす。
そしてその黄金光の下から現れたのは【勇者】だった──
(なんだよ、それ……!?)
純白の金属に黄金の獅子が装飾されたヘルムの無い全身鎧に身を包み、手には同じく純白に獅子が刻まれた剣を持っていて、純白の生地に金糸で獅子が刺繍されたマントを羽織っていた。
夜月の装備も桁が違う性能を誇るものの、あれもっと危険だ。
更には周囲を照らす黄金光の質も量も明らかに違い、夜月の肌をチリチリと刺激してきた。
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
猛々しい雄叫びと共に、黄金の光は暴風の中を蹂躙する獅子の鬣の様に荒れ狂う。
「行くぞ!神崎いいぃぃぃ!!」
鎧を着ている事など微塵も感じさせない圧倒的な速度で、光は流星となり宙に黄金の軌跡を刻み付ける。
思考を加速した夜月でも、かわすのは非常に難しい。
だが、光から湧き上がる力を見た夜月は、想定する光の力を十倍近くまで上げ、光が重心を前に預けて右足を踏み出した瞬間に、倒れる様にして軌道から外れ、なんとか避ける事に成功した。
それでもあまりの速度による衝撃波に飛ばされタイルの地面を転がる。
そして背後で建物が紙屑の様に吹き飛んだ。
(七海!)
受け身をとりつつ夜月は七海の方に意識を伸ばす。夜月の直線上には当然いないが、瓦礫の破片が舞っているので、当たり所が悪ければ危険だ。
(よくやった雛!)
雛は光が立ち上がった瞬間に、ability:【直感】が発動することによって、七海を強引に引っ張り校舎の壁に引っ込んでいた。
ちなみに他の面々は、鈴火、匠、富川は光と同じく黄金の光に包まれる事で難を逃れ、メメは雛について行ったようだ。
夜月は雛に最大の称賛を送り、光の方に意識を戻す。
倒壊する倉庫の中から、埃一つ被らない純白の鎧に身を包んだ光が悠然と姿を現す。
その姿はやはり【勇者】
(これ無理だ)
夜月は完全に勝利を諦めた。
しかし逃走も出来ない。
ならば──
「──降参だ。負けたよ」
夜月は素直に敗北を認め、両手を上に挙げる。
雛とメメ以外は呆然と口を開いて驚いた。
まさかこうも簡単に敗けを認めるなんて、と。
夜月にしてみれば勝てない戦いを続けるなど愚の骨頂。
勝ち負けなど対して興味が無く、そもそも戦い自体があまり好きでは無いのだ。
「──それは、七海から完全に身を引くという事だな」
光が相変わらず険しい目で夜月を睨み付ける。
「ああ、引くよ」
七海が愕然と口を開くが、当然嘘だ。
勝てない以上は背に腹は変えられない。一度光に七海を預けて、隙を見つけしだい回収するという事を選んだ。
しかし夜月は知らない。
光が【勇者】を付与され、ability:【『直感』】を持っている事を。
そして──
──ability:【『直感』】は危機だけに反応するわけではないと。
「嘘だな。卑劣な奴め!そこまで堕ちるか外道!」
「おい、何を根拠──っ!」
光が即座に切り捨てた事実に反論しようとした瞬間、光は再び夜月に迫っていた。
凄まじいと呼べるほどに速い攻撃を辛うじて避ける。
相変わらずphysicalにskillが追い付いておらず荒々しいが、跳ね上がった能力によってそれをカバーして余りある。
「まだまだあぁぁぁ!!」
最初の夜月の連打を越える斬撃の嵐が、黄金の光を纏いて襲いくる。
限界まで思考を加速し、まともに受ければシャーネ製の装備ですら両断されかねないと判断。
重心や技の連結部、目線や呼吸、無駄の多い肉体の動きを完全に把握し、未来予知に等しいレベルで受け流していく。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
(完全に殺す気じゃねえか!)
前の光ならば殺す気で攻撃をしたりはしない。
いや、実のところ光は今でも夜月を殺す気は無い。プライドの誘導によって視野狭窄に陥っている光にとっては、今行っている致死の攻撃は全て正義の行為だと思い込んでいる。
なんとか間をとるために、夜月は足払いをかける。
剣を振り回す光は、身体能力は驚異的でも技術は稚拙。足元に完全に注意を払っていない。
だが──
「──甘い!!同じ手に引っ掛かるか!!」
どういう反応か光は無理矢理ジャンプする事で、その足払いを回避する。
(おいおい……)
完全に不意をついたはずだ。
それを避けられるなど、あまりにおかしい。
だがそれでも、光は足払いに注意を払い過ぎた。しかも直前で無理矢理回避したため、力が流れてしまっている。
夜月は光が着地する直前にその純白の鎧に掌を叩き込んだ。
「──くっ!」
鎧通しでは無く、相手を吹き飛ばす類いの掌低だ。
押すように繰り出された掌に、着地しておらず踏ん張れない光は吹き飛ばされる。
十メートル吹き飛び外壁の壁に叩きつけられるも、全く効いている様子は無くすぐに立ち上がる。
これで間が取れたとはいえ、こんなこと何度も続けてはいられない。
(七海の声なら……無理だよなあ)
そもそも七海の声を聞いているようならば、こんなことにはならない。
今の光はプライドが意図的に都合の悪い音を遮断しているため、普段ならば聞き逃す事の無い七海の声すら届かない。夜月はその事実をしらないが、なんとなくありそうだと考えていた。
(どうする?)
と、考えている余裕は無い。
光はまたしても攻めてくるのだ。
──シュッ!
「がっ!?」
その時、一本の矢が光の側頭部に命中。
黄金の光によって阻まれはしたが、いきなりの衝撃と意識の外からの攻撃に光は驚き夜月の目前で動きを止めた。
(ナイス、メメ!!)
放ったのは当然メメ。ハイスピード過ぎて今までタイミングが今一測れなかったのだが、ようやく目が慣れて援護したのだ。
心の中でメメを仲間にしておいてよかったと実感しながら、瞬時に動く。
夜月はガッシリと剣を離した左腕を取る。
その事に驚いた光は夜月を引き離す為に、反射的に左腕へと力を込める。
その込められた力を夜月は利用する。込められた力を上手く誘導し、腕を捻り関節に負荷をかける。
──ポキッ
外部では無く内部の、それも自分の力によってかけられた負荷は黄金の光でも防げず、光の肩は脱臼した。
「え──っううああああああ!!」
一瞬何が起こったのか理解する事の出来なかった光だが、外れた関節が内側から痛覚を刺激してくる激痛に、苦悶の悲鳴を上げた。
悲鳴を上げてよろめく光。
夜月はその隙を逃す事無く今度は反対側、剣を持った腕に組つく。
光はその事に再び激痛が走る事を予感して、腕を引き抜こうと力を込める。完全に先程の繰り返しだが、自分の力を利用されているとは全く理解できていない光は、それが分からない。
──ポキッ
二度目の関節が外れる音が響く。
一度目の痛みである程度感覚が麻痺している光だったが、それでも関節が外れる内側からの痛みは凄まじい。
「があああああぁぁぁぁぁぁ!!」
苦痛の絶叫と共に右手から聖剣が溢れ落ちる。
夜月は落ちた聖剣を地面に落ちる直前で思いきり蹴り飛ばす。軽快な音を立てて聖剣は外壁を越えていく。
更に蹴った勢いを殺す事無く一回転。
未だ痛みで頭がスパークする光の腹に、思いっきり回し蹴りを放った。
【『直感』】で教えられてはいたが、痛みによって反応する事ができない回し蹴りは綺麗に決まり、勢い良く吹き飛んでいく。
そして──
「雛!!七海を抱えて走れ!!逃げるぞ!」
──逃げる。
勝てない事は分かっている。話し合いも通じない。
となれば逃げるしか選択肢は無い。
脱臼は自然回復で治るようなものでは無い。もっとも、黄金の光が意味不明である以上は、楽観できないのだが、それでも時間は稼げると夜月は考える。
雛は夜月の指示を素早く従い七海を抱えて裏門へと走り出す。幸いにも光からは反対側だ。
メメもそれに続き、夜月も後ろを警戒しながら全力で駆けていく。
──夜月は【影化の帯】を使う事も考えた。が、シャーネからの手紙に記載してあったのだが、上位者の影化対策は割りとポピュラーらしい。光はともかくプライドとかいう奴は夜月と吸血鬼の関係を知っているらしいので、対処される可能性が十分にある。普通に走る方が圧倒的に早い以上、夜月は影化を選ばない──
三人ともlevelが上がっている影響で常人離れした脚力を誇っている。
最初は一番近くにいた雛。次に矢を正確に射る為、少々前に出ていたメメ。そして一番離れていたのに、一瞬で後ろの追い付いた夜月の順に、門に到達していく。
「開けてる時間は無い、飛び越えろ!!」
夜月の指示に雛は無茶をいうなと言いそうになった。軽いとはいえ七海を抱えているのだ。しかし同時に【兎跳びの靴】を思いだし、覚悟を決めてそれに込めらる[加速]を発動させる。
「っ!」
一応一回使ってはいるが、それでも急激に加速する感覚はまだまだなれない。
バランスを崩しそうになるのを堪えて、ジャンプ。細工を施された鉄柵に足をかけて再びジャンプ。門の上の飾り部分を踏みながら、雛は向こう側に飛び越える事に成功した。
──雛はskill:[軽業・Ⅱ]を手に入れた──
それに続いてメメと夜月が飛び越えようと足に力を入れる──瞬間、黄金の光が超高速で二人に迫った。
「「っ!!」」
雛が未だに着地していない刹那に迫る黄金の光。
走りながら振り返り捉えた黄金光は、光を中心にドーム状に広がってきている。
──光属性第五階級【五芒星の聖檻】
瞬時に回避は不可能と察した夜月とメメは、速度を上げて飛び越えようとするも、タッチの差で黄金光が二人を追い越す。
門の手前で止まった黄金のドームは、雛とそれに抱えられた七海には届かなかったものの、夜月とメメを閉じ込めた。
メメは激突を回避する為、あえてそのままの勢いでジャンプし、黄金の壁に足をつけ、反動に逆らわずバク中を決める。スカートが盛大に捲れる中、焦りを孕んだ表情で着地した。
──メメはskill:[軽業・Ⅰ]を取得した──
一方夜月は破壊を試みる。
飛び越えようとする勢いを利用し、更に[怪力]を発動して拳を壁に叩き入れる。
轟音を発して激突した拳は、黄金光の壁に僅かに皹をいれるも、割れる事はなかった。しかもゆっくりだが逆再生の如く修復されてきている。これを破壊するのは夜月でもかなり難しい。
「先輩!!」
「よ、よづ、き!」
振り返った雛と、揺れと衝撃によって呂律が上手く回らなくなった七海が、慌てて叫んだ。
少し小さくなっているが声は伝わるようで、夜月は二人に指示を出す。
「行け!」
声と同時にあらかじめ決めておいたハンドシグナルで、落ち合う場所を指示する。少し見難いだろうが、十分伝わるだろう。
二人共迷ったようだが、夜月の一撃すら耐えた壁を破壊する手段を持たない二人は、唇を噛み締めながらも指示に従った。
──逃げる必要は無いかもしれない。
夜月の頭に一瞬その言葉がちらつく。
光とプライドの標的は夜月だ。七海を傷つける意図は無い。
それにあの光の力があれば、この世界でも七海を守る事は可能だろう。
更に強い力とカリスマ性を備えた光がいる以上、このコミュニティが暴徒になる可能性は極端に低くなる。
だが夜月は冷静に頭を働かせ、それを否定する。
光もプライドも意味不明で、何より危険過ぎる。光を煽って戦わせてるような相手が安全とは絶対に言えない。
更に夜月自身が排除される関係上、七海の精神は酷く不安定になる。その不安定になった七海に、光は他者との触れ合いを無自覚に強制するだろう。他人との協調性を説く光なら間違い無くそうする。不安定になり対人恐怖症が強まる状態での触れ合いは、七海の心に決定的な傷を入れる。
考えればこの様に色々否定的な意見が出てくるが、一番はやはり直感的なモノだ。
雛のabilityのような【直感】では無いが、経験から来る純粋な直感が、七海を近づけるなと夜月に囁くのだ。
やはり現状打破しかない。
(ならどうする?)
夜月は一瞬で最適解を叩き出す──
「──先輩?」
どうするのかと指示を待っていて夜月の様子を伺っていたメメが、自分の方に全く感情を感じさせない表情を向けた夜月に疑問符を浮かべる。
「謝りはしないぞ」
その言葉で、冷や汗をかいたメメは夜月の考えを悟る。
「先輩、やっぱり貴方は最悪です──」
「その俺について来たお前が悪い」
深いため息と共に、メメは諦めて脱力した。
Q:『夜月くんは何で今まで関節技を使わなかったんですか?』
[夜月]:「苦手なんだよ。今まで使う機会なかったし」
Q:『護衛だから敵の捕縛とかで使いそうですが?』
[夜月]:「いや、殴って昏倒させたほうが早い。
関節技で組つくと動きが止まる。万が一伏兵がいた場合、その隙を狙ってくるから今まで関節技を実戦で使ったことがない」
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