U-NOTE【ユーノート】仕事を楽しくするメディア

【1人だけの会社説明会】面白法人カヤックのオタクリエイター・天野清之の「よくばりキャリア」実現法

 面白法人カヤックの恒例行事になりつつある「1人だけの会社説明会」。就職活動シーズン以外にも企業の説明会に行けて、しかもカヤックで活躍している社員から直接お話を聞けるこのイベントは、とても貴重なものではないだろうか。

 しかも、この「1人だけの会社説明会」がきっかけで、数人ではあるが、カヤックへの内定者が出ているという。個人的に既存の就職活動のシステムに違和感を覚えながら、「カヤックが面白そうなことをやってる!」と感じ、ずっと取材してきた身としては、「素晴らしいムーブメントだなぁ……」と感激もひとしおだ。

今回は「オタクリエイター」が登場

 今回「1人だけの会社説明会」に登壇するのは、企画部の天野清之氏。カヤックのコピーライター・長谷川哲士氏が彼につけたキャッチコピーは「オタクリエイター」。

 そう、天野氏は自他ともに認めるオタク。カヤックでも、企業製品とマンガやアニメのキャラクターやアイドルがコラボした販促企画などを手がけることが多いそうだ。

 例えば、「宅配ピザのすべての時間をエンターテイメントにする」をテーマに、初音ミクデザインの画面からピザを注文できたり、ピザが配達されるまでの時間、オリジナルのボカロ曲を楽しめる機能などが搭載されたアプリ「Domino's App feat.初音ミク」。

 また、「戦車道」をたしなむ少女たちが主人公のアニメ『ガールズ&パンツァー』のキャラクターが自動車の車種や技術をナビゲートしたり、モーターショーにて自動車メーカーのブースにかざすとブースの紹介をしたりする「三菱自動車×ガールズ&パンツァー自動車道 三菱流」。

 確かに、これらの作品を語っている天野氏はとてもイキイキとしていて、好きなものに携われる仕事ができる喜びがひしひしと伝わってきた。そんな天野氏が語るカヤックの魅力とは何なのだろうか?

カヤックでは「ワガママ」が通る?

 元々はゲーム会社の下請け会社に勤務し、CGグラフィック技術を学んでいた天野氏。現在カヤックでディレクター職に就きながらも、「特殊なポジション」に置かれているという。

 一般的なディレクターの仕事は、企画を考え、チームの舵を取り、クライアントと現場のデザイナーやエンジニアの間を取り持つもの。しかし彼の場合は、舵取りもしつつ、現場でアニメーションの制作などもこなす、という「よくばりなポジション

 このように、「エンジニア? 企画? ……自分の適性が分からない!」という人や「まずはエンジニアとして働きたいけど、ゆくゆくは企画にも携わりたい!」という考えを持っている人の「ワガママな要望」も、カヤックでなら叶えられそうだ。

入社の決め手は「経営理念」と「仲良しな役員」

 天野氏がカヤックへ入社を決めた理由は、大きく2つあるという。

 1つ目は「つくる人を増やす」という同社の経営理念。ここで天野氏は、スペインのある街の話を例に挙げている。

 交通の便や天候があまりよくない街が観光の名所となるために、街中の飲食店が技術を持ち寄り料理のレベルを上げることで、街が有名になった……というもの。カヤックの社内風土はこの話に通じるものがあり、レベルの高い技術屋が集まりお互いを高めあう環境を、天野氏は気に入ったんだとか。

 もう1つの理由は、役員3人の絆の強さ。カヤックはもともと、何かの目的を持って起業を始めたわけではない。役員3人が「こいつらと会社を創りたい」という思いから創業に至ったそう。

 3人がインターネット業界で勝負しようと決めたのも、たまたま当時がインターネットブームだったから。ということは、当時ラーメンがブームだったら、カヤックはラーメン屋になっていたかもしれないのだ。

 『うちの社員は、誰かが「これやりたい!」と発したら、できるかぎりその話に「いいね!」と乗っかってくれます』と天野氏は語る。そんな熱い想いで溢れたカヤックの社風も、天野氏の入社の決め手となったようだ。

「超フラット」な組織体制

 では、カヤックに中途で入社したの天野氏から見たカヤックの良いところとはなんだろうか?

 天野氏が言うには、カヤックの社内組織は「むちゃくちゃフラット」。以前は従業員が1000人規模の会社に勤めていた天野氏にとって、「実力さえあれば1年目から目立てる」というカヤックの体制は驚きだったそう。

 そしてそれは、年齢や入社年次、役職にかかわらず意見が言いやすいというカルチャーにも反映されている。現場社員が役員に直接企画のプレゼンをするという、他社では非日常的なアクションも、カヤックでは当然のように行われている。

 また、天野氏は「部署異動が非常に楽」ということもよい点として挙げていた。カヤックでは、エンジニアの所属部署は全員「技術部」。天野氏が現在所属している「閃光部(元はFlashでプロダクトを作る部署)」のような部署は全て技術部の中に含まれているので、部署内の異動がスムーズなのだ。

 しかしカヤックでは、これまで他部署でエース級の活躍を見せていた人材を突然異動させる、というケースも多々あるらしい。例えば、Googleが認めるほどのJavaScript
(プログラミング言語)のスペシャリストが「デザインを勉強したい!」と思い立ち、現在はデザイナー見習いとして働いている、という事例があるそうだ。

 そんな人事異動の理由を「カヤックに入る人は皆モチベーションが高く、新しい人を採るより、実力のある人がゼロから覚える方が飲み込みが早いから」と天野氏は語る。このように積極的な部署異動を行うことで、新たなエースをどんどん増やしていくのが、カヤック流の人材育成だ。

アニメとマンガはアイディアと演出の宝庫

 これまで数々のユニークな企画を生み出してきた天野しだが、そのアイディアの源泉はどこにあるのだろうか。

 その答えは、天野氏が大好きなアニメやマンガの世界にあった。「アニメはアイディアと演出の宝庫」(天野氏)。特に、『週間少年ジャンプ』はバイブルだそうだ。なんと、「5年前の『週刊少年ジャンプ』に描いてあることを企画に取り入れたら、それがヒットした」という経験があるそう!

 「自分が好きなアニメから、どうにかしてアイデアを企画に引っ張ってこられないか?」と検討するのが、天野氏のアイデア出しのスタイル。

 そんな天野氏が最近注目しているのが「コスプレ」。彼のように、既存の枠に捉われず自分の好き・得意なジャンルからアイデアのヒントを探し出すという考え方は、私たちも見習うべきではないだろうか。

自分のキャリアプランを描けているか?

 イベントの終わりに、天野氏は「カヤックには作る人もいれば、プランニングだけをずっとしている人もいる。ディレクター専門、プロデューサー、と多様な人材が揃っている」と話してくれた。では、どのような人材がカヤックに向いているのか?

 その答えは、「『こんなキャリアプランを立てたい!」という強い意志を持っている人」。様々なキャリアアップが可能なカヤックだからこそ、それを実現できるかは本人の意思次第。

 自分の明確なキャリアプランさえあれば、どこまでもその可能性が広がる環境がカヤックにはある。そう感じさせるイベントだった。

天野 清之氏 プロフィール


今回のイベントの詳細はこちら


「面白法人カヤック」に関するのほかの記事はこちら


 面白法人カヤックでは、この他にもユニークなイベントを数多く行っています。U-NOTEはこれからも様々なイベントを取材し、お伝えしていきます。どうぞお楽しみに!

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する

「つまらない仕事はロボットにさせるべき!」―ホリエモンが考える、すき家問題の本当の論点

 ホリエモンこと堀江貴文が、メルマガに寄せられた質問に答えるYouTube番組「ホリエモンチャンネル」。この中でホリエモンは、ブラック企業への対処法と、私たちが理想とすべき働き方を話しています。

 従業員に過酷すぎる仕事を与えたことで話題になったすき家問題。この騒動のおかげで「ブラック企業」という言葉が以前よりも世の中に浸透し、不当な労働を強要することへの警戒が強まりました。私たちは、ブラック企業問題をどう考えればいいのでしょうか?

価値がある仕事だけをやれ!

 「堀江貴文のQ&A vol.385~安月給では働かない!?~」で取り上げた質問は、「すき家の労働問題では、『仕事だから文句を言うな』派と『ブラック企業反対』派がそれぞれの正義について議論していると思います。労基法がなければこの2つのどちらが正義か争うことに意味があると思いますが、現実には労基法があります。なので、ただ単に労基法を変えるべきかどうかについてのみ議論すればいいのではないでしょうか?堀江さんの『正義』についての意見を聞かせてください」というもの。

 この質問にホリエモンは、「すき家の労働問題については、嫌だと思うならバイトの人が辞めればいいだけだと思います。彼らがこんな条件では働けないと思って実際に働かなければ、労働条件も良くなるでしょう。正義について言えば、例えば検察かなんかは今の法律を守るのが絶対的正義だと思っているので、株式分割で多くの人が簡単に株を買えるようになっても、それを正義を乱す行為だと思うわけです。でも、これってただの思い込みだから宗教みたいなものだよね……」と経験を基に回答。

 正義とは絶対的なものではなく、それぞれの境遇や教育によって全く異なります。なのでホリエモンは、「正義について考えても仕方がない。そんなことするくらいだったらとにかく手を動かせよ」とバッサリ断言します。

 すき家問題については、「つまらない仕事なんてするべきではないのだから、コンビニやすき家なんて辞めちまえ」とこれまたバッサリ。働く人が減れば、給料アップなど労働条件が改善されるか、その仕事を人ではなく機械にさせるかのどちらかになります。ホリエモンは、「究極的にはつまらない仕事は、全てロボットがやるようになるべきだ」と、仕事は不満を持ちながらやるべきでないと主張します。

 ホリエモンの主張はとても単純です。「楽しいこと、価値があることをやれ」。それだけです。たしかに私たちは、何が正義か、何が社会にあるべきかをまず考えてしまいます。そうではなく、その仕事が自分にとって楽しいか、自分が求める価値を与えてくれるかだけを考えて行動できれば、すき家問題も起こらなかったのかもしれません。「仕事はやらなきゃいけないから仕方なくやるもの」という認識をみんなが持たなくなるのが、ホリエモンにとっての正義なのかもしれませんね。

 「堀江貴文のQ&A vol.385~安月給では働かない!?~」では、ホリエモンがステーキけんなどの社長で知られる井戸実さんと、人と仕事のつきあい方について語ります。ホリエモンが見据えるこれからの仕事像の一端を垣間見ることができますよ。今回も盛りだくさんのホリエモンチャンネル。仕事の息抜きに、ぜひ見てください!


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する

世界中の経営者が注目! 働き方の未来を予測する「リンダ・グラットン」とは?

  • 2014/10/13
  • 16350views
  • 2fav
  • Sakiko

by Cydcor
 時代をつくる経営者は、あらゆる書籍によく目を通す。世界中の経営者から熱い視線を集めるのが、「リンダ・グラットン」という人物。名前を聞いたことはあるかもしれませんが、果たして彼女はどのような人物なのだろうか?

リンダ・グラットンとは?

 リンダ・グラットンはロンドン・ビジネススクール教授で、経営組織論の世界的権威。2011年には、経営学界のアカデミー賞とも称されるThinkers50ランキングのトップ12に選ばれている。フィナンシャルタイムズ誌では「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」と賞され、英エコノミスト誌の「仕事の未来を予測する識者トップ200人」に選ばれている。組織におけるイノベーションを促進するホットスポッツムーブメントの創始者でもある。

リンダ・グラットンの著書

 リンダ・グラットンの思想にイチ早く出会えるのが彼女の著書。著作は20カ国語以上に翻訳され、世界中のビジネスマンのバイブルでもある。彼女の著作から代表作を紹介しよう。

ワーク・シフト(2012年)

 日本でもベストセラーとなった『ワーク・シフト』は新しい働き方の礎となる書籍だ。

働き方革命は、あなたから始まる。
否応なくグローバル化されるビジネス環境において、誰と、どこで、どうやって働きたいか。これからはそれを主体的に選ぶことが可能な時代である。人口、テクノロジー、エネルギー、都市化など、あらゆる角度から近未来の働き方を予測し、複数の選択肢を提示した話題の書。

出典:ワーク・シフト | 書籍&雑誌 | PRESIDENT STORE

未来企業(2014年)

 リンダ・グラットンの最新刊が『未来企業』。『ワーク・シフト』が個人向けであれば、『ワーク・シフト』は企業向けの書籍だ。

本書『未来企業』はいわば、『ワーク・シフト』の企業バージョンです。
未来の世界をかたちづくる要因が、企業とそこで働く人々にどんな影響を及ぼすのか。企業は今後、どのような活動にどのような方法を持って取り組むべきか。どのような企業文化がもっとも望ましいのか。これから企業を導いていくリーダーに求められる条件とは何か。
本書は、これらの問いについての私の答えです。
――リンダ・グラットン

出典:未来企業 | 書籍&雑誌 | PRESIDENT STORE

働き方の礎となる、『ワーク・シフト』の3つの転換

 『ワーク・シフト』のポイントとなる3つの転換を、彼女の言葉とともに紹介しよう。

1:自分に価値を付加するためにできることは何か

これからはジェネラリストへの需要は激減します。なぜなら、浅い知識や分析は、テクノロジーが代替してくれるようになるからです。深い知識や高度な専門技能がなければ、仕事がなくなってしまいます。

出典:『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン教授に聞く「なぜ私たちは漠然と ...

ひとつの専門技能にこだわるあまり、広い視野を失うのもまたリスクです。専門分野に隣接する分野に移動するとか、新しい分野に挑戦するなどしながら複数の部門のスペシャリストになることが、あなたの価値を高め、選択肢を広げます。

出典:『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン教授に聞く「なぜ私たちは漠然と ...

2:他者とのネットワーク作り

個人対個人で競争するのではなく、他者との共同作業を通じて真のイノベーションが生まれます。

出典:『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン教授に聞く「なぜ私たちは漠然と ...

一方で、インターネット環境が整えば整うほど、生身の人間との接点が減ってしまうというマイナス面もあります。自分がやすらぎを感じることのできる人間関係を持つことも大切なシフトです。

出典:『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン教授に聞く「なぜ私たちは漠然と ...

3:お金を稼ぐことを情熱や満足感を得られる経験を生み出す行為に変化させる

私たちは、テクノロジーのイノベーションによって、働き方も働く場所も自分で選べるようになりました。生活の大半を仕事に吸いとられる必要はなくなったのです。これがいちばん難しいシフトかもしれませんが、消費による満足感は、長続きしないことがわかっています。

出典:『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン教授に聞く「なぜ私たちは漠然と ...

働くことを拡張させる言葉

 リンダ・グラットンの視点は、私たちが普段感じている小さな働き方への変化を明確に提示してくれ、未来へのヒントを与えてくれる。彼女の考えを自分自身に落とし込んだらどうなるか。きっと今までの考えとはまた違う景色が見えてくるはずだ。だからこそ、全ビジネスマンに触れてほしいと思う。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する