コラム:消費増税判断、どちらに転んでも「円安」に=植野大作氏
植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 24日] - 消費再増税の時期や是非をめぐる政府・与党内の議論が激化している。
各種報道によれば、自民党の執行部や税制調査会では、円滑な財政運営および規律重視の立場から予定通り2015年10月に税率を10%へ引き上げるべきとの意見が大勢を占める一方、16年に実施される国政選挙に向けた国民世論への影響や景気悪化リスクを懸念する一部の与党議員や首相ブレーンなどからは「増税先送り論」が急浮上しているという。
古今東西、国民生活に甚大な影響を及ぼす間接税引き上げに関する議論は、政治的な意思決定に各種主体の利害得失への思惑が複雑に混入されて甲論乙駁の状態になることが多い。最終的には安倍首相が計画通りに実施するかどうかを判断する予定だが、現時点では旗色を鮮明にしておらず、各方面の意見を聞きながら、今後発表される7―9月期国内総生産(GDP)の結果も踏まえて熟慮した上、12月中をめどに慎重に判断する方針だと伝えられている。要するに、現時点では「どちらに転ぶのかよく分からない」のが実情だ。
こうした状況下、為替市場関係者の間では、年内には示されそうな安倍首相の消費増税判断が、その後のドル円相場にどのような影響を及ぼすのかについての「憶測トーク」が先行して始まっている。
安倍首相の選択肢は細かくみれば複雑に枝分かれするが、主なものに整理すると、1)消費税率の引き上げを無期限で凍結する、2)10%への税率引き上げの時期を16年以降に延期する、3)計画通りの増税実施の是非を判断する時期を先送りする、4)現行法通り15年10月に10%に引き上げる、という4つのパターンに分類できそうだ。それぞれのケースでドル円相場はどう反応するのだろうか。以下、筆者の見解を整理しておく。
<判断延期なら「悪い円安」リスク蓄積へ>
まず、安倍首相が「消費増税の実施を無期限で延期する」と決断した場合だが、さすがに「悪い円安」への懸念が台頭するリスクがあるだろう。 続く...