アベノミクスで日本の富裕層の増加率(22.3%)は世界一、ワーキングプアはこの1年で30万人も増加
井上伸 | 国家公務員一般労働組合執行委員、国公労連書記、雑誌編集者
ブルームバーグが「日本の富裕層がますます裕福に、アジアで最も急速に資産増加」という記事を配信しています。
それで、記事の元になっているデータを見てみました。
上のグラフにあるように、日本の富裕層は、2012年の190万2千人から、2013年の232万7千人へと、42万5千人増で、対前年比22.3%も増えています。富裕層人口の増加率では、日本は世界一となっているのです。
一方、国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、年収200万円以下のワーキングプアは、2012年の1,090万2千人から、2013年の1,119万9千人へと、29.9万人も増えています。(労働者全体に占めるワーキングプアの割合は24.1%にもなり、およそ4人に1人がワーキングプアという状況になっているのです)
2012年から2013年の1年間で、富裕層は42万5千人増え純資産も前年比24%も増える一方で、ワーキングプアは29.9万人も増えているというデータは、貧困と格差を拡大するアベノミクスの本質を象徴するものではないでしょうか。その上、今でも世界最悪の日本の労働者派遣法を改悪して、生涯不安定・低賃金・正社員雇用は不要にする法案の成立を、安倍政権は今臨時国会で狙っています。こんなことがまかり通れば、ワーキングプアはさらに増え、貧困と格差の拡大が一層深刻化してしまうだけです。
いま必要なことは、安倍政権がやろうとしている労働者派遣法の改悪や消費税連続増税・法人税減税などと真逆のことです。世界最悪の労働者派遣法を世界標準にあらため、正規と非正規を均等待遇にすることや、最低賃金の大幅アップ、時短・ワークシェアリングなどで雇用の改善を抜本的に行うことと、消費税増税の中止と大企業・富裕層優遇税制の是正こそ、いますぐやるべきことだと思います。