宮沢経産相:東電株保有、野党は追及…政府、火消しに躍起

毎日新聞 2014年10月24日 23時15分(最終更新 10月24日 23時19分)

衆院経産委員会に臨む宮沢洋一経産相=国会内で2014年10月24日午前9時24分、梅村直承撮影
衆院経産委員会に臨む宮沢洋一経産相=国会内で2014年10月24日午前9時24分、梅村直承撮影

 宮沢洋一経済産業相が東京電力株600株(時価約20万円)を保有している問題で、政府・与党は24日、女性閣僚の「ダブル辞任」直後だけに、「全く問題ない」(菅義偉官房長官)などと火消しに走った。宮沢氏には「SMバー」への不適切な政治資金の支出問題もあり、新たな攻め手を得た野党は勢いづき、国会で追及を強める構えだ。【木下訓明、村尾哲】

 「株を持っていても東電への姿勢が変わることは一切ない。600株・20万円程度だが、値上がりへの期待も一切ない」。宮沢氏は24日の記者会見でこう強調した。菅氏も「閣僚の規範にのっとり、宮沢氏はすでに信託の手続きに入っている」と会見で擁護した。

 2001年に閣議決定された政務三役の「規範」は、在任中の株式などの取引を自粛し、就任時に持っている株などは信託銀行に信託するよう定めている。保有株を信託銀行の管理下に置き、機密情報にも接する政務三役のインサイダー取引を防ぐためだ。罰則のない倫理規定だが、麻生政権時代の09年3月、平田耕一副財務相(当時)が保有株を信託せず、在任中に売却していたことが発覚。規範違反で辞任した例がある。

 宮沢氏のケースは、規範にのっとり信託する手続きは取っているものの、引き続き東電株を保有していることには変わりない。実質国有化している東電を所管する経産省トップが東電の株主では、「中立性」が保てないのではないかと野党は問題視している。

 民主党の榛葉賀津也参院国対委員長は24日の会見で、「(打診があった時点で)売却なり処理をするのが一番スマートなやり方ではなかったか。宮沢氏は就任時に『李下(りか)に冠を正さず』と言ったが、既にウリ畑でスイカを食べていたようなものだ」と皮肉った。

 みんなの党の浅尾慶一郎代表も「経産相は電力会社に強い指揮命令権を持つ」と述べ、中立性に疑問を呈した上で、「株保有を承知して任命したのかを問いたい」と首相の任命責任にも言及した。維新の党の松野頼久国会議員団会長は「公平性が担保されるか聞きたい」と国会で追及する考えを示した。

 一方、SMバーへの支出問題では、閣内からも「収支報告書を作成する監督責任はあると思う」(竹下亘復興相)などと宮沢氏への苦言が出た。生活の党の鈴木克昌幹事長は「万一閣僚がもう1人辞めれば内閣総辞職ものだ」と攻勢を強める考えを示した。

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