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AniFav スペシャルの一覧へ戻る 更新日:2013年09月13日 19時35分

総力特集! アニメ『ゆゆ式』(4)――プロデューサー・小倉充俊 インタビュー 「『ゆゆ式』は言葉にならない、でも"じわじわ"くる」(前編)

ライター:
高瀬司(聞き手・構成)、前田久(聞き手)

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総力特集! アニメ『ゆゆ式』(4)――プロデューサー・小倉充俊 インタビュー 「『ゆゆ式』は言葉にならない、でも

先日、ついに最終回を迎えたアニメ『ゆゆ式』。しかし原作コミックはもちろん、Blu-ray&DVDのリリースに秋のイベントと、作品はまだまだ継続展開中だ。AniFavでも「総力特集」として、引き続きさまざまな角度から作品を掘り下げていく。

そんな「総力特集! アニメ『ゆゆ式』」第2弾では、第1弾の記事でもその熱い『ゆゆ式』愛が話題になった、ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントのプロデューサーであり、本作の企画立案者である小倉充俊に取材を敢行。アニメ化の企画の成り立ちから作品コンセプトまで、アニメ『ゆゆ式』の製作の裏側を伺った。

夏は終わった――でも、『ゆゆ式』はまだまだアツい!(全3回)

■小倉充俊プロフィール

ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント所属。マネージャー/プロデューサー。主な手がけたタイトルに『BLACK LAGOON』『薄桜鬼』『あの夏で待ってる』『ヨルムンガンド』など。この秋からは『凪のあすから』『東京レイヴンズ』が放送開始。

■『ゆゆ式』の布教活動

――先日の高橋ナツコさんのインタビューで、小倉プロデューサーは『ゆゆ式』の大ファンだとお聞きしました。そこでまずは作品との出会いやアニメ化を思い立ったきっかけから伺わせてください。

小倉:初めに作品を知ったのは知人からの紹介でした。アニメ化の話とは全く関係なしに、すごく面白いオススメのマンガがあるということで。2011年の初頭だったと思います。
アニメ『ゆゆ式』小倉PDインタビュー前編画像01 よく『ゆゆ式』の評判で「読んでるうちに後からじわじわ来る」というのを目にしますが、最初はまさにそんな感じでした(笑)。2巻、3巻と読み進んでいくうちに、じわじわとハマりだしてきて、ああこれかと。……いつのまにか何度も読み返すようになっていたんですよ。しかも読む度に気づくことがあって、メインの3人はもちろん他のキャラクターとの絡みや、通じていることもあれば通じていないこともある自然なコミュニケーションが描かれている、作品全体の世界観がどんどん好きになっていったんです。
 そこに至って、自分の感じている面白さが自分だけのものではない、もっと広く一般性を持つものなんじゃないかと感じまして。それでTVアニメ化の企画を立ち上げる事になりました。

――そうした深い理解の先にアニメ化があったとなると、『ゆゆ式』独特の空気感や魅力をいかにしてアニメに落とし込むか、非常に悩まれたのではないですか?

小倉:そうですね。アニメ化を成功させるには、この独特の空気感を表現しないといけないというところで、まずはスタッフの皆さんに読者として『ゆゆ式』を好きになってもらうことが重要だろうなと思いました。なので最初は『ゆゆ式』がいかに面白いかということをとくとくと説き続けていましたね。「初めは戸惑うかもしれないけど、絶対じわじわ来るから!」と。そんなこともあって、「小倉は『ゆゆ式』好きだ」というイメージがスタッフ間に定着したのかもしれません。実際、大好きなんですけどね(笑)。

――お話ぶりからも愛情がよく伝わってきます(笑)。

小倉:でも、それだけが理由ではないんですよ。アニメ化に際しての基準を作らなきゃいけないとも思ったんです。

――基準?

アニメ『ゆゆ式』小倉PDインタビュー前編画像02小倉:皆がそれぞれに作品やキャラクターを感じられる作品だけに、単に原作を読んどいて下さいでは一本のアニメとしては印象がブレてしまう懸念があったので、「『ゆゆ式』ってこういうものだよね」という統一的な基準を作らなきゃいけないなと。もちろんどの解釈も間違ってはいないけれど、どの道を選ぶしても、皆がその判断を共有する必要があったんです。非常に感覚的な話ですが、この作品はともかく空気感が大事なので、そこを形にしないと共通言語が見いだせなくなってしまう。だから、その基準となる『ゆゆ式』のルールを広めることが必要でした。作品の中でそれぞれのスタッフが自分の『ゆゆ式』を表現していただいて構わないし、むしろ積極的にお願いしたんですけど、その為のルールをみんなで理解しよう、と。

――ルールというのはどういったものになるのでしょうか?

小倉:色々あるんですけど、一つには女の子3人の自然な感情の流れを描くということですね。『ゆゆ式』は単にキャラクターが可愛いというだけではない、人間関係の微妙なバランスみたいなものが描かれた作品だと思うんですよ。実はものすごく奥深いところがある。そういう部分は大切にしたいなと。
 その点では制作をキネマシトラスさんにお願いできたのは本当にありがたかったです。キャラクターを役割じゃなく人間としてきちんと描ける、しっかりした制作思想を持っているスタジオですから。

――主要スタッフはどのような基準で決められたのでしょうか? 女性スタッフが多い点も目立ちましたが。

小倉:『ゆゆ式』の世界には男目線がないんですよね。ゆずこたち3人は男性からの視線を意識してない。そういう女性しかいない世界での安心感や、飾らない無防備さみたいなものが重要だと考えていた所に、キネマシトラスの小笠原(宗紀)プロデューサーから監督のかおりさんや高橋ナツコさんのお名前が出てきて、ぜひお願いしますと。
 ただ逆に、ゆずこたちの行動を無防備だと感じるのは異性の感覚なわけで、ストレートにかわいいと思えるビジュアル面での表現にはむしろ男性目線での女性キャラへの強いこだわりが必要でしたので、キャラクターデザインを田畑壽之さんにお願いしました。

アニメ『ゆゆ式』小倉PDインタビュー前編画像03――制服の裾からヘソが見えたり、足の肉感が強調されたり、という描写は目立っていましたね。

小倉:あざといのはNGですけど、「セーラー服で背伸びをしたらへそチラするよね」というような、物理的にありえる事は隠さないでやっていただいてます。そういうのを意識的に隠すと潔癖過ぎて逆にウソっぽいですしね。それもルールのひとつです。

――アニメ化の際の注意点というと、他にどういったものがあったのでしょうか? シナリオにもかなりコミットされたと伺っていますが。

小倉:そうですね、今回は脚本にもかなりコメントを入れさせてもらいました。物語の組み立て方も何度か変更していて……付き合ってくれたかおり監督とナツコさんには頭が上がりません。
 初めは原作の順番通りにやって3話くらいまで作ってみたんですよ。でもそれではただのネタの羅列というか、コント集みたいになってしまって……。なのでそのやり方は破棄して、一からやり直しました。次は作中の時系列通りに並べ直してみたんです。
 『ゆゆ式』原作の時系列って変則的にできていて、1年生を2回やった後、2年生を何回も繰り返しているんですね。なので一旦、同じ1年生の春のネタなら、一周目と二周目を同じ話に入れるみたいな並べ替えをして、そのうえでさらに各話の中で3人の1日の流れが見えてくるように組み直しを行なったんですよ。
アニメ『ゆゆ式』小倉PDインタビュー前編画像04 普通4コマだとネタごとにある程度独立していて、たとえば教室で会話していたかと思えば、次のネタではいきなり違う所にいたりするじゃないですか。感情も、さっきのネタでは怒ってたけど、次のシーンでは切り替わってるとか連続していない。でもきっとこの子たちは、授業が終わった後には教室でみんなで集まって一緒に部室へ移動したりしてると思うんですよ。もしかしたら、そこで相川さんやお母さん先生と何か会話があったかもしれない。何か見つけたかもしれない。そんな廊下や帰り道の中にも様々なドラマがあるんじゃないかと。さっきの自然な感情の流れを描くという話とも繋がるんですけど、ネタがただ連なるのではない、3人がちゃんと一日の流れの中にいるんだという感覚は大事にしましたね。
 だからネタが切り替わっても、感情はちゃんと繋がっているし、演出の面でも、シーン変わりのワイプ処理を禁止にしています。部室に行く途中なども極力描くようにしよう、瞬間移動のような描き方はやめよう、と。そういうのも最初に皆で決めたルールですね。

――原作にはない1日の流れを形作る中で、最も苦労された点というのは?

小倉:オリジナルを加えることの難しさですね。空間を繋ぐには、接続詞的にちょっとしたオリジナルを入れられると楽なんですけど、下手なオリジナルを入れてしまうと途端に『ゆゆ式』じゃなくなってしまうんですよ。原作の空気感とマッチしてくれない。
 三上(小又)先生の中での世界観が完成されてるんでしょうね。ちょっとした台詞でも語尾とかリアクションを少し変えるだけで急にらしくなくなるんです。何か違うよねと。そこはすごく気を使いましたね。原作に対して都合のいい嘘をつかないようにしようと。

【中編へ続く】

『ゆゆ式』特集の導入コラムはこちら

『ゆゆ式』シリーズ構成・高橋ナツコさんインタビューの前編はこちら
『ゆゆ式』シリーズ構成・高橋ナツコさんインタビューの中編はこちら
『ゆゆ式』シリーズ構成・高橋ナツコさんインタビューの後編はこちら】 
『ゆゆ式』キネマシトラスさん取材記事の前編はこちら】  
『ゆゆ式』キネマシトラスさん取材記事の後編はこちら

©三上小又・芳文社/ゆゆ式情報処理部

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