薄型テレビの画面としては液晶に敗れた「有機EL」が、照明器具として再起を図っている。自然光に近いなど、「光の質」が認められ、美術館などで使われ始めた。価格が下がれば、LEDのように広がるかもしれないと、各メーカーが力を入れる。

 東京・銀座の資生堂直営店「ザ ギンザ」。化粧の技術を学ぶ個人講座の小さな部屋で、有機ELが活躍している。鏡の両脇から14センチ角の4枚の照明パネルとして、受講者を優しく照らす。

 器具はパイオニアがつくった。自然光に近い光で、本来の肌の色がよく分かる。講座を担当する資生堂の関谷佳代さんは、「蛍光灯やLEDでは肌がやや暗めに見え、化粧が厚塗りになってしまう。だが有機ELなら避けられる」。

 有機ELは美術館でも使われ始めた。発熱が少なく、紫外線や赤外線がほとんどないので、美術品が傷みにくい。