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【関西の議論】井戸掘削は新幹線50周年の“黒歴史”か 市「国鉄と協定…寝耳に水」、JR「市くみ上げ量の5%だ」

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【関西の議論】
井戸掘削は新幹線50周年の“黒歴史”か 市「国鉄と協定…寝耳に水」、JR「市くみ上げ量の5%だ」

JR東海に抗議する摂津市の広報紙

 JR東海が東海道新幹線で使用する水を確保するため、大阪府の摂津、茨木両市にまたがる鳥飼車両基地で井戸の掘削を計画したところ、摂津市が昭和40年代に起きた地盤沈下を理由に当時、旧国鉄と結んだ協定書を持ち出し、地下水のくみ上げに反対。対立が表面化している。JR東海が掘削工事に踏み切ると、市は大阪地裁に掘削禁止を求める仮処分を申し立てるなど、互いに一歩も譲らない構え。東海道新幹線の開業50周年という記念すべき年の影で、争いは泥沼化の様相を呈している。(川西健士郎)

JR東海「社会的使命」

 井戸掘削の計画は今年6月、突然判明した。

 JR東海によると、車両基地の茨木市側に井戸を掘削。1日750トンの地下水をくみ上げて濾過(ろか)し、車両内のトイレ洗浄水などに使用する。災害時の断水に備える狙いもあるという。

 昭和40年代には車両基地周辺で地盤沈下が多発し、地下水のくみ上げはしないとする協定を旧国鉄と結んでいた摂津市は計画を聞きつけ、“寝耳に水”と反発。JR東海に撤回を求める要請書を送りつけた。

 しかしJR東海は8月、「災害時などに備えて、上水道との二重系化を図っておくことで、日本の大動脈輸送という社会的使命を強固に果たしていく」と文書で回答。地下水くみ上げは災害対策の一環だとして理解を求めた。

「論点ずらしJR姑息」vs「地震の液状化を防げる」

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