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【主張】
2閣僚辞任 「議員の資格」も疑わしい
改造から2カ月もたずに看板閣僚が降板する異常事態である。
後援会の観劇会の収支に巨額の食い違いが生じた小渕優子経済産業相が、安倍晋三首相に辞表を出し、受理された。選挙区で名前入りのうちわを配った松島みどり法相も辞任した。
いやしくも閣僚による違法性を疑われる行為の続発は、国民の信頼を著しく損なう。女性活躍推進の方針にも泥を塗った。辞任はやむを得ない。政権のたがの緩みも指摘される。
首相は当事者が疑惑を徹底解明し、説明責任を果たすよう、自浄作用を強く促すべきだ。
小渕氏は調査結果の公表を待たずに辞任した。巨額な食い違いの説明が困難で、辞任によってしか乗り切れないと判断し、職責を放棄したとの印象が拭えない。
最大の問題は、観劇会の参加者から集めた実費の総額と劇場への支払額に乖離(かいり)があり、政治団体側が補填(ほてん)していなかったかどうかという点にある。
観劇などへの招待は、当選を得る目的で行えば公選法上の買収にあたる。候補者や選挙運動の責任者らの場合、4年以下の懲役、禁錮または100万円以下の罰金という罰則がある。連座制が適用されれば、本人の関与がなくても当選が無効となり、公民権が停止される重い犯罪である。