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企画・解説

日本発の新型太陽電池「ペロブスカイト」夜明け前−世界の研究者が注目

掲載日 2014年10月24日
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ペロブスカイト太陽電池の構造。ガラス基板の上で、多孔質の酸化チタンにペロブスカイトの溶液を塗布して作製する(産総研提供)

 「ペロブスカイト」という結晶構造を持つ、日本発の新型太陽電池が世界の研究者から注目されている。開発からわずか5年でエネルギー変換効率が5倍に増え、現在主流のシリコン系太陽電池に近づきつつある。安定性など実用化に向けた課題はあるものの、圧倒的に低コストで作製できる可能性を秘めており、太陽電池の新たな市場を切り開こうとしている。(小川淳)

 「信じられない材料。多少雑に作っても高い発電効率が出る。材料として非常に筋がいい」―。東京大学大学院工学系研究科の近藤高志教授はペロブスカイト太陽電池の魅力をこう語る。ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイトという結晶構造を利用した太陽電池の総称。一般に炭素などの有機物、鉛などの金属、ヨウ化物や塩化物といったハロゲン化物で構成する“有機無機ハイブリッド型”だ。


ペロブスカイト太陽電池は高温や高真空
プロセスを使わず、塗布だけで作製できる

 このペロブスカイト結晶を、太陽電池の素材として再評価したのが桐蔭横浜大学大学院工学研究科の宮坂力教授。09年にペロブスカイト結晶の薄膜を発電部に使用し、太陽電池として動作することを発見した。12年に宮坂教授らが英オックスフォード大学との共同研究により、10・9%の変換効率達成を米科学誌サイエンスに発表。現在の変換効率は研究室レベルながら、ガリウムなどを使う化合物系太陽電池と同等の約20%に到達。
 ペロブスカイト太陽電池の特徴は作製方法が簡単なうえ、製造コストも安価であることだ。高温加熱や高真空プロセスを必要としない。基板の上で、多孔質の酸化チタンに溶液を塗布して乾かすだけで作製できる。結晶原料も極めて安価だ。


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