米政府との調整がつく見通しもないままの約束なら、とんだ空手形と言うほか…
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米政府との調整がつく見通しもないままの約束なら、とんだ空手形と言うほかない。
日本政府がめざす米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の2019年2月までの運用停止について、米政府が拒否する意向を明確にした。
米国防総省当局者が朝日新聞に示した回答を見ると、その意図は鮮明である。
▼13年に日米が合意した22年度以降の返還が唯一の方策
▼19年2月の運用停止に米政府は同意していない
▼日本側から正式要請はない
つまり、22年度以降に名護市辺野古の代替施設が完成しなければ、普天間の運用停止はできないという意味だ。
沖縄県の仲井真弘多(ひろかず)知事が5年以内の運用停止を日本政府に求め、菅義偉官房長官は9月、その期限を19年2月までと明言した。仲井真氏が立候補を表明している県知事選向けのリップサービスと受けとられても仕方あるまい。
菅氏は最近の記者会見で、19年2月までの運用停止を「米国に様々なレベルで繰り返し伝えている」と説明した。たしかに日米首脳会談などで日本政府の姿勢として言及してはいる。しかし、その実現に向けて、米側に正面から真剣な検討を求めたことがあっただろうか。
米政府内で、一顧だにされていないのは明らかだ。
普天間のKC130空中給油機15機は米軍岩国基地に移転されたが、普天間での訓練はなくなっていない。同じく普天間の新型輸送機MV22オスプレイの佐賀空港への移転案も一時浮上したが、米側が難色を示して暗礁に乗り上げた。
こんな状況で、運用停止が実現するかのような説明をするのは不誠実ではないか。
菅氏は辺野古への移設問題を「過去の問題」「終わっていることだ」と述べ、強い反対を押しのけて掘削調査を進めている。移設の「既成事実化」であり、地元の理解を得ながらの作業とはとても言えない。
米ハーバード大のジョセフ・ナイ教授はザ・ハフィントン・ポストへの寄稿で、沖縄のいらだちに言及。「中国の弾道ミサイルの発達で沖縄の米軍基地は脆弱(ぜいじゃく)になった」と指摘し、在日米軍の配備について再考を求めた。米国内の知日派にも柔軟な考え方が出始めている。
安倍首相は次の日米首脳会談で、5年以内の運用停止を正式に要請すべきではないか。
それさえしないのなら、やはり口先だけの約束だったということになる。
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