デイトレで上手く利益を上げるためにはどのような銘柄を選ぶべきかご存知ですか? 当たり前過ぎることかもしれませんが、それは今が旬の銘柄です。
今が旬の銘柄というのは、既に人気のある銘柄ではありません。簡単に言うと、これから値上がりする可能性の高い株のことです。
これから値上がりする銘柄を見つけることができたら、デイトレに有利なのは言うまでもないですね。
出来高は、まさにこれから大きく上昇する人気銘柄を見つけるために重要な指標の一つです。出来高と株価の関係性を把握することで明日から上昇する銘柄をデイトレードで取引し大きな利益を獲得することができるようになります。
出来高を深く理解することは銘柄を選ぶのに役立つのです。
それでは、出来高とは何なのか、ご説明していきたいと思います。
1.出来高は株式の人気のバロメーター
株で利益を得る基本は将来的に値上がりする株を買うことが重要です。そして、将来的に値上がりする銘柄とは人気が出る可能性のあるものです。さらに人気の出ている状態とは、たくさんの人がその株を取引している状態のことです。
つまり人気の株は出来高が多くなります。そのため、出来高は人気のバロメーターだと言い換えることもできそうです。詳しく説明していきましょう。
出来高とは株式が実際に売買された取引量のことです。
例えば誰かが1000株売って誰かが1000株買うとその日の出来高は1000株ということになります。出来高というのは人と人との株式のやりとりなので、結局この出来高が増えるということはその銘柄が人気化している証でもあります。
参考に以下のチャートをご覧下さい。
ロウソク足チャートがあって、その下の黄色い棒グラフが出来高グラフです。
出来高が急増している部分に注目して下さい。このようにに、上げでも下げでも株価が大きく動くときは出来高の上昇を伴います。価格が大きく動くということは、それだけ取引が活発にされるのだから、出来高が増えるのは当然といえば当然です。
ただし、上のチャートは大型株の代表格であるトヨタ自動車のため、出来高の動きはこの程度なのですが、小型株や新興市場の株などは、普段出来高がそれほどないものも多いため、出来高の増減が非常にわかりやすいです。
そして出来高の増減がわかりやすいほど株価の先行きを読みやすくなります。
出来高をしっかりと理解して、出来高と株価の動きにどのような関連性があるのかを知ると、あなたのトレード技術はより洗練されていきます。
詳しくご説明していきます。
2.「逆ウォッチ曲線」〜出来高と株価の相関関係〜
前項では出来高と株価の関係を探るために有名な理論があります。それが、逆ウォッチ曲線というものです。下の図をご覧下さい。
グラフの横軸が出来高で縦軸が株価です。ご覧のように出来高の株価の関係は8つのサイクルで回って行きます。
- 出来高がじょじょに増え、いまだ株価は上昇していない段階
- 出来高がさらに増加し株価もじょじょに上がり始める(ここからがチャンス)
- 出来高はいったん停滞し、株価は上昇する
- 出来高は少し減るが、株価は少し上昇
- 出来高減少で、株価は停滞する
- 出来高が少し減って株価が少し下落(ここからが注意)
- 出来高が変わらず株価は下落する
- 出来高が少し増えるも株価は少し下落する
逆ウォッチ曲線のたとえば1番目、2番目の出来高が増えた時点から取引を開始することができればタイミングの問題は別として短期でも中期でも利益を出しやすくなるでしょう。
株価と出来高は、必ずしも逆ウォッチ曲線のように動くというわけではありませんが、基本的な考え方なので抑えておくと良いでしょう。それ以上に重要なのは、出来高の増減が、株価の増減に与えるメカニズムを理解しておくことです。
3.出来高が増加する5つの要因
出来高と株価のメカニズムをより深く知るためには、出来高が増加する要因を理解することが重要です。答えから言うと、出来高を動かして株価を上昇させる要因は以下の5つあります。
- ニュースや決算などなんらかのファンダメンタルな要因
- 銘柄の上昇に伴う短期投資家たちの参入による戦場化
- 株式分割等による流動性の上昇
- 完全な人気株化による素人投資家の参入
- 外資系証券などの空売りの買い戻しによる釣り上がり
これ以外の要因もありますが、概ね上記の5つが伴い出来高の上昇は、株価に上昇圧力を与えると理解しておいて良いでしょう。
それではそれぞれのケースで、なぜ出来高と株価が上昇するケースが多いのかを説明していきます。この後に、実例を交えて解説しますので、とりあえずさらっと確認しておいて下さい。
3−1.ニュースや決算などのファンダメンタルな要因
なんらかのニュースや好決算などが発表されることで、これまで取引されなかった株の出来高が急激に増えることがあります。
爆発的に出来高が増え株価も急上昇します。大きく上昇するといったん株価と出来高は落ち着き、その後緩やかに上昇していきます。
たとえば、ニュース(飛ぶようにダウンロードされるスマホゲームコンテンツ、スマホやタブレットに組み込まれる基盤の開発、リニア関連で受注が入るなど)などあげていくとキリがないですが、大体出来高増加と株価上昇はこういう良いニュースから始まります。
3−2.銘柄の上昇に伴う短期投資家たちの戦場化
銘柄がニュースや好決算などによって人気化すると出来高増加と株価上昇にともない1日の値幅が大きくなります。たとえば100円の株式で一日の値幅が5%だったものが、平気で15%動き始めたりします。
そうなると1日の上下の動きが激しくなるので短期投資家(証券ディーラーやデイトレーダー)が参入し始めます。
彼らは基本的にはニュースや決算などのファンダメンタル要因には興味がなく、出来高が増え値動きが大きくなることを前提に銘柄探しを行います。デイトレーダーたちはその銘柄が盛り上がって人気化している限りは、そこで短期取引を行うことで小さな値幅を繰り返し取得して利益を得ようとします。
トレーダーたちの参入によってさらに出来高が増加し、人気株となるのです。
3−3.株式分割等による値段の変更
人気化すると株価は大きく上がりします。
1000円だった銘柄が20倍の20000円になるということも普通に起こり得ます。そうなってしまったら、最低取引単位が100株だったとして、その株を買うには、2000000円も必要になってしまいます。
このままでは、一般的な投資家は手が出せないため、放っておくと株価は上げ止まってしまいます。当然企業としても、株価は上げられるところまで上げたいと思っているので、ここで株式分割を行います。株式分割を行うと、一般投資家が手を出せるレベルまで価格を落とすことができるからです。
たとえば、20000円の株式を1:5の割合で分割すると1株4000円となり、これまで200万円必要だったのが、40万円で住すむことになります。こうなれば、値段も安くなり資金力のそれほどない一般の投資家も参加しやすくなり人気化した売買が復活して出来高のさらなる上昇が期待できます。
3−4.完全な人気株化による素人投資家の参入
このあたりになってくるとすでに人気化してしまった株におくれて買い参入してくる人立ちがいます。いわゆる証券営業を通して買いにきたり、自分でネットを通してNISAで買ったりと取引形態はさまざまです。
基本的に彼らのスタンスは中長期投資です。そのため一度買うとなかなか売りません。株価が下がっても損切りというものをしないので、彼らの保有する分の株式が売りとして出てこないことは一時的な株価下支え要因となります。
というのもデイトレーダーなどが株を買うと基本的にはその日のうちに処分をするのでかならず売りが出る、そなわち彼らの売買には下げ要因を含んでいることになります。長期目的の個人投資家にはそれがないのです。
例をだすと、2014年NISAが開始された頃に日本マイクロニクスという会社の株がNISAで買われている銘柄ランキングに入っているということを知ってびっくりした覚えがあります。日本マイクロニクス自体は株価が直近安値から10倍以上になっていましたので、そこから長期目的で保有するというのが短期投資派の私には信じられませんでした。
しかし、確かに株式市場にはそういう人たちが存在するのです。そして高値付近での一時的な株価下支え要因になっていることは確実です。
3−5.外資系証券などの空売りの買い戻し
外資系証券も空売り(株式の価格が下がると利益が出る)を行います。
空売りを行うということは株価が下げれば利益が出ますが、逆に上昇したら損になるということです。ということは外資系証券のような資金力のある機関ともなれば一つの銘柄の株価を下げるために大きな資金を使って空売りをして強引に株価を下げようとしてきます。
外資系証券は株価が上がれば上がるほど空売りを仕掛けてきますが、いくら資金力をたくさん持っていても市場の大きな流れに負けるときはあります。つまり負けたとき多量の空売りの買い戻しを行ってきますので、その瞬間資金が大量にその株式に流れ込んでくるなので株価も出来高も大きくふたたび大きく伸びることになります。
4.MIXIの動きで見る出来高と株価上昇の流れ
それではこれまで見てきて5つの出来高増加の要因を実例チャートに照らし合わせてみていきましょう。5つの要因を振り返ってみましょう。
- ニュースや決算などといったファンダメンタルな原因
- 出来高増加にともなった短期投資家による戦場化
- 株式分割により値段が下がることからくる流動性の高まり
- 遅れて入ってくる投資家たちの買い支え
- 外資系証券などの空売りの買い戻し
それでは実例チャートに照らし合わせて、この5つの要因を見てみます。
上記5つの要因をチャートに照らし合わせて見ると、1つ目の赤い矢印地点からいったん株価は下げますが、その後2014年5月半ばに業績上方修正を発表しています。
① 業績上方修正のインパクトが非常に強かったのでその後株価は順調に上昇し始めます。下記の記事が当時のミクシィのゲームダウンロード数の推移、業績のインパクトなどよくまとめています。
このようなSNSゲーム関連株はダウンロード数などがはっきりと出てくるため、売上なども想像がしやすいです。
② 出来高が上昇すると(値動きが大きくなるので)短期投資家たちがどんどん流入してくることになります。白い星マークを付けているところでは、価格の節目(3000円、4000円などといったキリのいい数字)を抜ける場面が見られますがこのようなときにはおおかた短期投資家が絡んでいます。
③ 株価もだいぶ高くなっていたので、緑の矢印で株式分割をして20000円近くの金額だったミクシィ株が、4000円で購入できるようになり、ますます活発に取引されるようになります。株式分割が発表されると株価は上昇する傾向があります。やはり取引価格が安くなることでそれまで高すぎて買いを控えていた投資家たちが買いに来るのが原因だと思われています。
④ この頃にはミクシィは証券業界で超話題株となっています。短期投資家たちにとってはそろそろ別の株を探し始めるころとなりますが、それ以外の長期保有を基本とする投資家たちにとってはこれから買いに行こうとするタイミングだったりします。ちょうど証券会社の営業マンたちはこれほどに盛り上がってからお客さんへと薦める傾向があります。
⑤ 一方、上昇していく株には必ず含み損を抱えた人々がいます。上げすぎた株価が下がるだろう考えた上で空売り(株価が下がると利益となる取引)をする人たちです。
ミクシィは非貸借銘柄という空売りのできない銘柄です。しかし、個人投資家は空売りができなくても、外資系証券などは売ることができます。しかも売る量が多ければ報告義務等もあるので、空売り残高がどれくらいあるのかがネットでさらされることになります。
当然、外資系証券も損が大きくなれば損切りせざるを得ません。そのような外資系証券は、空売りが失敗して損切りをすると決めたら、大きな株数を一気に買い戻すので、株価をさらに大幅に上昇させます。
下記サイトで外資系証券が実際に行っている空売り残高の一覧を見ることができます。(必ずしもこれですべてではありませんが、、、)
銘柄のコード(ミクシィ)であれば2121を銘柄コードボックスに打ち込んでエンターを押すと各外資系証券の空売り残高が大まかにではありますが、見ることができます。
こういうのも見ておくと、その銘柄に対して深い洞察ができるようになってきます。
補足)
こうして5つの要因を実例で見てみると、右肩上がりに上昇しているミクシィのような銘柄でも、出来高が常に一定でないことがわかると思います。
やはり出来高が盛り上がるのは上記のような要因が発生したときであり、その後株価も出来高も落ち着きます。ただ、ひとつ特徴的なのは、このように右肩上がりで盛り上がるような銘柄は出来高が減少してもなかなか下げないのだということです。
ガンホーの時もそうでしたが、盛り上がったタイミングでその銘柄をフォローして常に監視銘柄に入れておけば、デイトレでもスイングでもかなりおいしい思いができるはずです。
まとめ
株式投資においては出来高と株価の関連性を掴むことが重要です。
逆に言えば出来高と株価の関係性を知らないまま、ほかのテクニカル指標を使って短期投資で勝とうとしても結果はおぼつかなくなります。
銘柄選定と投資タイミングの両方において大きな役割を持つ出来高という指標をぜひ覚えて投資に役立てて頂ければと思います。
谷山歩
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