標石:75センチ、全国最長 新温泉町対田の古墳群で発見 /兵庫
毎日新聞 2013年08月21日 地方版
県教委は20日、新温泉町対田の古墳群から長さ75センチの標石(墓標)が発見されたと発表した。古墳に立てられた標石としては全国最長という。墓穴上に石を立てる風習は島根・鳥取と共通しており、県北部と山陰地方との交流がうかがわれる。
国道178号線浜坂道路の建設事業に伴い、6月から発掘調査していた。75センチ(埋葬当時地上に突き出ていた部分は48センチ)の標石が発見されたのは対田清水谷古墳群で、2世紀末から5世紀後半までの古墳11基のうち一つから見つかった。標石は通常20センチ程度で、これまで発見された中では鳥取市で発見された27センチが最長という。
別の古墳からは土器を置くための鼓形器台3個の破片を発見。同じ場所から、山陰地域では初めてL字状石杵(いしぎね)が見つかっている。L字状石杵は瀬戸内地域で見られるもので、同地域との交流もうかがわせるが、墓で石杵が見つかったのは県内初。L字状石杵は九州から東海までの地域で約60例が知られており、県内では瀬戸内側に5例見つかっている。
一方、対田清水谷古墳群から西に約1キロの小坂谷古墳群では、5世紀後半から6世紀後半の古墳4基が出土、須恵器のかめなどが出土している。
県立考古博物館の石野博信館長(79)は「これまで、古墳の上に70センチを超えるような石柱を立てている例はなかった。墓参りの風習がこの時代にあった可能性も出てきたのでは。そのあたりを解明するには、木の柱を立てている所がないか調査する必要もある」と話している。【柴崎達矢】
〔但馬版〕