広野にイオン進出 町が複合商業施設整備 来春にも
広野町に、商業施設を全国展開するイオン(本社・千葉市)を核店舗とする公設民営の複合商業施設が整備される。町役場前にある6号国道沿いの町有地に来春にも開店する。イオンが双葉郡内に進出するのは初めて。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を加速する施設として町が整備し、民間が運営する。町内をはじめ広域的な商圏を見据えており、郡内の復興と住民帰還を促す役割を担う。
町有地の面積は約4260平方メートル。町は整備に際し、補助率が高い企業立地補助金を活用する方針で、国と調整している。
運営主体は指定管理者制度を用いて、公社などの民間が担う。テナントは食料品や日用雑貨などを販売するイオンを核に、地域の要望などを踏まえた内容となる見込みだ。
■復興、住民帰還後押し
同町は震災で全町民が一時避難し、平成23年9月に緊急時避難準備区域が解除された。住民の帰還が進んでいる。町は帰還をさらに促進する上で、医療や福祉環境とともに、商業施設の整備を最重要課題の一つとして検討を進めていた。
町の調査では、約5500人の町民のうち5割に当たる2500人が町内に生活の拠点を置いている。原発、除染作業員も約2600人が暮らす。
町内では、JR常磐線広野駅東側に町民向けの災害公営住宅48戸が完成、近く入居が始まる。これとは別に県は郡内の住民向けに災害公営住宅を整備する見通しとなっている。来年4月には、町役場に近い現在の広野中校舎に県立中高一貫校の高校も開校する。
隣接する楢葉町は、全町民約7500人が避難しており、帰町の時期を「早ければ来年春以降」としている。県は27年度中に仮設診療所を同町に開設する。広野町に一定規模の商業施設ができることで、南双葉地方の住民の生活基盤が充実し、復興の加速につながるとみられる。
( カテゴリー:主要 )