イスラム国:「塩素ガス、イラクの中部の戦闘で使用」
毎日新聞 2014年10月25日 11時06分(最終更新 10月25日 11時21分)
◇米紙報道、国務長官「化学兵器にあたる場合も」
【ワシントン和田浩明】米ワシントン・ポスト紙は24日、イラクの北西部を制圧したイスラム過激派組織「イスラム国」が9月中旬、中部での戦闘で塩素ガスを使用し警察官らが呼吸困難などの症状で病院に搬送されたと報じた。これを受け、ケリー米国務長官は同日「塩素でも特定の方法で使われれば禁止されている化学兵器になる」と指摘、事態を重視して追加情報の収集に当たっていると述べた。塩素はシリア内戦でも使用された疑惑がある。
ポスト紙によると、塩素は9月15日の戦闘で使用され、イスラム国と交戦していたイラク治安部隊員は呼吸困難や嘔吐(おうと)などの症状を示して中部バラドの病院に搬送された。
イスラム国はシリアでも「戦闘で何らかの化学物質を使用した」との批判が、対戦相手の反体制派などから出ており、呼吸困難などの症状を訴えた人の存在が報じられているが、未確認のままだ。
イラクでのイスラム国の支配地域は、フセイン元政権時代の化学兵器用物質が残存しているとされるが、米当局者は「古いもので実用に堪えない」などと説明していた。
米国防総省のカービー報道官は24日の会見で、米軍としてイラクで積極的な調査は行っておらず、担当は化学兵器禁止機関(OPCW)になる、と説明した。
化学兵器はシリアで昨年夏などに使用され「1000人以上」(オバマ米大統領)の死者が出た。米国は一時、使用を疑ったアサド政権に対する懲罰的な空爆も検討したが踏み切れず、ロシアと連携してアサド政権から化学兵器全量破棄を取り付けた。