カルチャー
知の拠点・神奈川県立図書館が60年 歴史刻む品々展示
開館60周年を迎える県立図書館(横浜市西区)で、特別展「写真・家具・図書館用品が語る60年の歴史」が開かれている。開館当時に使われていた椅子など約50点が展示され、“還暦”となる「知の拠点」の懐かしい姿を紹介している。
同館は建築家の故前川國男氏が設計し、1954年11月に開館。「清潔で明るい図書館」(同館)をイメージさせる吹き抜けの閲覧室が特徴で、同氏が手掛けた国立国会図書館の設計にも影響を与えた。
当時使われた家具も同氏の建築設計事務所のオリジナル作品。中でも閲覧室用にデザインされた木製の椅子は、背もたれや座面のカーブが特徴的で「(神奈川)県立図書館の椅子」として人気を集め、一般向けにも販売される逸品となった。
同展では、現在は使用することができない当時の椅子を展示。コンピューター化される前に使われていた貸し出しカードや目録なども並び、昭和の懐かしい図書館の様子を写真や映像で振り返ることができる。
同展を企画した職員の石尾久美子さん(50)は「図書館サービスがどのように進化したのか、展示を通して知ってほしい。この図書館が有名な建築家の作品であることも知ってもらえれば」と話している。
40年代を中心に戦意高揚を目的に人々に読まれていた「戦時文庫」コレクション約70点も60周年記念の一環として展示されている。いずれも、11月12日まで。
問い合わせは県立図書館電話045(263)5900。
【神奈川新聞】