中央教育審議会(中教審)は21日、現行では教科外活動扱いの小中学校の「道徳の時間」を「特別の教科」(仮称)に格上げし、5段階評価などではない教員による記述式評価を導入するよう下村博文文部科学相に答申した。検定教科書の導入に最低3年かかるため、教科化は2018年度からになる見通し。
答申は、「道徳性」や「道徳的実践力」の育成を掲げている現行の指導要領の目標が分かりにくいとして、「様々な問題や課題を主体的に解決し、よりよく生きていくための資質・能力を培う」という目標を例示した。
児童・生徒に対する評価は、教員が、学習状況や成長の様子を総合的にみて、通知表などに記載する手法を提示した。
中教審の審議過程で「評価方法が判然としない」との指摘も出ており、教員による指導内容や評価のばらつきも懸念される。このため答申は、指導要領に「誠実」や「公正」などのキーワードを明示するよう求めた。インターネットや携帯電話の「情報モラル」やいじめ問題への対応など、社会的な課題を指導内容に含めることも要請した。
授業時間数は現状通り小1は年34時間、小2~中3は年35時間とする。
道徳の教科化は政府の教育再生実行会議が昨年2月、子供の規範意識を高めいじめを防ぐ狙いで提言。下村文科相が2月に中教審に諮問した。
文科省は答申に基づき今年度内に道徳の学習指導要領を改訂し、教科書作成の指針となる解説書や検定基準を策定する。下村博文文科相は答申を受け、「道徳は豊かな人間性を育むために不可欠。制度改正に全力で取り組みたい」と話した。
下村博文、中教審