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 シーズン終盤の失速から、宿敵巨人にまさかの4連勝。プロ野球阪神タイガースは25日、福岡ソフトバンクホークスとの日本シリーズ(S)に臨む。地元ファンや関係者、虎党の著名人らは驚き、戸惑いながらも、29年ぶりの日本一へ夢をふくらませる。それぞれの思い、「虎魂(トラダマ)」を乗せて、いざ甲子園――。

 エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は22日になって、傘下の阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)でのセールを日本S終了後に行うことを決めた。阪神が負けても実施するが、詳細は未定だ。日本一記念グッズも検討中という。

 リーグ戦3位だった2007年、2位だった08年と昨年は、クライマックスシリーズ(CS)前に応援セールをした。今年はそれがなく、日本S進出を決めた後には、「セールはないのか」と問い合わせもあったという。H2Oの広報担当者は「今年は複合的な理由で行わないと決めていた」と説明する。

 関西大大学院の宮本勝浩教授(理論経済学)は、セールの遅れが日本一になった時の経済効果を小さくするとみる。03年に18年ぶりにリーグ優勝した時は1481億円、日本シリーズで全敗した05年でも643億円だったが、今年は429億円にとどまるとの試算だ。

 リーグ戦終盤の失速が響いた。今季の観客数は昨季より3%減で、球場での飲食の売れ行きが伸びていない。さらに「阪神百貨店など関連小売業は、秋口に優勝をあきらめた。記念グッズの準備をしていなかったので、日本一になっても大々的なセールはできない」という。

 それでも、9年ぶりの日本Sを目前に、関西は徐々に盛り上がりつつある。

 23日に一般向けチケットが発売されると、電話やインターネットの窓口に注文が殺到。球団によると「全然つながらない」といった問い合わせの電話が鳴りやまなかったという。

 兵庫県尼崎市の尼崎中央3丁目商店街のアーケードには、日本一へのマジックナンバー「7」を掲げたボードがつり下げられた。

 例年、シーズン開幕前に「日本一早いマジック点灯式」と銘打ち、試合数の「144」を掲示。今年は巨人にマジックが点灯した時点でやめたが、CSで巨人を倒した翌日の19日、急きょ再点灯式を開いた。マジックは日本シリーズで阪神が勝つ度に2ずつ減らし、3勝した時点でマジック1とする。

 「去年まではCSでもマジックを掲げてきたが、なぜか騒ぐと負けた。今年はあえて期待せずに静観したのがよかったのかも」と商店街振興組合の寺井利一理事長(53)。「でも、ここまで来たらそうも言うてられへん。ここからは全力で応援します」(浅倉拓也、宮武努、柳谷政人)