国立感染研 エボラ出血熱の検査施設公開10月24日 18時33分
    エボラ出血熱が疑われる患者が国内で見つかった場合にエボラウイルスに感染しているかどうかを患者の血液などから調べる実験施設の内部の写真を国立感染症研究所が初めて公開しました。
国立感染症研究所が公開したのは、東京・武蔵村山市の建物内にある実験施設の写真です。
施設の内部は外よりも気圧が低く保たれ、ウイルスが外に漏れないような設計になっています。
施設内には「安全キャビネット」と呼ばれる箱型のケースが置かれ、担当者がグローブをつけて中に手を入れ、患者の血液にエボラウイルスが含まれているかどうかの確認検査を行います。
この実験施設は、エボラウイルスのような致死率の高い病原体を扱えるバイオセーフティレベル4の実験施設として、昭和56年に建設されましたが、地域住民の同意を得られていないことなどから現在は1段階低いバイオセイフティーレベル3の病原体を扱う施設としてしか稼働していません。
このため、厚生労働省によりますと、エボラ出血熱が疑われる段階で患者の血液にエボラウイルスが含まれているかどうかの検査はできますが、いったんエボラウイルスが検出されると、その後の作業が行えなくなるということです。その結果、エボラウイルスの遺伝子を調べて特別な変異が起きていないかや未承認の治療薬に効果があるかどうかの実験、またワクチンの開発などは現状では行えないということです。
さらに、患者が退院するためにはエボラウイルスを持っていないことを確認する必要がありますが、平成11年に当時の厚生省が出した通知では、ウイルスを分離する検査で確認することになっていて、こうした検査も現在はできず、問題が生じるおそれがあるということです。