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2014/10/20 23:14
筋書きのない舞台・夢宴桜とゴッドタン
映画をみてきました。
テレビ東京でやっているゴッドタンという番組に「キス我慢選手権」という企画があって、その映画です。
もともとは、いろんな芸人さんが「美人の誘惑に負けずにキスを我慢する」っていう、深夜の、ぼくたち子どもは見ちゃいけません!!なコーナー(笑)
それがなぜか、映画になってしまった!!!
はじめて映画化の話を聞いたときは、ええええ ほんとにやるの???って思ったけれど、これが・・・
とにかく見てほしい。もともとが深夜番組だしお色気企画だし、あまり堂々とおすすめできないシーンもあるけれど(すすめてるけど)
役者と役者の本気のたたかい。
アドリブとアドリブの応酬をしながら、ちゃんと次の場面につなげたり、必要なストーリーや説明を取りこぼさないようにセリフを変えたり、なんていうか、演劇として、すごいんです。
なんていうか、お芝居ってこうあるべきなんじゃ?みたいなことを、たくさん考えさせられます。もう今回で2作目。さらにスケールアップしてました。
次もぜひ作ってください。かならず見にいきます。
劇団ひとりさんが、そのキス我慢のコーナーで見せた稀有なアドリブの才能と、それを見出したゴッドタンスタッフの、壮大な遊び心からできた映画。いいもの見ました!ありがとう佐久間P!!!
☆
と、これだけじゃ、ゴッドタンを見たことない人にはなんのことだかわかんないですよね。
説明します!!!
みなさんは、ガラスの仮面 という少女まんがを知っていますか?その中で、ヒロインの北島マヤと姫川亜弓が競演した「夢宴桜」という舞台を覚えていますか?
姫川亜弓が出演する舞台「夢宴桜」の役者が急病になり、たまたまその場にいた北島マヤが、急遽代役として舞台にあがることになります。
まあこの時点でふつうの人だったらぜったいむりなんだけど(笑)マヤは驚異の集中力で、開演前にすべてのセリフを覚え、舞台にあがります。
けれどその台本は、マヤの天才的な演技力にくわれることをおそれた他のざこキャラ出演者によって、すりかえられた台本だったのです。(せっかく覚えたのに何すんじゃー!!!)
まったくあらすじを知らず、舞台にあがらされてしまったマヤ。
そのことに気づいた、相手役の姫川亜弓。
ここは舞台の上、もう後戻りはできません。しかもマヤの役である「千絵」が「こんな家、もう出ていってやる!」と言わないと、次の場面にストーリーがつながらないのです。(ヒィー)
舞台に出てしまってから、覚えた台本といま進んでいるストーリーがぜんぜん違うことに気づき、追い詰められたマヤ。百合の花を一輪、キュッと口にくわえ「何も話したくない芝居」をして時間を稼ぎながら、まわりの役者のセリフから、必死に、ストーリーを探ります。
時は明治。海堂寺男爵の娘・月代(姫川亜弓)五男の行麻呂が芸者との間に作った娘、千絵(北島マヤ)。
亜弓は、マヤを助けようと、けんめいにマヤの芝居を誘導します。まったくあらすじもセリフもわからないマヤは、そんな亜弓の演技にあわせてアドリブをすることで、見事に舞台をつないでいきます。「亜弓さんが声を高くしたら、わたしも 低くしたらわたしも」
見ている観客には、まったくアドリブとはわからないほどの激しい芝居が続き、マヤと亜弓は舞台の上で、相手の呼吸や感情を読み取り「役として本気でアドリブでたたかう」という離れ業をやってのけるのです。
亜弓のすばらしいアドリブの誘導で、感情を引き出され、役として「こんな家、もう出ていってやる!」と、何度もそう叫びたい気持ちになるマヤでしたが、
そんなセリフを口にしてしまって、「もし芝居のあらすじとはまったく違ってしまっていたら、この舞台がこわれてしまう。つじつまがあわなくなってしまう。」ということに気づきます。
だから、そんな大それたセリフは言えない・・・
けれど、本当のあらすじを知っていて、この次のシーンにつなげるためには、亜弓はどうしてもマヤに「こんな家、もう出ていってやる!」と、言わせなくてはならないのです。
シナリオを何も知らずに舞台に立たされてしまったマヤと、そんな状態のマヤからシナリオ通りのせりふを引っ張り出さなければいけない亜弓・・・!!!
このあとはぜひ「ガラスの仮面」で読んでもらいたいので、ネタバレはしません、が(ごめんね)
この「ガラスの仮面・夢宴桜」の、北島マヤと姫川亜弓の息詰まるアドリブ劇を、実際に映画館の大画面でたのしめるのが、なにをかくそう この
なのですー!!!
☆
劇団ひとりさん演じる川島省吾(ってか本名だけど)は、まったくなにをやるか、これはどんなストーリーなのか、というかそれ以前に、この日に映画を撮ることすら知らされず(笑)に、いきなりバスで連れてこられ、
映画の主演俳優として、映画の中の世界にひとりぼっちで放り出されます。
情報はなにもありません。
目の前につぎつぎとあらわれる俳優たちのリアクションやせりふから、「この物語はどんな話なのか」「おれの役はどういう人物なのか」「この物語の世界はどういう世界なのか」など、すべてを読み取って、即座に、それにあったせりふを、その場で考えてしゃべらなければならないのです!!!
でも、川島省吾は、やるんです!!!
なんにも分からないのに、相手の呼吸をよみ、相手にあわせ、そのシチュエーションにあうセリフをつくり、
その役(すら何だか知らされていないのに)にあわせて、ぺらぺらと流暢にせりふを繰り出し、まったく迷いのない演技をするんです!!!
それが、アドリブだって言わなければ、見ている人がだれも気がつかないほどの自然さで!!!
まさに、リアル北島マヤです。
おそろしい子(ω)
ぼくは、この技ができるのは、日本では、北島マヤと劇団ひとりさんだけなんじゃないのかと思っています。
北島マヤはまんがの中の人なので、実際には、劇団ひとりさんだけなんじゃないのかな?
こんなことができるのは。
☆
もちろん、北島マヤがひとりではあの窮地を乗り切れなかったように、劇団ひとりさんにいくら才能があっても、川島省吾がたったひとりで演技ができるわけではなく、
この映画には、たくさんの役者さん!夢宴桜の姫川亜弓にあたる、すごい俳優さんがたくさん出てきます。
ストーリーを知っていて、なにも知らない相手役がせりふを言うのに必要な情報を(自然な演技をしながら)少しずつあたえ、相手のアドリブに臨機応変に対応し、その上で、つぎのシーンにつなげるための重要なせりふを、なにも知らない相手からひっぱりだして、言わせないといけない!!!
これはものすごいハードです。まんがだからできること、姫川亜弓だからできたこと。それを、こんなにもたくさんの役者さんが、こなしていく、その奇跡!!!
もうこれは、ほんとに、すごい映画です。
相手がなにを言い出すか、お互いにわからないまま、ヒリヒリした緊張感ですすむストーリー。
歌のところ(笑)と、ラストシーンは、圧巻ですー。みてぬ。
☆
でも、現実って、お芝居じゃない世界って、本当は、「そう」じゃないですか。
お芝居は台本があって、相手が次になにを言うかが分かっていて、それをさも今はじめて聞いたかのように(わざとらしくならないようにがんばって)何度も練習して演技して、なんどもリハーサルをして、あらかじめ決まったストーリーをお客さんに提供して、楽しんでもらうものだけれど、
現実の世界では、相手がつぎになにを言うかなんて、能力者でもない限り、だれにもわからないです。だから、生きていることは、それだけでドラマだし、おもしろい。人生は、ほんとうは、誰にもわからない、筋書きのない舞台なんですよね。
それを、そのまんま、映画として見せてもらえるなんて、なんておもしろいんだろう!!!
☆
ちょうどぼくがこの映画をみて、「おおおおおおおおお」ってなりながら家に帰ってきているとき、
劇作家の、西田シャトナーさんが、こんなおもしろいことをつぶやいていました。
「むかーしさ、コピー機とか印刷機のない時代の戯曲は、作家が書いたそれ一冊しかないわけだから、まずは台詞全部に番号を振って、それを台詞ごとにチョキチョキときって、役者に配るわけさ。そんで、番号順に皆で読んでゆく。自分以外の人が何を言うか、その時が来るまでわからないわけ。」
「もちろん、自分のセリフも、それを読む時になるまで、誰に向かってどのような文脈で言うかわからないわけ。「やめろ!」って言ってみて、はじめて何をやめろって言うのかわかる。今だって、こういう風に芝居作ってもいいと思うんだよね。」
「もっともっと昔だと、戯曲なんてものも存在しなくて、ただただ、皆で芝居を作っていたわけだよね。そんで、面白いものが出来たら、「おいコレ忘れないようにメモっとこうぜ」ってなって。そのうち、「去年のアレ、またやろうぜ」って、メモを見ながら芝居作って。それが戯曲の最初だろうね。」
そんな時代があったの・・・
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお(ω)
このやり方のお芝居、みてみたい!!!
自分以外の人が何を言うか、その時が来るまでわからない、自分のセリフも、それを読む時になるまで、誰に向かってどのような文脈で言うかわからない、「やめろ!」って言ってみて、はじめて何をやめろって言うのかわかる・・・緊迫感!!!
☆
たくさんの予算と時間をかけてつくられる、たくさんのドラマや舞台や映画。
いま、お芝居は、「失敗が許されない」ショーでもある。
読み合わせ、立ち稽古、リハーサル・・・
役者たちは、なんどもなんども入念におなじ演技をくりかえし、これでいいのか?とチェックし、いろーんな人にダメ出しをもらい、テストし、
それで「よし、これで行こう」って、選ばれたものだけをお客さんにみせる。
でも、どんなに上手く「知らない」リアクションをしても、観客はもう、知っている。俳優がその先にある物語を知っていることを、知ってしまっている。
☆
目の前にある絵本を、子どもに読んで聞かせるのに似ている。と、おもう。
目の前にある絵本を、プロが読み聞かせ会で子どもたちに読み上げてくれる、すばらしい朗読よりも、
子どもだったころ ぼくたちは、好きじゃなかったですか?
「目の前の子どもをたのしませるために 親が適当につくっておもしろおかしく歌う歌」や、「目の前の子どもをたのしませるために、親があれこれ余計なエピソードを入れすぎて、結局ぜんぜん違うストーリーになってしまう、寝る前の、わけのわからないお話」が・・・
先の見えない、あの、わくわくした時間が。
ぼくは運動が苦手なのでスポーツはあまり見ないんだけど、スポーツをみるのがすきな人は、たぶんこの「筋書きのないドラマ」が好きなんだろうな。
☆
唐突ですが宣伝です。(笑)
ぼくがこの冬に出演させていただく、
は台本こそありますが、「 音 楽 が ア ド リ ブ で つ く 」そうです!!!その日その日の、役者の読み方、声の調子、間合いにあわせて、その場でピアノの生演奏が「即興で」つくんだって。
日時は
12月06日(土)14:00/18:00
12月07日(日)12:30/16:30 の、4公演。
でも、4回とも、音楽が変わるっていう。もちろんぼくたち出演者も、当日のそのときになってみないと、どんな舞台になるのか、まったくわかりません。音楽がかわるから、演技もかわる。せりふも、そのときの気分によって、だいぶ変わってくると思います。
ぼくは初舞台で、まだ何もわからない状態で、どうなるかもぜんぜんわからないんだけれど、そういう舞台をやらせていただけることが、とってもうれしいです。
どうなるんだろうー?
良かったら、ぼくのおすすめの
と、と、
そして
を、みてください!!!にゃふー(ω)
♔はるかぜちゃん ♔
声優志望の13歳 中学二年生 春名風花です。春キャベツの中からうまれました。本当...
ジャンプを読み終わって余裕があれば更新します(ω)
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