【ブリュッセル=御調昌邦】欧州連合(EU)は23日から24日未明にかけて開いた首脳会議で、2030年までに温暖化ガス排出量を1990年比で40%削減する目標で合意した。他の主要国に先駆けて20年以降の積極的な目標を掲げることで国際的な議論をリードする狙いがある。日本も24日午後に30年までの削減目標を話し合う環境省と経済産業省による有識者会議の初会合を開いた。
首脳会議では温暖化ガスの排出量だけでなく、30年までに再生可能エネルギーの比率を全体の27%以上にすることや、エネルギー効率を当初予測より27%改善させることでも合意した。ポーランドなど一部の東欧諸国は慎重な姿勢をみせていたが、低所得国を支援することなどで折り合った。ドイツのメルケル首相は合意に向け「環境保護と競争力(の維持)を両立させることが必要だった」との認識を示した。
温暖化対策を巡っては、全ての国が2015年末にパリで開催予定の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で20年以降の新たな枠組みを構築することを目指している。これに関連し、自主削減目標はできる限り来年3月までに示すように求められている。バローゾ欧州委員長は「主要国はEUの野心的な取り組みに追随する必要がある」と述べ、日米中なども同様に積極的な目標を示すように呼びかけた。
EU内では、石炭への依存度が高いポーランドを筆頭に経済発展途上の東欧諸国が大幅な温暖化ガスの削減目標に抵抗してきた。首脳会議では、発展途上の加盟国に対して、適切な目標設定や資金支援などを通じて、経済成長に過度な負担がかからないようにする支援策を導入することでも合意した。
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