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ちばてつやさんに文化功労者「あしたのジョー」「あした天気になあれ」漫画家人生60年

2014年10月25日6時0分  スポーツ報知
  • 文化功労者に選ばれたちばてつやさんは、会見で笑顔を見せた
  • 文化功労者に選ばれたちばてつやさんは、会見で笑顔を見せた

 政府は24日、2014年度の文化勲章を、ノーベル物理学賞の受賞が決まった半導体工学の中村修二(60)と電子・電気材料工学の天野浩(54)ら7氏に贈ることを決めた。文化功労者には漫画家のちばてつや氏(75)、女子プロゴルフの樋口久子氏(69)、洋画家で「ゴールデンスピリット賞」(報知新聞社主催)に贈られるゴールデントロフィーを作成した絹谷幸二氏(71)ら17人を選んだ。文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は同4日に東京都内のホテルで開かれる。

 「世界中の人を楽しませる文化のひとつと認めてくれたのかな、と思います」。文化功労者に選ばれたちばさんは、柔和な笑みをこぼした。

 約60年に及ぶ漫画家人生の原点は「母親が漫画を読ませてくれなかったこと」だ。隠れて読んだり描いたりしているうちにとりこに。そして、自ら描いてきた数々の傑作により文化としての地位を高めることに貢献してきた。「だから今、母親に『どうだ』って(言ってやりたい)」と笑った。

 17歳でデビュー。「ハリスの旋風」「おれは鉄兵」「のたり松太郎」「あした天気になあれ」などの作品を生み出してきた。最も印象深い場面には、代表作「あしたのジョー」のラストシーンを挙げる。世界王者ホセ・メンドーサとの一戦で「真っ白に燃え尽きた」主人公・矢吹丈がいすに腰掛けたまま目を閉じている名場面は、長年「ジョーは死んだのかどうか」という議論を呼んできたが、ちばさんは今年6月の本紙インタビューで当時の思いを回想。「描いている時は死んだとか死んでないとか何も考えなかった。ジョーは最高の舞台で最高の相手と戦い、ただ燃え尽きた。描いた私も青春の終わりに青春の全てを賭けて燃え尽きました」と熱っぽく語っていた。

 本紙の取材に、ほおを赤らめながら「漫画は人生そのものです。何をやってもダメで『ぐずてつ』と言われた私ですけど、漫画だけはちょっとだけほめてもらえるものでしたから」と半生を振り返ったちばさん。今でも自らの野球チームの試合に一塁手として出場し、夫人と毎日のようにテニスを楽しむ。まだ引退するつもりはない。「残された時間と体力を考えながら。私にしか描けない世界がきっとあると思うんです」

 ◆ちば てつや(本名・千葉 徹弥)1939年1月11日、東京都中央区生まれ。75歳。56年に「復讐のせむし男」でデビュー。67~73年、週刊少年マガジンで「あしたのジョー」を連載。02年に紫綬褒章。05年から文星芸大美術学部マンガ専攻教授。12年より日本漫画家協会理事長。

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