日本人は資本主義が嫌い?
日本人は先進国の中でもっとも自由市場を支持しておらず、一方で中国人は米国人以上に自由市場を支持している。こんな実態が米国の調査機関によって明らかにされました。意外といえば意外ですが、当然といえば当然という結果かもしれません。
調査を行ったのは米国の調査機関であるピュー・リサーチセンターです。同センターは米国の世論調査では非常に有名な組織で、その結果は米国社会に大きな影響を与えています。
今年の春に行われた自由市場に関する調査によると、主要先進国のうち、自由市場を支持している人の割合がもっとも高かったのはドイツとなっており、73%の人が自由市場を支持しています。ついで米国が70%、英国が65%という結果になりました。この3カ国は、自由競争主義を徹底している代表選手ですから、これは当然の結果といってよいでしょう。一方、日本は自由市場を支持するという人はわずかに47%しかおらず、自由市場を否定する人の方が上回っています。主要国の中で支持するが50%を切っているのは日本だけです。また、主要国以外の先進国を加えた調査では、支持が50%を下回っているのは、日本を除くと、ギリシャ、スペインなど経済的に破たんしている国だけという結果でした。
この調査結果に新興国を加えると、その傾向はさらに顕著になります。中国は自由市場を支持するという人の割合が76%となっており、先進国ではトップのドイツや米国を上回ります。世界でもっとも自由市場に対する支持率が高かったのはベトナムの95%でした。また韓国も78%と極めて高い数字になっています。
一方、世界でもっとも自由市場に対する支持率が低かったのはアルゼンチンで、33%の人しか支持していません。アルゼンチンは、戦前は非常に豊かな先進国でしたが、戦後は産業構造の変革に失敗し、先進国の座から転落してしまいました。何度もハイパーインフレを繰り返し、軍事政権が誕生するなど政情不安定な状態が続いてきましたから、自由市場に対する信頼が低いのは当然かもしれません。一部の識者からは、産業構造の変化を嫌い、豊かな先進国としての立場を失いつつある日本は、当時のアルゼンチンとよく似ていると指摘する声もあがっています。
スペインやギリシャも経済的に苦しい時代が長く続いてきましたし、何より、つい最近まで軍事独裁政権が支配する国でした。経済がうまくいかない国は自由市場に対する支持が低いというのは共通した現象といえるでしょう。
(The Capital Tribune Japan)