ハト:「鏡の中の自分」認識…慶大チーム 議論に区切り

毎日新聞 2014年10月24日 10時50分(最終更新 10月24日 11時32分)

イラスト・池田奈央
イラスト・池田奈央

 ハトは鏡に映った姿を自分だと認識できるとの実験結果を、渡辺茂・慶応大名誉教授(動物心理学)の研究チームが今月、米国の心理学専門誌(電子版)に発表した。「鏡像の自己認知」の能力は類人猿やゾウ、イルカなど大型哺乳類にあることが知られているが、ハトにあるかどうかは長く議論の対象になっていた。

 研究チームは、2羽のハトに、鏡を使って自分の背後に置いた物を見つける訓練と、自分の体に付けた印をつつかせる訓練を重ねた。そのうえで、首に下方の視界を遮るケープを巻き、直接見ることができない胸に印を付けた。その状態で鏡を見せたところ、2羽とも迷わずに胸の印をつつく動作を繰り返したという。

 類似の実験は1981年に米ハーバード大のチームが成功したと発表したが、その後は失敗報告が相次いでいた。

 渡辺名誉教授は「訓練で実験環境に慣れさせれば、鳥類など幅広い動物で同様の能力を確認できる可能性がある。共通点を探れば、脳の仕組みを解明することもできるかもしれない」と話す。【清水健二】

最新写真特集