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実は観光資源豊富な福井県

[1]天然記念物「東尋坊」。高さ20mの岩肌に約1kmにわたって柱状節理が見られる。[2]福井観光の足、恐竜電車も運行している「えちぜん鉄道」のお得切符。[3]戦国の城下町跡、国の特別史跡・特別名勝「一乗谷朝倉氏遺跡」。朝倉義景館跡の入り口に建つ唐門。

 福井県の観光の現状と訪日誘致の取り組みについても見ておきましょう。

 訪日誘致は現在、台湾や上海など東アジアに対し、県内の観光地やスキー場、越前ガニや若狭ふぐなどの食をアピールするほか、敦賀港や福井港へクルーズ船を呼び込もうとする動きも一部にはありますが、戦略的な取り組みには至っていません。

福井県を代表する観光施設の観光入込客数(10年間の推移)
データ出典:福井県観光入込客数(推計)

 福井県の平成25年の観光入込客数(実数)は1034万人。市場規模的には、前回ご紹介した静岡県の観光入込客数(1億3000万人)の10分の1以下、山梨県(3000万人)の3分の1です。

 その原因の一つが、関東地区からの入込の少なさにあります。平成25年に福井県を訪れた観光客の発地は関西地区42.0%、中京地区27.1%、北陸地区17.3%に対し、関東地区はわずか6.6%。福井県の場合、こうした国内観光の弱さがそのまま訪日観光に反映されています。

 しかし、国内延べ宿泊者数で全国45位の佐賀県は観光入込客数(実数)1346万人と、福井県同様、国内観光に弱さは見られるものの、佐賀有明空港を活用し5万5550人泊の外国人延べ宿泊者数を得ています。

 福井県には空港はありませんが、隣接する小松空港へのアクセスはリムジンバスで55分。2013年には「中部縦貫自動車道」の勝山と大野間が開通。中部縦貫自動車道は北陸自動車道福井北ICから飛騨高山などを経由、長野県松本で中央自動車道と接続し、北陸と関東を最短距離で結ぶ道路となります。2014年7月には「舞鶴若狭自動車道」が全線開通。これにより北陸・東海・近畿のアクセスが一気に向上しました。

 福井県には世界三大恐竜博物館の一つ、「福井県立恐竜博物館」や断崖絶壁の奇勝「東尋坊」、重文8城の一つ「丸岡城」、戦国時代の遺跡「一乗谷朝倉氏遺跡」、食では「越前カニ」や「ソースカツ丼」など、多くの魅力的な観光資源があります。観光入込客数1000万人に甘んじている地域ではないはずです。福井県の奮起を期待します。

旅で見つけたお気に入り(10)
必見! 福井の恐竜博物館
[1]館内には42体もの恐竜全身骨格が立ち並ぶ。[2]館銘碑には遊び心あるフクイラプトルの復元模型のブロンズ像。[3]1階展示室「恐竜の世界ゾーン」

 福井県立恐竜博物館は2000年7月開館。なぜ福井に恐竜博物館? と思いますが、実は勝山市では1982年に、中生代白亜紀前期のワニ類化石が発見されました。それを発端にして88年、福井県立博物館(当時)が予備調査を実施、肉食恐竜の歯などを発見。その後も恐竜をはじめとする多数の脊椎動物の歯、骨、足跡等の化石を発見採取。その数は日本で発掘された恐竜化石の大部分を占めています。2007年には貴重な恐竜の皮膚痕化石が発見されました。

 実は博物館の入館者数は、開館初年度こそ県を挙げての大規模なイベント開催もあり70万人を集めたものの、2年目以降は20万人台で推移していました。そこから趣向をこらした企画展やPRによりリピーターを獲得。2010年度には50万人、2013年度は70万人を突破し、開館以来、最高の入館者数となりました。口コミサイト「トリップアドバイザー」のトラベラーズチョイス人気観光スポット2014〜博物館・美術編(国内版)でも広島平和記念資料館に続き、第2位にランクインしています。

 実際に行ってみると、その楽しさが実感できます。化石はもちろん、動く恐竜模型に人気声優の音声ガイドサービス、化石発掘体験などのアクティビティも充実しています。平日だというのに小さな子供を連れた多くの家族連れで賑わっています。ほとんどの場所で写真撮影もでき、博物館のレストランでは楽しい恐竜メニューも。大人も子どもも楽しめる、もう一度行きたいと思わせる博物館です。

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