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イコンの遺恨 - 『プリズナーズ』 - 1953ColdSummer

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イコンの遺恨 - 『プリズナーズ』


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リズナーズ
PRISONERS
2014(2013)/アメリカ/PG12 監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ 製作総指揮/マーク・ウォールバーグ/他 出演/ヒュー・ジャックマン/ジェイク・ギレンホール/ヴィオラ・デイヴィス/マリア・ベロ/テレンス・ハワード/メリッサ・レオ/ポール・ダノ/他 
愛する娘を奪われた時、
父が踏み越えた一線とは。



 宗教色とりわけ耶蘇教色の強い映画は嫌いという程でもないが、語るに面倒臭く、かといって身振り手振りを交えてエモーショナルに感想を伝えようとするとアッチの人かと思われてこれまた面倒臭い事になるので、はな、出来ればチラッと横目で見ながら避けて通りたい、というささやかな望み/願いとは裏腹に今年も宗教色の強い映画を何本も観てしまったなぁ、宗教コワイコワイ、と、神社に詣でて二礼二拍一礼をし禊を済ませてきたわけですが、何かご利益があると良いなぁ。

 ところで神社で値切り倒して買ってきた点心をぽりぽり食らいながら『灼熱の魂』(感想)のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『プリズナーズ』を観たのだが、これが抹香臭くてまた参る。
 感謝祭の日にヒュー・ジャックマン演じる主人公ケラーの愛娘が忽然と行方不明になってしまう。が、第一容疑者であった青年アレックスは10歳程度の知能しかない上、証拠不十分との事で釈放され、警察と事件担当のロキ刑事に不信を募らせテンパったケラーさんはアレックスをワガの手で捕らえ監禁し、拷問するという暴挙に出る。

 と、だけ筋書きだけ抜き出してみると、どこが宗教臭いんじゃ、感謝祭の日にヒュー・ジャックマン演じる主人公ケラーの愛娘が忽然と行方不明になってしまうが、第一容疑者であった青年アレックスは10歳程度の知能しかない上、証拠不十分との事で釈放され、警察と事件担当のロキ刑事に不信を募らせテンパったケラーさんはアレックスをワガの手で捕らえ監禁し、拷問するという暴挙に出るとよろしいという教義の宗教があるのなら言ってみやがれ、この野郎。とか何とか思われるかも分からんが、早合点はベッドの上だけにしていただきたい。本作には文言に、台詞に、名詞に、ホワイダニットにそれぞれまごころ込めて神秘主義が織り込まれ、一見しただけでは絶の島に取り残された漁師のごときになってしまうのである。

 とは言い条、ジェロニモとかルシアンとかそういう洗礼名を持っている人や、学校の校門前で聖書を配っているような人でないと楽しめない映画なのかと問われれば全然そんな事もなく、子の行方を案ずるあまりほんのちょっぴり人の道を踏み外したおっさんが味わう阿修羅地獄や、二転三転、という程でもないのだけれども一転半くらいはする真相に獅子吼できるクオリチーは流石に『灼熱の魂』で人の道を外れた物語を描いたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の辣腕。『複製された男』もまだ観ていないのだけれども楽しみなこってす。

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 さて。ひと、にんげんが最も赫怒する状況というのは何だろうか。
 隣のおばはんが晩飯時を狙ってお醤油を借りに来た時、などと答えるのは蹄が徒に地面を掻くようなもので、豺狼がごとき眼光でこの問に返答できる人間こそが人生を生き、真摯に映画を観られる人間だと思うのだが、そげな選民意識で映画を眺めていてもワガの阿呆面には変わりは無いので「そうだなぁ、買い置きの小豆餅がいつの間にか無くなっていたら腹が立つなぁ」などとこの手の問いかけには答える事にして、本作では2つの怒りが惨劇の扉をこじ開けている。

「自分の複製を失った怒り」と「沈黙する神に対しての怒り」である。 

 だが、この怒りに同調する事は即ちサタンに与する事であると作中の諸々の記号から類推される。怒りに任せた結果が自罰や自裁であるのは観たまんまだが、エデンの蛇を連想させるあるガジェットに誘惑され、行動を起こす短絡はいかに視野狭窄に陥っていたとは言えども記号的な堕落であるし、ケラーがアレックスに行なう拷問はキリストの受難なんかとは違い、拷問吏と化したケラー自らが神に赦しを乞う程の行為であると自覚的に七つの大罪がひとつ「憤怒」に見立てられている。

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 本作が恐ろしくも精緻なのは、いや、精緻であるほど恐ろしさは増すものなのだが、宗教的なモチーフを織り込みながらもそれらが物語を推進させるがためのフラグでもあるというところで、尚且つ信仰の有無ひいてはバイブル・ベルトの「明日への希望」に複数の事件を着地させているという不信心者への劫掠感でもある。
 映画内の事件の文脈からより事柄を拡大させて観客の想像力を問う、てのはよく見かけるしそのたびに「映画はいつからクイズになった?」と私の足りない頭を悩ましめるのだけれども、アメリカ映画に於ける最大の想像力というのはやはり神に帰結するのだろう。ノワールが都市の表情を見せるように、実録犯罪映画が社会の澱を見せるように、本作は、誘拐事件からより位相の異なる神の有無を語ろうとしている。その上で転がる死体や地下室は数行ほどの描写に過ぎず、ある事に使用される特製ドリンクですらが人の手に成るものと何故か観客を神から目線に導く。こういう仮初の気分(お客様は神様です)に手軽に浸れるからクイズみたいな映画が増えているのかも。


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