Borussia Dortmund Magazine

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ドイツ・ブンデスリーガ公式に学ぶ、プロスポーツにおけるウェブコンテンツのあり方

   

少し前に執筆した「拝啓、Jリーグ公式ツイッターアカウント様へ:ツイート内容のご提案と紹介」が950ツイート、15000pvと非常に多くの方からの反響をいただきました。ありがとうございました。

前回はJリーグへのソーシャル展開の提案をメインに書きましたが、今回は自分がウェブコンテンツとして最もお手本にしているブンデスリーガ公式について紹介していきたいと思います。サッカーだけでなく様々なスポーツコンテンツに対しても参考になるはずですので、最後までご覧になっていただけると幸いです

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4か国語に対応するブンデスリーガ公式

ドイツ・ブンデスリーガのウェブサイトについて紹介していきますが、ブンデスリーガ公式はドイツ語版の他に英語版、ポーランド語版、そして日本語版と4か国語に対応してます。

ポーランド語版がスタートした背景には、ドルトムントで活躍するポーランド代表キャプテンのヤクブ・ブラシュチコフスキ、ルカシュ・ピシュチェク、そして現在はバイエルンでプレーするロベルト・レバンドフスキの影響です。以下3選手を筆頭に多くのポーランド人が活躍していることから、ポーランド国内ではブンデスリーガが非常に人気を博しており3年ほど前にポーランド語にも対応しました。

発表時の記者会見は当時ポーランド選手が3名所属していたドルトムントで開催され、ポーランドから10人の記者、そしてブラシュチコフスキが出席し話題を集めています。

ブンデスリーガ日本語版

日本語版が始まった経緯としては、近年香川選手を筆頭にブンデスリーガの日本人選手が増加したことが背景にあります。日本人選手はブンデスリーガの外国人の比率の中でも多い部類に入り、必然的に需要が高まっていきました。一つ不満なのは翻訳された記事数が少ない事。特に日本人がいるクラブ以外の翻訳記事が少ないので、そこだけが唯一の不満点でもあります。

このように多国語掲載されるようになったのは、ブンデスリーガで国外からの優秀な外国人選手が活躍し、ドイツ国外でのリーグの人気が増大したことが理由です。デザインは数年前から流行しているレスポンシブデザインを採用、パソコンでもスマホでもデザインが崩れないようになっています。問題点は少しサイトが重たいところで、少し読み込むのに時間がかかってしまいます。

徹底したコンテンツ作り

ブンデスリーガ公式 トップ

ドイツ版よりも外国人向けに作られている英語版公式をここでは紹介していきます。トップページはこのようになっており(画像参照)クラブのロゴをクリックするとそのクラブのニュース記事が掲載されているページに飛びます。スライダーにはその日のメイン記事が紹介されます。

選手スタッツ

下にスクロールしていくと特集や投票記事、そして最大の特徴はその週活躍したや注目選手のスタッツが掲載されていることです。ブンデスリーガ公式はこのようなデータを公表しており、数字を使った比較記事も多数あります。選手の所をクリックすると選手の個別成績などのページに進みます。

・ブンデスリーガ公式はブンデスリーガだけを扱うわけではない

ブンデス勢

筆者がこの記事を書いているときにはチャンピオンズリーグが開催されていましたので、トップにはチャンピオンズリーグの記事が中心にきています。

代表

このようにブンデスリーガ公式はリーグ戦だけでなく、チャンピオンズリーグ、カップ戦、そしてドイツ代表戦の記事まで扱います。リーグ戦だけでなく徹底的に国内のサッカーを紹介していくスタンスで、それが良いかどうかは受け手の問題です。個人的には情報収集に非常に助かっています。

・詳細なプレビュー記事とレビュー記事

チームニュース

試合前プレビュー

チームニュースはそれぞれのクラブが出している公式のニュースが中心。試合前はプレビュー記事がそれぞれの試合で配信されます。プレビュー記事は監督コメント、予想布陣、状況、注目選手など。

ビッグゲーム前プレビュー1

ビッグゲーム前プレビュー2

ちなみにこの記事を書いている週末にはバイエルンとグラッドバッハの頂上決戦が控えています。ビッグマッチの前は必ずブンデスリーガ公式は大体的に特集を組みます。画像はドイツ語版、英語版でも多くの特集記事が組まれます。最近はビジュアルで比較記事を掲載することが多くなりました。

岡崎インタビュー

試合後はその試合のマッチレビュー、速報では両監督、両チームの選手たちの簡単なコメントが紹介され、1日ほど経つと選手のロングインタビューが紹介される感じです。リンク先は岡崎選手のインタビュー、12個ほどの質問に答えています。

選手紹介

その他クラブデータ、スカッド、結果などが続き、それぞれのページで詳細なデータを見ることが可能。選手紹介はスライダーを動かして選択して詳細なページに向かいます。その他にもいろいろなコンテンツがあるのですが、個人的に役に立っているのは「THE BUNDESLIGA A-Z」という記事で、ドイツ語のサッカー用語を英訳してくれているというありがたい記事です。ドイツサッカーを見ていく中で分からないサッカー用語などがあると定期的に見る記事の一つです。

辞書

・数字にこだわるブンデスリーガ

スタッツ 2

サッカーにはとにかくいろんな数字がつきまといますが、ブンデスリーガ公式は「数字」について大事にしている印象があり、「STATS」というページでは毎週毎週数字に関わる記事を配信しています。その節のいろんな数を紹介、デザインがとにかく良いのが印象に残ります。

スタッツ3

ビジュアルと数字の組み合わせはシンプルですがとにかくわかりやすい。走行距離で全然知らない選手がトップに立っていると調べてみたりと、数字というのは選手を知る上でのとっかかりの1つです。毎週このSTATSに注目していくと、ブンデスリーガをより面白く楽しめると思います。

豊富な動画コンテンツ

公式の「WATCH」というページにアクセスすると、動画コンテンツが用意されたページに移動します。ブンデスリーガは公式のYoutubeチャンネルを持っているのですが、毎週のハイライト、ベストゴール集、ベストセーブ集、インタビュー、少し前の試合を振り返る動画、そして珍プレー集など実に様々な動画が揃っており、それを逐一公式ツイッターで紹介しています。

動画コンテンツ

ゴール集はもちろん、日本人向けの動画も多いのが特徴です。先日のレヴィアダービー前には香川選手と内田選手の対談の模様が動画で紹介、それからこのようにブンデスリーガのベスト10日本人特集のような動画もあります

香川選手はドイツ国内でも人気ですので、定期的にゴール集だったり特集動画も組まれたりします。画像もきれいでブンデスリーガ公式の最大の利点を生かしているコンテンツです。Jリーグもyoutubeチャンネルを持っているので、ぜひそれを有効活用してほしいと思っています。やっぱり動画が一番簡単に訴求できるコンテンツで、公式の強みを最大限に生かせると思います。

とにかくユーザーが喜ぶものを

ここまで簡単に説明してきましたがいかがでしたでしょうか?本当はまだまだ紹介したい記事などが多くあります。ブンデスリーガはかなりウェブコンテンツに力を入れており、積極的にツイッターで記事や動画を紹介しています。リーグをもっと面白く紹介していこうという意思が感じられますし、英語の知識があればブンデスリーガを観る上で相当助けになるコンテンツです。

ウェブサイトについては堅苦しい雰囲気は全然感じられませんし、デザインもとにかくおしゃれで視覚的にも楽しませてくれます。コンテンツ作成のアイデアを持つ人間と、デザイン力に秀いた人間が相当多く参加していると予想されます。

サッカーだけでなく多くのスポーツコンテンツにもこのアイデアを流用できるのではないかと考えています。ユーザーが喜ぶもの、観戦の手助けになる記事を型に嵌ることなく配信していくスタンスというのは、スポーツのウェブコンテンツにとって非常に大事なことではないでしょうか。

スポーツは純粋に競技面を楽しめればそれに越したことはありませんが、その背景や知識、選手の特徴などを知っていればもっと楽しめます。ブンデスリーガ公式で数字を見て「あの選手はいつも12km以上走る」「この間ボールタッチ数100以上だった」など具体的な数字を少し頭の片隅において私は試合を観るように意識していて、そうするとまた違った世界が見えてきます。

スポーツにおけるウェブコンテンツの重要性。それはユーザーの求める情報を提供すること、新たな視点を提供すること、そしてリーグやクラブの取り組みを広く周知させること。ブンデスリーガ公式はその手本を示す良いウェブサイトです。

そのスポーツを愛するユーザーの視点に立てれば、きっとそのスポーツにもユーザーにも魅力的な有益なコンテンツを作成するレシピが次々と生まれてくるでしょう。

 - 14/15シーズン, コラム, ブンデスリーガ

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