「アベノミクス」にのって急拡大してきた新電力事業会社「エナリス」、本誌報道でストップ安、会社側は異例のニュースリースを発表
■本誌が昨夕報じた、新電力事業会社「エナリス」(マザーズ、池田元英社長)に関する「疑惑」。瞬く間に個人投資家や市場関係者の間で広がり、エナリスの時価総額を大きく削る結果となった。クリーンイメージで売ってきた会社だけに、本誌報道との落差は大きかったようだ。本日はストップ安(790円△27.52%)と1000円台を大きく割り込み、年初来安値を更新した。今回のエナリスの「異変」は、投資情報サイトやラジオなどでも取り上げられ、その勢いはとどまるところを知らない。
■さらに興味深いのは、エナリスの対応である。本誌取材を「個別事例における詳細の回答は、控えさせていただきたく存じます」と一蹴しながら、本誌記事掲載のわずか数時間後に、「一部のWEBサイトの書き込みについて」と題するニュース・リリース(=写真)を同社HPに急遽、アップした。
「一部のWEBサイトの書き込みで、意図的に誤解を招く表現がなされており、当社のお客様や株主様など、ステークホルダーの皆さまの不安を煽る事態となっていることにつきまして、当社は適正に決算を行っており、何ら懸念はございませんのでご安心下さい。本件に対する当社の対応として、今後、風説の流布等には、法的措置も含めて検討してまいります」
■企業の対応としては異例の事態であるが、遅きに失したと言わざるを得ない。おそらく、「一部のWEBサイト」とは本誌のことを言うのであろう。しかし、その内容は、同社があたかも被害者のような文面で、本誌の指摘する疑惑に具体的な説明、反論は一切ない。あえて言おう。「不安を煽る事態」の元凶は、本誌ではなくエナリス側にある。上場しているのであれば最低限、有価証券報告書やIRに発表している内容は、きちんと説明するのが、上場会社の適切な姿だ。エナリスは、都合の良い情報はマスコミに流してきたが、都合の悪い質問には答えなかった。その結果が現在の株価である。被害者面をする前に、まず自らの怠慢を自己批判することが求められる。
■ちなみに、本誌の記事はエナリスの有報やIRをもとにした分析と現場取材によるものであり、風説の流布など一切ない。また、一部読者から疑惑の核心である「テクノ・ラボ株式会社」に関する問い合わせがあった。本邦で「テクノ・ラボ株式会社」と同一の商号を持つのは、写真を掲載した茨城県牛久市1419番地にしかない。テクノ・ラボは昨年5月に、同市南四丁目45番地46から当該地に移転している。同所には「吉川電気工業資材置き場」という看板が掲げられているが、テクノ・ラボの前社長、吉川房雄が昔掲げたものがそのままになっていると思われ、エナリスの売掛先である「テクノ・ラボ株式会社」と同一であることに変わりはない。
【本誌スタッフライター 半田修平】
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