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 東京電力は23日、福島第一原発で高濃度汚染水を処理する多核種除去設備ALPS(アルプス)のうち、トラブルで停止していた、1系統の運転を再開した。当初からあった3系統で同時に処理するのは約1カ月ぶり。他に今年9月に完成した増設3系統と、今月導入された改良型1系統も運転中で、初めて全系統が稼働した。

 再開したのは、元々あった3系統のうちBと呼ばれる系統。9月に処理中の水が白濁し、放射性物質の吸着を妨げるカルシウムが通常より高い濃度で残っていた。東電の調査で、水漏れを防ぐ部品に亀裂があり、カルシウムを含んだ汚染水が、フィルターを通った後の水の中に漏れ出していたとわかった。

 東電は、フィルターに付着したカルシウムを取り除くための洗浄作業の際に、部品に高い圧力がかかって変形、亀裂ができたとみている。今後、回数を少なくするなどの対策を取る。ただ、洗浄が不十分だと浄化能力が低下し、汚染水処理が遅れる恐れもある。東電は「処理に影響が出ないようにしたい」としている。